フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相

フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相






Chap.13. 電気エネルギー(共振、薄膜、スイッチング回路、etc.)

1. テスラの共鳴原理とハチソンのコンバータ・エーテル電池 
2. R.ソロミャニの冷える共振クリスタル電池 
3.(日本)十字型空洞共振器を用いたフリーエネルギー電力装置―J.シナガワ
4.(日本)誘電体薄膜による電力発生装置―T.ヒノ

5. スイッチング回路の過渡エネルギーを用いたエネルギーの捕獲
 
5.1 過渡エネルギーが成績係数を向上させるアインスリー装置
 5.2 P. J. ケリーによるアインスリー・フリーエナジー装置の解説





Chap.13. 電気エネルギー(共振、薄膜、スイッチング回路、etc.)



1. テスラの共鳴原理とハチソンのコンバータ・フリーエネルギーエーテル電池


 これは文献[1.1]を参考にし、筆者が手をくわえてわかりやすくしたものである。 

(1) チタン酸バリウムの結晶で作ったエーテル電池

 ハチソンは、いわゆる ハチソン効果 と呼ばれるものを超えるものを生み出そうとしていた。1995年の日本へ旅行する前の冬のこと、彼は電子レンジくらいの大きさの、スペース・エネルギー装置を組み立てた。これはコンバータであって、テスラの共振原理に基礎を置いている。テスラは、コイルの中にパルス・エネルギー・バーストを、前のバーストが消えないうちにどんどん入れるということによりこの原理を示した。

 これは、子供がブランコで一振りするごとにゆれ幅が大きくなっていくように、エネルギーがだんだん膨れ上がっていくのである。(後述するが、井出の超効率インバータもこの原理と推定される。イーサ・エナジーを捕獲するコツのひとつであろう。)

 ハチソンは、チタン酸バリウムの結晶を用いて、脈動するリズミカルなエネルギーを捕獲した。この結晶はラジオが、ある周波数RFをピックアップできると同様に、ある電磁気周波数のパルスを捕獲できるのである。結晶が脈動するとき、あるいは共振するとき、電力を生みだすことになる。

 彼は、この装置が6Wの出力があることを見せた。プロペラを猛烈な勢いで回転させ続けるモータの電力を十分供給していた。ちっぽけなプロペラがまわることなど、馬鹿げていると思うだろう。しかし、この装置はバッテリーにもつないでなくて、燃料も使ってないし、商用電力コンセントにもつないでない。入力エネルギーなしで、連続して数ヶ月回り続けたのである。

 ハチソンは、これを小型化した。大きさと形はオスカー像ほどのものであった。それで小さなランプが点灯したし、小型モータもまわった。日本の講演旅行の終わりの広島講演会場で、約500人ほどいた観衆の前で、そのデバイスをテーブルの上にトンと置いた。テーブルはテレビ撮影のためにまばゆく照らし出されていた。

 彼は、すばやく全ての部品のねじをほどき、内部を詳細に見せた。その間テレビカメラはクローズアップして映し出していた。大きさを示すために箸をもってきて、それと対照させて見せた。コンバーターが電池を内臓していないことは明白であった。そのあとで、ハチソンのまわりに何人かの男たちが群がってきて、名刺を差し出し、そのチタン酸バリウムを供給・販売してくれないかと頼んでいた。

Fig.1.1 岩石の上に電極をつけて電圧をはか
っているハチソン[1.2]。約400mVの出力
がある。この岩石はFig.11.3に全景がある。
(2) 岩石で作ったエーテル電池

 帰国すると、ハチソンのビジネス・アドバイザーは、発明の機密を与えてしまうことにやきもきしていた。 しかし、ハチソンは肩をすくめて、日本へもっていった技術は古いやつだ。いまはもっと進んだ新しい方法があるといった。

 それは、普通の岩石を用いる方法であった。入っているものはありふれた石ころなので、彼は、それをダートチープ法(馬鹿安い方法)と呼んだが、ストーブの上に置いて加熱する製作方法、ストーブ上プロセス、なのである。

 この新しい方法はチタン酸バリウム法から発展したものである。チタバリよりもっとよいものはできないか?ハチソンは、ある研究者が、ある岩石の上に電極をつけると、極く微小な電流が発生するのを見せてくれたことを覚えていた。それは、どういうわけか不明だが宇宙エネルギー(エーテル)作用でしみ出してきた電流であると考えた(Fig.1.1参照)。これを利用すればエーテル電池ができそうである。

 そこで、ハチソンは、彼のアパートの前の通り道で小さな石を探して、試験管ほどの大きさの金属容器に放り込んだ。つぎに、安い普通の化学薬品を混合したものを加えたが、これは秘密にしている。その岩石スープをストーブの上で加熱した。こうして、水分を蒸発させ、岩石の中の小さなエアポケットから空気を抜いて、化学薬品が岩石内部に侵入できるようにした。

 混合物が冷却して固まる前に、固化形成された結晶状の物質から電気を取り出すための特殊処理された柱を挿入した。このダートチープ法がいかにして作動するのか誰にもわからないが、一人の物理学者が、チャージ・クラスタをつくるのにKen Shouldersが用いたカシミア効果が働いているのかもしれないと、ハチソンに説明した。、

 ハチソンは、ダートチープ法を発見したとき、パテントをとることには面倒くさがった。パテントをとると、ラボを壊されたり、盗まれたりすると他の発明者達から聞いていたし、ハチソン効果が知られたときは、彼も、知らないひとから脅迫の言葉を投げかけられたこともあったからである。

(3) 水晶円盤で作ったエーテル電池

 ハチソンは、他のバージョンも発明した。ロジウムを鍍金し分極させたいくつかのクオーツの円盤を長いボルトで締め付けたタイプである。そのあいさには、いくつかの別の異なるタイプの円盤があった。配列した円盤をまっすぐに支えるために、しっかりした柱にテーピングしてあった。「18ボルトで0.25アンペア出るね。クオーツ円盤に金属鍍金する方法は Beardenに教わったよ。」

 ハチソンは、この電池にLEDにつないだ。それから、作った本人しか理解していない方法で、電池を曲げたりたたいたりした。しばらくすると、電池は生命を得てLEDが輝きだした。LEDは直列抵抗なしにつないであるので、開放電圧の18ボルトがLEDの動作電圧の約2ボルトくらいに下がっている。「55,000V型を日本に売ったよ。とてもうまくできていたやつだ。彼は、いまごろ聴衆に見せているよ。」

(4) 電気クリスタルで作ったエーテル電池

 もうひとつのタイプの電池は、天然鉱物を焼いて作った電気クリスタルである。「私は、これは好きだね。作るのが簡単だし、材料は、ばか安いしね。電流と電圧をより大きくするために、それぞれのセルに1ccの材料を使って、これらをハネカム構造にしたんだ。35,000 USDで売った電池は、いいやつだった。あれは3ボルトで1アンペア出たよ。55,000ボルト出力のプロトタイプは爆発しちゃったけどビデオには撮ってあるよ」
Fig.1.2 ハチソンのクリスタル電池[1.2]。
白い丸の中にあるものはFig.1.1で測定した岩石。

(感想)



2. R.ソロミャニの冷える共振クリスタル電池


 
Fig.2.1 ソロミャニの共振
クリスタル電池

 この文献[2.1]は、2003年に発表された。その当時、非常に興味深くまた驚きをもって、読んだものであるが、あれから、もう10年以上も経過してしまった。電池が自己冷却することから考えても、エーテル電池のひとつの可能性を強く示唆するものであるので、紹介しておきたい。以下は文献[2.1]の概訳である。

-------------------------------


 本発明は、全て周りの空間は、実質上の粒子で満たされていて、それは瞬間的に現れたり消えたりしているという理論に基づいている。よく知られているように、一対の粒子(粒子ー反粒子)を発生させるためには、ある一定のエネルギーが必要である。

 本デバイスを作るというアイデアは、2000年の初期にやってきたが、必要な材料が入手できるまで時間がかかったため、2002年の夏になってようやく実験に取り掛かれた。

 デバイスは2枚の銀板から成っている。銀板は銅板に銀メッキしたものでもよい。銀板は共振器にパワーを供給し、発生した過剰エネルギーを取り出す。2枚の銀板の間に共振器の活動体を形成する水晶板がある。水板板は、天然水晶の結晶性のよいものか、ロック・クリスタルと呼ばれる水晶から作る。

 真空にするために、Fig.2.1に示すように筒型の真空容器を使い、真空ポンプへの接続口5を設けた。デバイスは、2個のFe-Nb-B 永久磁石(これは活動体水晶を少し分極する)も用いて共振器の活動を補強した。

 Fig.2.1に示すようなひとつの水晶板で実験したところ成功であった。水晶板を数枚にした場合は、調整が困難であった。

 簡単な高周波パルス発生器の信号を電力増幅して、これをデバイスに供給して起動した。デバイスが作動するためには、回路に負荷抵抗を入れることが必須である。ビルド・アップ発振のモードが初期モードであった(第2は修正モードへ)。

 ビルド・アップ発振モード後に、出力容量は20W±2-3Wであった。3ヶ月、初期のモードで問題なく作動していたが、何回か、高出力になった後に壊れた。この原因は、クリスタルを作るのに石膏を使ったからである。天然のロック・クリスタルか高度に精製した石膏のようなもっとよいものを使えばもっと高い出力が得られるであろう。機械的振動が限界を超えたために活動体が破壊したのである。

 デバイスが作動中、別の効果が起こった。すなわち、自己冷却効果(この結果、活動体はもろくなった)および非常に強力な高周波の放射(1m先のネオンランプが点灯した)である。

 このデバイスを作る上でプレート(銀板、活動体、水晶など)を作るのが難しかった。これらを高い精度で調整する必要があり、そのためコストがかかった。調整が悪いと、ハーモニクス過剰になってしまった。したがって、本実験を再現し、さらに改良を加えたいならば、部品は自作でなく注文で精度よくつくり、そしてクリスタルにもっと最適な材料を使うべきである。

(感想)



3. J.シナガワの十字型空洞共振器を用いたフリーエネルギー電力装置



 クリスタルと共振器を使う別の方法を紹介する。以下は、シナガワのWeb site[3.1]からの部分的引用である。

『 このフリーエネルギー湧き出しに成功した装置の構造について説明する。 Fig.3.1は、その構造図である。全長160ミリ、外径40ミリ、内径 36ミリの外部導体真鍮パイプ4本と、外径10ミリの二重構造の中心導体棒から成る変形1/4波長同軸共振器を十字に組み合わせたものから成っている。

 
Fig.3.1 J.シナガワのクロスキャビテイ[3.1]
Fig.3.2 シナガワの実験装置全景[3.1]



 その1組の構造は、開放端側の外部導体パイプが90度のトガリ角度で切り落としてある。これと同じもの4本を組み合わせて、十字型キャビティが構成されるのである。また、4本を組み合わせた状態で、外部導体パイプの接合部の中心部の上下に径10ミリの穴が明けてある。

 つまり、トガリ角の先端が半径5ミリの円で切り落とされているわけである。玉の姿勢位置をコントロールする為の穴でもあり、また、それは4本のキャビティを正確に組立てるために中心軸としても必要である。パイプの反対側は10ミリ厚の短絡用円盤導体部が陥入し、Fig.3.1に、それと一体になった中心導体棒固定装置がある。中心の穴径は中心導体棒が慴動可能な程度に仕上げてあるが、電気的な接触を良好にするためパイプ状櫛型の燐青銅の接触片が短絡用円盤導体部の中側にハンダ付けしてある。

 この4本のパイプが径450ミリ、厚さ10ミリのアルミ製円状基盤上に、40×20×100ミリのコの字型アングル4個を置台として配置されている。そして、置台のアングルに乗せた各パイプは、それぞれ、アルミ円状基盤台に固定された門型金具を利用してネジで圧着固定されている。

 各キャビティの短絡端の近くに複数個の入出力端子が設けてある。これは、BNC型コネクターのBR型を改造してワンターンのループをハンダ付けたもので構成している。また、図には表示されていないがFig.3.1に示すように各キャビティー間の結合係数をコントロールするため、その各接合面の間に4枚の静電遮蔽板が挿入出来るようになっている。

 更に、これも図には表してないが、中心導体棒を回転することによってキャビティーの共振周波数を変化出来るように、中心導体の開放端に近い個所に可変コンデンサーが装着されている。 次に、中心導体棒の構造を説明する。外径10ミリ内径8ミリ長さ200の真鍮パイプだが、内側はグラファイト炭素棒、或は、炭素繊維棒で構成された二重構造である。

 また、中央の水晶玉に接する部分も炭素で構成され、水晶玉の球面に合わせた凹球面である。S字共振が起こるとき、水晶に高周波の電流が流れると同時に、それに対応する逆電磁電流、即ち、虚電流iJ'も流れると考えられる。その流れを補助するのがグラファイトである。この存在によって、発生エネルギーが実用的な強度まで強められるのである。 』

(感想)

文献:

[1.1]rexresearch
[1.2]Free Energy - John Hutchison's Crystal Battery; http://www.youtube.com/watch?v=anu--HL0c7k
[2.1]Roman E. Solomyanny: New Energy Technologies Issue #4 (13)2003.
[3.1]品川次郎:http://www.ology.jp/generation1/










3. 誘電体薄膜による電力発生装置―T.ヒノ



 ここに紹介する研究は、1998年に日野教授(当時、神奈川大学教授、東京工業大学名誉教授)と協力者により発表された論文[下記文献1,2]である。彼はこれらの論文以外に数多くの論文があるが、ここでは、論文[下記文献1,2]に絞って紹介する。

 
MIM構造。
これが電力を生み出す。



 これは、簡単にいえば、

が電力を発生することを発見したのである。詳しくは文献を見られたい。以下概要を紹介する。



---------------------------------------


 誘電体超薄膜として、

ポリイミドLangmuir-Blodgett膜(ポリイミドLB膜,PI)、アラキジン酸LB膜(C20,Y型)お よび2-pentadecyl-7, 7', 8, 8'-teracyanoquinodimethane LB膜(C15・TCNQ, Z型)

を用いて、顕微鏡のスライドガラスの基板の上にMIMを作製した。

 すなわち、PIをAlとAuの蒸着膜で挟 むか、C20とC15・TCNQを重ねたLBヘテロ膜をAlで挟んでMIMを作製した 。このようなMIMの両電極間に抵抗を接続したとき、この抵抗に直流電圧が発生し、それは減衰せずに、もう2年間発生し続けている。

 Fig.1は、資料の概略図である。Fig.1の底部に、上図のような3層構造(MIM構造)断面図が描かれていることに注意されたい。

 
Fig.1. 試料の概略構造[1]



Fig.2は実験回路である。Mは電圧計(Keithley 614, 内部抵抗5X1013Ω)である。発生電圧は上部電極がプラスの直流電圧であった。

 
Fig.2. 実験回路[1]



 Fig.2の回路で測定したポリイミドLB膜試料の発生電圧をFig.3に示した。1日の電圧の幾つかの例が示してあるが、夏は発生電圧が高く、冬は小さい。図の中の点線で示した曲線は、測定回路の時定数より、電圧vの減衰を次式で計算した値である。最初に300mV発生していたとすると、

v= voexp(-t/CR) = 300exp(-t/14,000)  (mV)    (1)


ここで、 C:試料の容量で0.14μF、R:回路の抵抗で1011Ω(試料の抵抗は、1010Ω程度)、t:時間(秒)である。

 
Fig.3. 発生電圧[1]



 もしも、試料から電圧が発生しなければ、電圧はこの点線に沿って低下していくと考えられる。ところが、実際は、殆ど減衰しない電圧が観測される。この電圧は、室温が変らないときは、ほぼ一定である。

 このことは、試料と並列に接続された抵抗に電流が流れ、電気エネルギーが消費されていることになる。したがって、試料からエネルギーが発生し続けていることになり、試料は電源(エネルギー源)になっていると考えられる。

 このエネルギーがどこからやってくるかを調べるために、電圧発生に伴う温度低下を測定した[2]。用いた試料は、

Al/Al2O3/ポリイミドLB膜(10分子層)/Au


である。ここで、Al2O3は、Al蒸着膜の自然酸化膜である。この温度低下は極めて小さくMIMの熱容量も微小であるので、真空アバランシェ・ダイオード(VAPD)を用いた非接触の温度測定装置を開発して測定した。

 大気中では大気から熱が供給されMIMの温度低下を検出するのが困難になると考え、MIMは1 Torr以下の真空中にいれて実験した。Fig.4に微小温度変化測定装置を示す。

 
Fig.4. 非接触温度測定装置[2]



 真空槽内に、試料、VAPD、ヒータ(R)を入れた。外部よりVAPD用の直流高電圧を供給した。VAPDの窓(W)の下0.5mmの位置に試料を置き、試料からの赤外フォトンを受けて、これを電圧パルスに変換し、フォトンカウンターで計数した。

 銅板につけたヒータ(R)により、試料の温度を上昇させ、資料とVAPDを収めたテフロン枠に取り付けた熱電t対で温度をはかり、パルスと温度の校正をした。VAPDは、非常に高感度で赤外フォトン一個も検出できる。検出波長は400-900nmである。

実験結果

 発生電圧  Fig.4のスイッチSを開放し、試料の両端電圧を測定した結果をFi.5に示した。安定した約900mVの一定電圧を発生している。スイッチSを1分間閉じ(短絡)し、再度開放したとき、電圧は徐々に上昇していき、約300mVまで上昇した。

 
Fig.5. 発生電圧[2]

 発生電圧に伴うパルス数の減少  Fig.5のような発生電圧の時間特性に対し測定されたパルス数の時間特性をFig.6に示す。約900mVの一定電圧のときはカウント数nは約1.93×103/2sでほぼ一定であった。スイッチSを閉じ1分間短絡すれば、電圧は急降下して零電位になるが、フォトンのカウント数nには急激な減少は見られない。

 
Fig.6. 電圧減少に伴うパルス数の減少[2]



 スイッチSを開き、再び電圧が上昇していく過程では、nが徐々に減少し約30分後には減少量が10×103/2sとなった。パルス数nの減少は温度低下を示している。そこで、nと温度の関係を測定して装置を校正した。

 測定装置の校正  Fig.4のヒータ(R)により、テフロン枠をわずか(1-2℃)暖め、これが1Torr以下の真空中にて自然冷却する過程で測定されたものがFig.7である。温度低下速度は小さいが確かに温度は低下している。パルス数も減少している。カウント数と温度の関係を挿入図に示す。この校正図よりカウント数の減少量10×103(1/2s)に対応する温度変化量は約0.026℃と求められた。

 
Fig.7. 測定装置の校正[2]



 検討  

 抵抗( R =1011Ω)は、常にMIMに接続され、電流 I が流れ、 R I 2 R の電力が消費された。MIMは、このエネルギーを周囲から得なければならないが、これは周りの熱エネルギーと考えるのが妥当であろう。

 電圧 v が発生することは、MIMの静電容量を C とすると、MIMに C v2/2の電気エネルギーが生じたことになる。その際MIMの温度低下が起こっていることは、MIMの中で熱エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを示す。このようなエネルギー変換が起こる原因の一つは粒子(電子)の熱運動による拡散にあると考えられる。

-------------------------------


感想:

 非常に興味深い現象を発見し追求を続け報告されていると思う。ここでは、現在のオーソドックス科学の考えで、このメカニズムの説明の試みをされているのである。

 MIMが発電しつつ自力で自分の温度を下げていく、という現象はサールの発電機を思い浮かばせる。彼の発電機は、外部から電力供給なしに自ら回転し発電し続け、自ら温度を下げていくのである。ネゲントロピー現象である。

  なお、MIMの再現実験とおぼしき文献として 分子電池 があるが、詳しい記述ではない。



文献

[1]日野太郎、竹内茂、小野健太郎:誘電体超薄膜MIMの長期電力量発生、電学論A、118巻10号、平成10年、pp.1078-1082.
[2]竹内茂、小野健太郎、日野太郎:ポリイミドLB膜MIMの電圧発生に伴う温度低下、電学論A、118巻10号、平成10年、pp.1083-1086.
[3]日野太郎:誘電体超薄膜電源素子、公開特許公報(A)特開平10−12937.












5. スイッチング回路の過渡エネルギーを用いたエネルギーの捕獲



 これは、ローズマリー・アインスリー等のCOP(成績係数)=17のヒータと呼ばれるものである[1]。現在は発生電力(熱エネルギ−)は、小さいが、キロワットオーダーのエネルギーを発生する装置が出来るようになれば、フリーエナジー・ストーブの可能性が出てくる。

---------------------------------------


 
実験装置[1]

5.1 過渡エネルギーが成績係数を向上させる


by R.A.Ainslie and B. C. Buckley


(下記は、文献[1]の抜粋・概訳である。)

 過渡エネルギーを用いる新しいテクノロジーを提案する。読者は、この複製実験を行って我々と独立な対場で測定して欲しい。



概要

 負荷の中で熱消散することを目的とした電子システムにおいて、その中にスイッチング回路を使用した。電源電圧を超える過渡的電圧を発生させることは可能であるということは、広く認められていることである。

 したがって、スイッチングサイクルのonの間に、回路の誘導性要素のなかに、あるエネルギーが配達され蓄積される。offの間に、このエネルギーは、エネルギー供給源に戻される。供給源から配達されるトータルのエネルギーは、したがって、二つのサイクルの合計、あるいは差である。

 しかし、もし、負荷がエネルギ−源と直列につながっていれば、それは、また、電流の流れの通路を与えるであろう。




 序論

 負荷により消費されるエネルギーは、両サイクルの間に印加された瞬時電圧と電流の積として測定される。事実上、エネルギーはスイッチング・サイクルのonとoffの間に消費されうる。

 下記の二つの条件で、実験結果は、「負荷におけるエネルギー消費は入力エネルギーの増加よりも、どちらかといえば回路設計により増加する」ということを示している。

 過渡電圧は、電源の電位差よりも大きいに違いない。スイッチング回路は、各スイッチング・サイクルのonとoffの間においt電流の流れの通路を与えているに違いない。

 回路

 本報告では、Fig.1に示したように詳細な回路図を提供するが、これは、読者が複製でき、我々とは独立な立場で測定可能にするするためである。

 
Fig.1 回路図[1]



 
回路に適用する特殊な要素とパラメータ


 
周波数


 オーバーユニティ(超効率)となるデューテイ・サイクル(可変抵抗に注目せよ)には、幾つもの設定方法がある。しかし、その場合の再現性は、回路に使われる要素に厳格に依存している。読者が独立に実験するとき、確実に再現性が得られるようにするために、一つの周波数を使うことにした。(訳註:上記の可変抵抗に注目せよ、とは可変抵抗でデューテイを変えるという意味。もちろん周波数も変わる。)

 この設定は、非常に高いレベルのエネルギー効率をもたらす。つまり、負荷で消費されるエネルギー量はエネルギー供給源により配達される量を大きく超えるのである。しかし、高周波の電圧の波形の分析は、高級な測定器を使う必要がある。

 本回路における振動については、安定化することを不可能にするスイッチング・サイクルについて記述することが目的である。必要とする振動のレベルは、周波数 2.4kHzで、デューテイサイクルを3.7%がonになるように設定することにより達成される。

 MOSFETのゲート電流を減少させると、あらかじめ決めておいた周波数とスイッチング・サイクルを覆す振動になる。周波数は143kHzから200kHzの間で振動し、デューテイサイクルは約 1.3%小さくなる。

 
測定装置


 測定は全て、Fluke 199C ストアレジ・オシロスコープ(200MHz, デュアルチャンネル)を用いて行った。オシロの記憶能力は約1,200同時リアルタイムサンプルである。

 
イントリンシックあるいはパラスチックダイオード
 

 半導体スイッチングデバイスは、MOSFETを用いた。何故なら、これは、イントリンシックあるいはパラスチックダイオードを有しているからである。このダイオードは、スイッチングサイクルの off の期間に電流を流す通路をつくる。シャント1を通過する波形を分析すると、実際に、このことが各振動サイクルの間に起こっていることがわかる。

 
部品一覧表
 

 



 



 
負荷抵抗内で消費されるエネルギーの測定
 

 負荷抵抗は、意図的にインダクタンスをもつように巻いた。このインダクタンスは、8.64μHであり、各スイッチングサイクルの off の間に高い電圧スパイクを発生する。しかしながら、負荷抵抗が、そのような高い誘導性(周波数を考慮すれば)をもつので、負荷抵抗のリアクタンスとインピ−ダンスは、それぞれの振動波形で変化する。

 この変化が、負荷抵抗の瞬時インピーダンスを正確に決定することを難しくしている。したがって、負荷で消費されるエネルギーの測定は、現実的には、カロリメトリックな方法で決定した。

 温度上昇率の測定は、Figs.2 & 3に示すように(訳註:鮮明な画像がない)、抵抗の中空壁に固定したプラチナベースの温度プローブを用いて可能となった。このデバイスを選んだ理由は、それが高周波に影響されないからである。

 
Fig.2 温度プローブおよび負荷抵抗



 
Fig.3 温度プローブおよび抵抗との結合



 プローブは、温度変化(摂氏温度で)の瞬時の読み取りが可能にするデジタルデバイスにつないである。実験は、ドラフトフリーな環境(隙間風[通気・風通し]のない環境)で行った。室内環境の温度は、類似の別の抵抗の中に埋め込んだ同種類の温度プローブで記録した。

 テストは、温度が安定するまでのあいだ待ってから行った。周囲の室内環境温度と抵抗温度の上昇率の差は、テスト条件下の実際の温度の上昇率をあらわすと仮定した。

 温度上昇は、1時間ちょっとで、環境より約52℃上がった。この点において、周囲環境温度の変動の範囲内で、安定しほぼ一定値になった。

 
カロリーのコントロール・テスト
 

 同上の負荷抵抗は、冷却してから、DC可変電源につなぎ、同じドラフトフリーな環境においてDC電力に対する温度上昇を比較のため測定した。印加したDC電圧は、環境温度より高い、同じ温度になるまで変化させた。

 印加した電圧が、13.32Vのとき、温度上昇は52℃に達した。これは、13.32×13.32/10=17.74Wを意味している。このことは、テスト時間のスタートにおいて、平均17.74Wが消費されたことを意味している。

 
バッテリー電源から配達されたエネルギーの測定
 

 前述のように、このような振動周波数から起こる電圧波形は、各サイクルごとに大きく変化する。過渡的電圧スパイクは、エネルギー効率を高めるために(意図的に)発生させるものであるが、この変化を作っている。配達されるエネルギーを道理に合ったように評価するために、サンプルレンジは1.2μsの幅に選んだ。

 オシロスコープのCh.AとCh.Bのプローブは、Fig.4に詳しく示してある。

 
Fig.4 オシロスコープのCh.AとCh.Bのプローブの位置



 バッテリーから流出する、あるいはバッテリーに流入する電流は、シャント抵抗0.25Ωの両端でみた電圧波形を抵抗値で除して決めた。バッテリーは、普通は、負の電流を運ぶことはない。したがって、バッテリーから配送される電流は、シャント両端の瞬時電圧を“グラウンドレベル以上”で測定して、それをシャント抵抗で除して求められるだろうとした。

 これに対応して、バッテリーに逆配送される電流は、シャント両端の瞬時電圧を“グラウンドレベル以下”で測定して、それをシャント抵抗で除して求められるだろうとした。オシロスコープのカップリングは、瞬時直流電流電圧測定にセットした。

 複数の波形がセーブされたが、これは解析のために表計算ソフトに導入しだ。これらのサンプルのおのおのに適用した式は、ΣV×I×δTである。ここで、Vはバッテリー電圧に等しく、電流 (I ) はシャント1の両端電圧をシャント抵抗で除した値である。

 各サンプルの瞬時積 (V×I ) が求まり、そして、全てのサンプルの総和が計算された。各サイクルの間に配達される平均電力を決定するために、全てのサンプルは、そのサンプル数で除した。結果は、配達される平均電力は1.13Wであった。

 
バッテリーの放電率の16.5時間測定
 

 表1は、2×12Vバッテリーの放電率(エネルギーを失う率)を決定するのに、16.5時間に渡って行った実験から抜粋したデータである。この実験の間、抵抗からの環境を超える温度上昇を測定した。温度上昇率の平均は、環境温度以上の分は51.37℃であった。この温度上昇(カロリメトリックテスト)に関係する平均のワット数は、17.53Wであった。

 
表1.バッテリーの放電率の16.5時間測定の抜粋データ



 これは、全テスト時間中に、合計1.22メガジュール消費したことになる。バッテリーのエネルギー源から放出配送されたワット数は、1.13W×997分×60秒=67596ジュールであった。バッテリーの電圧はテスト時間中変動した。しかし、有意なバッテリー電圧の減少はなく、その合理的に確認できる証拠は見られなかった。(中略)

 
結果
 

負荷抵抗で消費されたエネルギー         1.22メガジュール
2×12Vバッテリーから配達されたエネルギー   67.6キロジュール

(以下略)



---------------------------------------------------------


 

5.2  P. J. ケリーによるアインスリー・フリーエナジー装置の解説



 (下記は文献[2]の抜粋・概訳である。) 

 ローズマリー・アインスリは、成績係数COP=17となるパルス式ヒータシステムを製作した。ここに紹介するものは最近の設計である。私の知る限り、いまだ他の人によって複製されたことはない。Panacea- bocaf.orgは、このヒーターに関する独立の装置を製作するためにローズマリーの最初の開発者と共に研究を続けている。

 この時点では、ヒーターは、実験室におけるテストや測定のための試験的プロトタイプモデルであり、キロワットレベルのものではない。そのようなレベルのものを、後日、取り組むことを期待したい。

 Panacea-bocaf.orgは、250頁のドキュメントを出している。そのなかに、研究・テスト・理論・などなどが述べられている。これは、

http://www.panaceatech.org/Rosemary%20Ainslie%20COP17%20Heater%20Technology.pdf



からダウンロード出来る。このドキュメントは、科学者が真剣なテストと開発を行うために必要なことが詳しく書いてあるので、少々技術的かもしれない。そこで、Panaceaは、平均的な家庭内研究者を目的にした簡易版を製作してある。それは、

http://www.free-energy-info.tuks.nl/Ainslie_heater_circuit.pdf#search='Ainslie_heater_circuit.pdf'



からダウンロード出来る。これは、ごく簡単にいえば、電子回路は、同じ非常に短く、非常に鋭い電圧パルスを発生させている。こうしたパルスは、とても多くのフリーエナジー・デバイスの基礎になっている。

 用いている電子回路は、とてもシンプルに見える。しかし、そうではあっても、その動作方法は全くシンプルではない。回路は下に示してあるが、一見すると、多くの応用に使われている標準的な555のパルス回路に見える。しかしながら、回路が555のパルス回路として動作されるなら、出力は、COP>1とはならない。

 もっと注意深く見てみると、555の出力ピン3と、FETの入力ゲートピンの接続は普通ではない。というのは、それはピン3とゼロボルトのグラウンドラインの間の通常の電圧デバイダーではないからである。その代わりに、ゲートは直接555の出力に単一の低抵抗のプリセット抵抗でつながれている。

 
Fig.5 アインスリー装置の回路図[2]



 通常、NE555は50kHzに到達すると、もがくようになる。市場に出回っている555の殆どは、その周波数では動作しない。ローズマリー回路をCOP>1で作動させるためには、“GATE”と記した抵抗を非常にゆっくり回して回路が不安定になり555の通常動作を超え、回路全体の共振周波数で振動し始め、555をフィードバック要素になるポイントに合わせる。

 そうすると、回路は、555の動作速度の10倍以上の速度で、鋭い、短い電圧スパイクを発生する。そして、“Load”と記した10Ω加熱要素を、500,000パルス/secで叩く。

 この動作は明らかにNE555が可能とする性能を超えている。(中略)

 Panacea-bocaf.orgは、この回路のさらなる進展のために研究をし続けているから、この分野における設計に関する彼らの上記フリードキュメントをダウンロードし、彼らの進展をみるとよいであろう。二つのドキュメントは、これまで彼らが成し遂げた研究をかなり詳しく扱っている。もちろん、あなたは自分自身で、この回路を実験し、どんな結果とアジャストが得られるか、自分自身で体験することが出来る。



文献

[1]Transient Energy by Ainslie & Buckley
[2]Patrick J. Kelly:A Practical Guide to Free-Energy Devices, Chap.5.





<↑Topへ>

inserted by FC2 system