フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相

フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相





Chap.7. ゼロポイントエナジーとメカニカルな回転

1. 多くのZPEコンバータに関する概観
2. ターター教授のkW級ゼロポイントエナジー発電機
3. ターター教授「真空ゼロポイントエナジーの変換」論文概要
  3.1 電荷の存在の二つのパラドックス
  3.2 静電気力で動くモータ
  3.3 真空エネルギーに対するQEDモデルおよびその機械的エネルギーへの変換の説明
  3.4 真空エネルギーの機械的エネルギーへの変換:実験的証明に成功
  3.5 磁場の存在の二つのパラドックス
  3.6 真空エネルギーをメカニカルエネルギーに変換する磁気ロータ
  3.7 真空エネルギーのメカニカルエネルギーへの変換の再考
  3.8 真空環境下における真空エネルギーのメカニカルエネルギーへの変換





 ターター教授の論文は、主に第3節に紹介した。これらは、もちろん査読付き論文ではないと推測される。伝統的科学思考形態を打ち破るかもしれない論文は査読における審査合格は得られにくいので、このような方法をとったものと思われる。

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1. 多くのZPEコンバータに関する概観





 ターター教授(独逸)は、ある書物を推薦し、その推薦文のなかで、未知のエネルギーを利用可能なエネルギーに変換するコンバータ(モータ)を概観している。下記は、推薦文の抜粋・概訳である。

 ところで、彼は、何故、磁石モータをゼロポイントモータ(ZPE-motor)と呼ぶかのか、それについても少し触れている(詳しくは論文参照)。


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ターター教授
(典拠:Die Vertushung der Raumenergie )
 “フリーエナジー”の多くの異なるコンバータについて概観した記述は、ある良書のなかに見つかる。これらのコンバータの幾つかは科学者によりテストされ、成功している。

 その本の名は、"Die Urkraft aus dem Universum"(宇宙からの基本力)である。これは、クラウス・イェーベンスにより書かれたが、彼の父親は個人的にニコラ・テスラに会い、テスラのフリーエナジーコンバータを見ている。この本(Jupiter-Verlag出版. 2006. ISBN 3-906571-23-8)は、200頁余りである。



 私(ターター)が、他所で書いた短い推薦文(3頁)は以下のとおりである。

 エネルギー源が、いまもって不明である研究や発明が、数多く存在する。著者は、これをここに報告しているが、個人的にそれらを分析することを試みてはいないので、われわれは、例えば、コーラー装置と同じ詳細な方法で数多くの方法やマシーンを考察しようとしているのではない。

 したがって、我々は、そのような未知のエネルギーを変換している幾つかを例として話すことになる。それは、クラウス・イェーベンスにより書かれた本の中に主として述べられていることなのである。

 この本の中に、もっと詳しことと参考文献が、そのようなマシーンの発明者の生涯についての情報とともに、書かれている。“フリーエナジー”に慣れ親しんでいない人たちは、発明が、如何に発明者の履歴書に影響を与えたかについて驚愕するだろう。

 この本を読むと素晴らしいエネルギー源が存在することを認識できる。このエネルギー源は、尽きることなく、環境汚染が起こらない。また、数世紀にわたって利用されるであろうが、実際は、全く利用されていない。

 実際、それは、一般大衆の大部分に知られていない。しかし、これは科学の問題ではなく、どちらかといえば、行動の問題である。したがって、本報告のトピックではない。未知のフリーエナジーに注意を集中しよう。



 いままで、私は、フリーエナジーの利用に関する約一世紀にわたる研究について書いた。これは、単に、現代は、“エネルギー保存則”と“熱力学の法則”に縛られること、つまり制約条件があるがためなのである。人類は、これらの法則が科学史のなかで発見される前においてさえ、目に見えるエネルギー源なしに、永久運動が可能な機構やマシーンを開発しようとしてきた。

ペレグリヌスの磁石モータ
(典拠:PETER PEREGRIUS MOTOR )
 そのようなマシーンの非常に古い例としては、1269年に記録されているピーター・ペレグリヌス(Peter Peregrinus)による磁気モータがある。彼は、エネルギー保存則を知らなかったために、エネルギーの入力なしに動くマシーンを製作しそれを見てみるということは、彼にとって何も奇妙なことではなかった。

 彼のデバイスには、フライホイールが使われていて、これは永久磁石の力によって回転が維持された。ピーター・ペレグリヌスにとっては、劇的な事ではなかっとしても、今日の我々にとっては劇的なことである。

 この古い時代の装置は、のちになって20世紀後半に再現され、公衆の面前でデモンストレーションが何度も行なわれた。にもかかわらず、この古い装置の再現は、特別すごいこととは見なされることはなく、まもなく忘れ去られてしまった。こうした運命は、フリーエナジーの利用に関する発明によくあることである。



ベスラー
(典拠: Johann Bessler)


 しかし、18世紀初頭(1712)、また、入力エネルギーなしで回転するフライホイールが製作された。それは、ドイツにおいて、ベスラー(Johann Ernst Elias Bessler)によって作られた。それは、数人の懐疑者と物理学者によってテストされた。その中には教授もいた。

 また、28日間に渡る長期耐久試験(もちろん入力電力なしに)が行われ、成功した。動作原理を確認するために、ロシア皇帝(Peter the Great) がドイツに行き装置を検査すると決めた。皇帝は、もし、フライホイールが本当に正しく動くならば、巨大な金額を発明者に与えると宣言していた。

 残念なことに、皇帝は、ドイツへ旅をする時間を見つける前に亡くなってしまった。その瞬間以来、開発は、方向転換する。すなわち、それは現代の典型的“フリーエナジー”研究に向かう転換である。

 ベスラーの機械は標準的な理論に矛盾していたので、どこへ行っても嘲笑された。緊急事態において、彼は、ニュートン(Isaac Newton, 1642-1726)に話しを向けた。しかし返答はなかった。専門家達は、その実験を無視することに決めた。そして、どちらかといえば、彼ら自身が作り上げた自製思想に従った。

 言い換えれば、公認の専門家達のイマジネーションは、自然界の真実の現象よりも高く見なされたのである。困難と不成功の20年の後、ベスラーはあきらめた。そして、自分の発明品を自分自身で破壊した。そのようなことになったのは彼が最後なのではない。

 

 1929年に、ニコラ・テスラがZPE自動車を発表する以前にすら、ワーシングトン(H. L. Worthington)は、どんな古典的エネルギーの入力もなくして、永久磁石で動くモータの特許を取っている。明らかに、この発明も、忘れ去られてしまった。さもなければ、今使っているだろう。



 他の永久磁石モータが、1974年にエックリン(John W. Ecklin)によって発明されている。彼のデバイスは、入力エネルギー無しには、完全動作はしない。しかし、出力エネルギーは入力エネルギーより3倍大きい。通常、これは、今日、モータがまだ最適化プロセスにあるとはいっても、充分応用できるだろう。

 水圧ポンプを用いたモータが、1976年にプット(J. W. Putt)により発明されパテントが取得された。出力パワーは入力パワーよりかなり大きい。



 ハインリッヒ・クーネル(Heinrich Kunel)のエレクトロ・マルチプル(電子増倍デバイス)は1977年にパテントを取得し、現代のサマリウム・コバルト・マグネットを使い、既に動いている。効率130%である。

 

 E.ジャインズ & W.ジャインズ(James E. Jines and James W. Jines)は、既に1969年に入力エネルギーなしに動く磁気モータの米国パテントを得ている。また、入力エネルギーなしに動く他の磁気モータが、キニソン(R. W. Kinnison)により発明されている。

ジョンソンのマグネットモータ
(典拠: Howard Johnson Magnet Motor)


 さらにまた、永久磁石モータがジョンソン(Howard Johnson)により1980年に発明されている。このモータの機能は、数社がライセンス契約を話し合っていることから、明らかに証明されている。彼のモータは、如何なるエネルギーの入力もなくて動くのに、再び科学者は自然界における実際の観察を信じなく、したがってモータが動くことを疑っているのである。

 にもかかわらず、それは動く。このことは、科学上の論争になった。そして、奇妙なことに、この論争はモータの動作原理について問題にするのではなく、どちらかといえば、そのようなモータを一体作ることが可能なのかどうかという無用な疑問であった。モータは動いているのだから、そんな疑問は無用なのである。

 ジョンソン自身は、その動作原理を、永久磁石内部の電子のスピンで説明した。電子は、その回転軸のまわりに永久に回転している。こうして永久に磁場を出し続けている。これは、そのエネルギーを含んでいるので、電子が回り続けるためのエネルギーを供給する何かのエネルギー源が存在しなければならない、ということは明白である。

 このような点において、ジョンソン氏の概念は、私の2.3節に述べた私の概念と、驚くほど接近している。ジョンソンと私の主な違いは、彼は実物を製造することが出来るが、私は、実用的モータを理論的に解析することのみであるという点である。



ニューマンの
モータ (典拠:
Joseph New-
man Motor
)
 ニューマン(Joseph Newman )は、電気力学の範囲内で理論的説明を発展させた。これにより、入力エネルギーは必要だが、出力はそれを超える効率で動く磁気ローターを製作した。出力は、一部をローターに、そして余剰分は自動車の駆動に使われた。

 30人以上の熟練科学者(物理学者も含む)がニューマン博士の発明をテストして、その動作確認をし、真実だと立証した。にもかかわらず、それは、今日、使われていない。(訳註:博士と呼んでいるが、敬称であって、学位ではないかもしれない)

 (訳註:ニューマンモーターに対するNCASの試験結果の報告がある。それによれば、「あらゆる条件下でテストをしたが、入力は出力を上回っていた。すなわち、この装置は入力以上の出力を生まなかった。」と結論されている。このモータと限らず、本稿に扱われているモータは、どれもターターの思い込みでなければよいが…。)

 アダムズ(Robert Adams)教授は、幾つかの発電所や電気技術施設で電気の技術士として働いていた。個人的な研究で、彼は効率100%を超える電磁石式DC発電機を開発した。しかし、フリーエナジーの場面における鑑定がなされた場合、彼は自分の発明が理解されるのには困難さがあると適切に判断できた。そのため、この知識を秘密にすることにした。

 72歳になったとき、彼はそれを初めて公にした。彼は困難さを過大評価してはいなかった。彼の人生に対する攻撃に耐えなければならなかったのである。





デパルマのN-マシーン
(典拠: Performance of N_machine)
 デパルマ(Bruce de Palma)は、MIT(マサチューセッツ工科大学)で学んだ。そこで教えもした。彼は、彼がN-マシーンと呼ぶデバイスを開発した。それは、動かすのに必要とするエネルギ−以上のエネルギーを生んだ。

 彼は、スタンフォード大学で、彼の装置の広範な試験を行った。しかし、その結果は物理の法則に非常に鋭く矛盾する結果となった(この矛盾は今日もなお存在している)。したがって、彼の科学の同僚達は非常に否定的反応を示した。

 とうとうデパルマは、彼の状況について、“私は壁に向かって走っていた。科学は古い方向に向かい現実とはかけ離れてしまっているようだ”といった。何故なら、彼の同僚達が現実に見ていること(実験事実)を信じないで、古い伝統的理論を信じる方法を選んだからである。

 最後に、デパルマは、アメリカを去ることに決心した。何故なら、彼の言葉でいうと“彼らは、私の頭を剥ぎ取ってしまうからだ”という。政府の役人が来たとき、アメリカでは“フリーエナジー”は、求められていない、といわれたという。

 (訳註:このあと、様々なモータの紹介が沢山なされているが、割愛して最後の結論に飛ぶ)

 この約3頁の概観は、200頁余のクラウス・イェーベンスの本のなかの詳細なプレゼンテーションを読んでいただくために、読者の興味を掻きたてるのが目的である。私の考えでは、この概観は書評であると同時に、この本を読むことの推薦でもある。しかし、現在まだよく知られていない新エネルギ源の探求を妨害する非科学的問題についてさらなる印象を与えることでしょう。

 クラウス・イェーベンスの本は、そのような問題と同時に技術的な詳細も述べている。ここで概観でふれるスペースがないが、本には多くの例が記述されている。

 しかし、一体何故、私はここで科学の出版においてそのような非科学問題について述べるのか。

 そして、何故、そんなに多くのパテントとフリーエナジーを利用して動く装置の存在について話すのか。

 それは、“フリーエナジー”装置としてまとめられた、現在まで知られていないエネルギー源があるからであり、誰もが自由にアクセスできるからである。

 それらは、地球上の全大陸上で発明され、幾つかの異なる原理によって動いている。私は、これを立証した。何故なら、私は、フリーエナジーの探索は“旧式”のエネルギー源(例えば、石油、ガス、カーボン、核エネルギー)の多くの使用者達が想像できるよりもずっと大きいということを、指摘したいのである。

 既に適正に動く幾つかのフリーエナジー・モータは感動的である。それは、未知のエネルギーをよく知られた古典的エネルギーに変換している。これは、人類が環境を汚染することなしにエネルギーを作り出す技術を既にもっているということを示している。

 それに、このエネルギー源は尽きることがない。しかし、人類は、このフリーでクリーンなエネルギーの使用を目一杯の意識でもって拒否することを決めた。フリーエナジーを拒絶することで、人類は、この地球を破壊し汚染することに決めたのである。

 我々は、そんなことは不必要なのに我々の生息環境を全意識でもって破壊する。私は、生き延びるための場所をどこかに手に入れないうちに人類は正気を取り戻して欲しいと願うだけである。

 

 

 

 






2. ターター教授のkW級ゼロポイントエナジー発電機



 これは、クラウス・W・ターターの kW級のゼロポイントエナジー・コンバータの抜粋・概訳である

 クラウス・W・ターター(ドイツの応用科学大学教授)は、ゼロポイントエナジーに長年興味を抱いてきた。この課題に関する彼の初期の研究は、ミクロスケールの小さなエネルギーを先ず取り出してみせることであった。

 最近、キロワット級のエネルギーを取り出すモータの理論的論文を著した。このモータは、ドリル程度の大きさで、直径9cm、長さ6.8cmである。もし、理論どおりに実現されれば、何百何千もの応用面が開ける。コンピュータからヒューマノイドロボットまで、範囲は多様である。

 ただし、ターター教授は、原理と作り方について論文を著しているが、実用的kW級ゼロポイントエナジー発電機を実際に作ったのではない。ここに作り方を詳しく書いておいたので、参考にして、どうか作って下さい、というアカデミックな姿勢をとっている。

 ターター教授は、この装置はZPE(ゼロポイントエナジー)を利用したものとしているので彼の主張通りにしておく。

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Fig.3 ゼロポイントエナジー・コンバータへのトリガー
パルスの挿入。これは、機械的共鳴と電気的共鳴
の調整を時間安定(phase lock)にするためのもの。
(典拠: Philica)


編集:スターリング・D・アラン
(ピュア・エナジーシステムズ・ニューズ
2011年2月9日)


 ドイツの応用科学大学のクラウス・W・ターター教授(Ph.D)は、ゼロポイントエナジー・モータの作り方の理論について論文発表した。これは、ドリルくらいの大きさで1kWの出力がある。

 その文献は、 Philica から得られる。

 ターターは、“あなた方が、それを楽しく読んでいただき、人々に伝え、またそのような機械を作ってもらえたらと思います。”と私(編集者のアラン)に言った。

 私が、New Energy Congressに、その件を特集すべきか聞いたら、セップ・ハッセルバーガーが、下記のような返事をくれた。

 "yes"と確信をもって言いたい。
ターターは、商業的な装置は作らないだろう。彼は、論文でゼロポイントエナジーを証明した理論家として高く評価されています。ターターは、アメリカでよくあるようなやり手の姿勢には欠けていますが、この分野を発展させることに非常に本気で取り組んでいます。幾つかの学術会議で口演しています。

 彼の、初めの証明は、ミリワットあるいはマイクロワットレベルのものでした。磁石を回転させて商業的に使えるZPエネルギー製品が出来ることを示しました。さらに彼は、他の実験者がやれるように、どのようにしたのか示しました。複製可能にし、さらに最適化するするためのパラメータを示したのです。

 もし、ターターの言葉が信じられるならば、基本的に、我々は、作動するZPEコンバータの公開情報源を持っているということです。  メカニカルな振動と磁気的振動を共時的に結びつけることは、天才的であり、偉大な将来的発展の一分野を開くだろうと、私は思います。
 


 論文の題目は、“実現可能な寸法でkW級の電力を出力するゼロポイントエナジー・コンバータのDFEM-シミュレーション”です。要約は以下のとおりです。



 前回の論文で、著者(ターター)は、ダイナミック有限要素法(DFEM)と呼ばれる、ゼロポイントエナジー・コンバーターの計算方法を示した。ゼロポイントエナジーの変換の幾つかの例を示したが、ナノワットかマイクロワットレベルの出力であった。これは、基本的な証明であった。しかし、技術的応用面では不十分であった。

 kW級の出力パワーの大きいゼロポイントエナジー・コンバーターに向かうためには、さらに研究が必要であった。ここで、その方法を提供する。前回の基礎的研究とは異なり、この新しいコンバーターは、磁気的に作動させなくてはならない。何故なら、磁場のエネルギー密度は電場のエネルギー密度より、ずっと大きい、すなわち数桁も大きいからである。

 本論文では、理論的問題点、すなわちkW級のゼロポイントエナジー・コンバーターの製作理論に対し、その解決法を段階的に提供する。1.07kW出力する、直径9cm、高さ6.8cmのゼロポイントエナジー・モータの一つのモデルという結果を生む。



 ビデオ

 ターター教授 とゼロポイント・エナジー・ロータのビデオがhttp://www.youtube.com/watch?v=IiC2IGLl90Qに公開されている。真空のゼロポイントエナジーを、古典的力学的エネルギーに変換する(初期の)静電モータである。
ターター教授 とゼロポイント・エナジー・ロータ:(出典:Peswiki)




 ビデオに寄せられている批評などのコメント(抜粋):




 ターターの他の論文:

  1. ゼロポイント・エナジー・コンバータ製作のための簡単なアルゴリズム例

     Philica誌に公表したコンピュータアルゴリズムが、実用的ZPEの(非常にシンプルなシステムに対しての)計算を示している。“ゼロポイント・エナジー・モータの製作を楽しんで欲しいのです。”―クラウス・W・ターター。

  2. 電磁的ゼロポイント振動の真空エネルギーの古典的機械エネルギーへの変換

     (93頁、 1 MB, フリーダウンロード)クラウス・W・ターターは、真空のゼロポイント振動に関する彼の研究の完全な概観を、理論の初めから、最終的実験証明と実験室内での真空エネルギーの変換マシーンの製作まで著した。

  3. 真空エネルギーモータ、ロータ、および機械的エネルギーへの変換

     クラウス・W・ターターは、ドイツの応用科学大学における“物理学についての思想”シリーズのなかに数編の論文を投稿した。

  4. 真空エネルギーに対するQEDモデル、その機械的エネルギーへの変換の説明、および真空状態における機械的エネルギーへの変換

     クラウス・W・ターターは、ゼロポイントエナジーを測定する識別方法の追求を続けている。

    真空エネルギーを機械的エネルギーに変換
    する実験装置の原理のスケッチ。(Philica)


  5. 現実的なDFEM計算に基づいたZPEコンバータに対する製作ガイドライン

     クラウス・W・ターターは、“kW級のZPEモータの理論を著してから、何百何千という質問を受けました。多すぎて個々に答えることは不可能です。そこで、私は、DFEMの計算をさらに進めて、私のEMDRゼロポイントエナジーモータの実際的なガイドラインを出すことにしました。”と述べている。(Philica; April 3, 2011)
    コイルなどの配置図 (出典:Philica







    「新エネルギーと燃料」

    ゼロポイントエナジーは信頼され得るか?



     これは、 「新エネルギーと燃料」に掲載されたターターのZPE発電機に関する記事の抜粋・概訳である。

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    February 17, 2011 ( 6 Comments)

     世界中で、ゼロポイントエナジーの研究活動が沢山なされている。米国においては、風変わりなもの、あるいは非科学的分野という領域にとどまっている。他の地域では、科学の分野でもっと真面目に捉えられている。

     科学は、その生涯に渡り、更新・訂正・組み直しがなされてきたという事実が既に一杯あるので、筆者は、従前のよく知られた科学に縛られることを嫌っている。心をもっと開いていた方がずっと良いだろう。即応体勢と新イベントが衝突するとき、チャンスがやってくるのである。ゼロポイントエナジーと低温核融合は、正しいか否かに拘わらず、いま、イベントである。だが、もし正しければ、準備した方がよい。

     天文学と宇宙科学は全宇宙の2/3は、目に見えないタイプのエネルギーから成り立っていることを観測している。それについては、少ししか分かっていない。あるいは、そこに存在するという事実以上には殆ど分からない。誰もこのエネルギーを見ることができないので、“ダークエナジー”(暗黒エネルギー)という名前が与えられている。

     この名前は、何かミラクルで超常的な力を意味するのではなく、単純に、誰もこのエネルギーを見ることは出来ないということを指しているのである。丁度、暗黒状態では何も見えないように、である。また、この名前は、その性質や起源について、少ししか分かっていないということも意味している。

     誤解を防ぐために、時によっては、このエネルギーは“空間のエネルギー”あるいは“真空のエネルギー”と呼ばれることもある。何故なら、それは、全くの空間の、したがって真空の、性質だからである。もし、古典物理学が正しければ、このエネルギーはどこにでも存在する。

     このエネルギーを確かめるためには、高度な真空は必要ない。“固体”物質の中にさえ、非常に大量の空間が存在する。目に見える物質を含んでいてもいなくても、それとは無関係に空間はこのエネルギーを含んでいるということなのである。

     このエネルギーの他の部分は、“量子力学的ゼロポイントエナジー”(ZPE)である。というのは、それは量子力学的ゼロポイント振動に起因しているからである。この振動はどちらかといえば抽象的であるが、量子力学の分野では良く知られていて、もう数十年の歴史がある。(中略)

     …ターターとクナップ(ドイツ)は、ZPEを捕獲して機械的運動に変換するデバイスを作り上げたと考えている。あまり注目されていないとはいえ、その結果は、小さなことではない。



    ターターのZPEのシンプルな図面


     …ターターのはじめの研究では、静電場に基礎を置いたZPE捕獲の試みであった。これは、実用には至らない小さな量しか出なかった。そこで、新研究では、磁場のエネルギー密度に焦点を当てた。何故なら、磁場のエネルギー密度は、数桁も大きいからである。

     ターターの論文は、キロワット級におけるZPEコンバータの製作理論を提案している。1.07kW発生する直径9cm、高さ6.8cmのZPEモータのモデルである。

     論文は幾つかの部分から構成されている。…第1部分の段階では、動く装置は作らないが、必要な材料には制限があることの数学と理論が述べられるている。

     第2〜第5部分では、装置の提案に至ったターターの連鎖的段階的探検である。この段階に沿って読んでいくことは重要である。なぜならば、理論の展開が順々に示されるからである。その過程で、三つの疑問が起こる。

     さて、専門外の人の場合は、量子的振動は、とてつもなく小さくて、長い時間をかけて少しずつ起こるということを覚えておいて欲しい。これは、デバイスの重要ポイントを動作状態に維持するタイミングあるいはチューニングの作業を必要とするということなのである。

     もし、デバイスが振動のタイム・セグメントにチューニングできなければ、エネルギー捕獲は起こらない。ということは、ターターはデバイスの入力をパルス信号で安定化しなければならなかった、という意味である。ターターの画期的な点は、チューニングは、振動の二つの運動間の二つの共鳴にチューニングしなければならない、ということの解明である。初めの‘アー、なるほど’という最初の瞬間、二つの共鳴の差分が捕獲できるエネルギー値となって現われる。

     第4部分において、ターターは、幾許かのパワーを分岐するために、トランス型のコイル対を有する他の設計を試みている。第二の‘アー なるほど’という瞬間、63mW出力している。いまや、ターターは、上手くいっている。

     第5部分は、ブレインストーミングのような、さほどの‘アー、なるほど’という瞬間はない。ここでは、キャパシターの中に振動が現われることをほのめかした彼の初期概念が、デバイスのコイルの中に振動を起こし得るということが認識できるのである。(中略)

     デバイスは、それから、電磁石のなかの電磁石から来るチューニング運動になる。単純な言葉で言えばエレクトロ・ソレノイドのような感じである。難しいのは、チューニングすることである。問題点を、一言で言えば、電磁石中の電磁石の振動である。

     その解決策は、代わりに永久磁石を回転させることである。

     第6部分は、永久磁石を回転させて使うことについて、かなり詳しく説明している。一つ重要な点は、ターターが、コンバータの作動に対するチューニング・ポイントを見つけるアルゴリズムを導き出したことである。いっぺん、理論の基本を会得し、アルゴリズムを動くようにしてコンバータを製作すれば、それは動くはずである。

     これは、確かに始まりに過ぎない。デバイスを製作する手腕をもったタイプの人は、若干は、存在するだろう。好奇心の強い技術者なら数ヶ月で完成できても不思議ではない。

     ターターは、デバイスには、材料による限界があることを指摘している。磁石の回転速度は、普通の材料の仕様の範囲内にある。(中略)

     しかし、理論は正しいのか、そして動くように作れるのか?
     技術者が必要とする殆ど全てのものが、ターターにより提供されている。知識の情報は、ここに公開されている。

     …もし、それが動くなら、いや、動くことを期待しよう。
    参考サイト:http://newenergyandfuel.com/http:/newenergyandfuel/com/2011/02/17/can-zero-point-energy-gain-credibility/#sthash.9KCOR0wW.dpuf











    3. ターター教授「真空ゼロポイントエナジーの変換」論文概要





     上記の‘ここに公開’をクリックすると、ターターに関するサイトが現われる。その画面の冒頭に、

    「私は、実験室におけるフリーエナジーの実用化について証明しましたが、私は、この研究を完全にストップしなければなりません。これは良くないことです。何故なら、“フリーでクリーンなエネルギー”は人類にとって重要だからです。
     私の、今までの研究結果を見たい人は、どうか下にスクロールしてください。―  ターター」


    と書かれているが、スクロール・ダウンすれば、その文献は、全てダウンロードすることが出来る。これらは前述のように査読付き論文ではないと推定されるが、黎明期の分野では、こうした形を取らざるを得なかったものと思われる。以下は、その抜粋・概訳である(上記と重複部分あり)。

     ターターのPhylicaの論文は、 http://philica.com/advancedsearch.phpを参照。



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    3.1 電荷の存在の二つのパラドックス



    一定量のフィールドエネルギーを含む
    球殻の図 (出典:左記論文)
     電磁波は、光速で伝播する。その理由は、静電場も磁場も同じように、この速度で伝播するからである。波動も静電場も、どちらのタイプも、エネルギーを含んでいて、これを伝送する。

     従って、場のソース(みなもと)が、どれだけのエネルギーとどれだけのエネルギー密度を空間に放出するか計算できる。―計算結果は、このエネルギーは、巨視的球体に対しても素粒子に対しても同様にゼロではないことを示している。

     その計算が、この論文に示されている。これは、今まで答えられていない原理問題に到達する。すなわち、電荷は永久に放出しているエネルギーを、どこから得ているのか、という問題である。

     しかし、パラドックスは、第二の様相をもっている。つまり、もし我々が、電場を含む特定の元素の一定量体積の軌跡を空間を通して追跡すると、我々は時間とともに場のエネルギーの内容が減少することに気が付くであろう。しかし、この発散するエネルギーはどこへいくのか?

     詳細は、論文(pdf)、あるいはhttp://arxiv.org/abs/0710.3253参照。



    3.2 静電気力で動くモータ

    静電気モータ(出典:左記論文)


     電荷により作られた静電場がロータを回転させるという新型のモータを提供する。モータの物理的原理は、クーロン力を基礎にしてイメージチャージ法を用いて説明される。さらに、実際の証明目的の実験装置に対して可能性のある提案を提供している。

     組み立てると、直径20cmのロータになり、約0.1μmのレベルの大きさのトルクになる。この装置は、まだ最新の応用に対して最適化されていないが、理解しやすい方法で設計されている。ロータを回転させるエネルギーのみなもとは真空のエネルギーに帰結できる。

     詳細は、論文(pdf)、あるいはhttp://arxiv.org/abs/0710.3253参照。

     さらに、静電モータ装置の最適化についての数値的考察は、ここを参照。



    3.3 真空エネルギーに対するQEDモデルおよびその機械的エネルギーへの変換の説明





     真空のエネルギー密度は、物理学的には、いまだに未解明の問題である。主として、このエネルギー密度は、全ての真空のゼロポイント振動のエネルギーを合計することによって、計算することが可能である。問題は、この総和が発散して不適切な積分になってしまうことである。

    真空エネルギーのメカニカルエナジー
    への変換(出典:左記論文)
     これを解決する手段は、幾何学的ダイナミックス理論の範囲内で見つかる。しかしながら、これは今日懐疑的に見なされているし、天体物理における測定では矛盾が現われる。

     本研究では、量子電気力学を基礎にした、発散問題という不適切積分のために新しい解を導入する。これにより不適切問題は解決され、現実的な値が現われてくる。必要とする仮定は、電磁波の伝播の速度は、DCの電場と磁場に影響されるということである。

     ここで、いま、仮定とは、真空のゼロポイント振動は、同じ振る舞いをする、とすることである。

     しかし、本論文は、真空のゼロポイント振動のエネルギーの理論的計算に限定したものではない。それは、また、実験的証明に至り、また実験の動作の理論的(量子電気力学的)説明を与える実験室内におけるゼロポイント振動の利用にも至るのである。この実験は、既に成功している。

     詳細は、論文(pdf)を参照。



    3.4 真空エネルギーの機械的エネルギーへの変換:実験的証明に成功





    静電気ロータの写真(出典:左記論文)
     真空エネルギーの機械的エネルギーへの変換に関する理論的考察を、「静電気力で駆動されたモータ」として提供した。変換原理は、静電気学に基づいている。

     この理論的研究の実験的証明がここに述べてある。この目的のために、金属製ロータが流体静水学的ベアリングで支持してある。ロータを駆動する電場の源は、円盤である。

     一旦この電場の源が電気的にチャージされれば、電場の源がその電荷を保持し続ける限りは、ロータは、真空からエネルギーを得て回り続ける。ここに述べた実験は、回転がほんとうに起こることを確信させるものである。

     詳細は、論文(pdf)を参照。



    3.5 磁場の存在の二つのパラドックス



     一つの思考実験を行った。誰かが電荷を観測するとする。電荷は与えられた基準座標系に対し一定速度で運動している。その座標系に観測者は静止しているとする。さらに、この運動電荷とは、電場も磁場も作用しない、従って、電荷に作用する力は存在しない、と仮定する。

    パラドックスの説明図(出典:左記論文)
     従って、一定速度を保っている。しかし、運動電荷それ自体は、基準座標系に対し磁場を発生する。運動電荷は、その速度を変えない、従ってそのエネルギーを変えないので、それはどんなパワーも放出しない。しかし、発生した磁場はエネルギーを含んでいるし、我々は運動電荷から放出されたパワーを計算することができる。それは、時間の関数として一定ではないことが分かっている。

     このエネルギーの存在とパワー変化は、磁場の第一パラドックスである。もし、我々が、電場を含む特定の元素の一定量体積の軌跡を空間を通して追跡すると、我々は時間とともに場のエネルギーの内容が減少するという計算結果となる。

     単なる空間中を伝播する結果として、説明できないエネルギー損失が起こるということは、磁場の第二のパラドックスである。

     詳細は、論文(pdf)を参照。



    3.6 真空エネルギーをメカニカルエネルギーに変換する磁気ロータ



     前研究において、如何に真空エネルギーが実験室において現われ得るか、また如何に静電界のエネルギーを用いたロータを回転させる静電気力を使って、それがメカニカルエネルギーに実際に変換できるかを示した。

    超電導ロータ。ロータは平板状永久磁石の下に配設してある。
    (出典:左記論文)

     その静電気原理の類似性において、磁場のエネルギーが、真空エネルギーをメカニカルエネルギーに変換する別の方法が導びきだされる。この変換を実現する実験のデザインが、ここで考え出されている

     とはいえ、これは、この方法で出来るという期待である。実験は、ほんとうに挑戦的である。



     詳細は、論文(pdf)を参照。



    3.7 真空エネルギーのメカニカルエネルギーへの変換の再考



    エレクトレット(electret)

     永久磁石の磁気分極のように,ある種の誘電体において誘電分極が電界をなくしても残留する物質でつくられた荷電体。磁石 magnetにならって electretと名づけられた。マイラーやポリプロピレンなどのプラスチックでつくられる。 (出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

     この論文は、私の真空・エネルギー・ロータの研究の概観であるが、技術的な成熟に一層近づけることに関する考察も含んでいる。電荷の絶縁損失を避けるために、場のみなもとはエレクトレットから作った。

     この場合、数回回転しただけで止まってしまった(エレクトレットの表面の電荷分布が不均一なためである)。しかし、この観察から、真空・エネルギー・ロータはビーフェルド・ブラウン効果あるいは何かの電気流体力学的効果によって回っているのではないと結論できる。

     詳細は、論文(pdf)を参照。



    3.8 真空環境下における真空エネルギーのメカニカルエネルギーへの変換



     過去において、実験室内で真空エネルギーを観測できるようにするために、筆者(ターター)は理論的アプローチを展開した。著者は、真空エネルギーをロータを回すという古典的メカニカルな回転エネルギーに変換する特殊な静電ロータで、実験的に証明したのである。

     これまでの実験は、全て空気中で室内気圧の下に行ったので、ロータの動きはイオン化した気体分子の反作用による人為的なものではないことを証明するために、真空中で行うことの要望があった。

     この目的のために、ここでは、実験装置は、空気が存在しない環境で行った。これは、気体放電を排除するに充分な気圧の真空内の実験という意味である。実験は、マグデブルグ大学(University of Magdeburg)で行った。これは成功し、真空エネルギーのメカニカルなエネルギーへの変換はイオン化した分子による人為的作用ではないことが実験的に証明された。







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