フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相

フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相







Chap.8b. 電気エネルギー(主にテスラ)

1.  ドン・スミスの高出力フリーエナジー発電機
2.  ドン・スミスの考え方とドン・スミス式共振テスラトランス製作法
3  ドン・スミスのテスラコイルによる環境エネルギー捕獲の基礎実験とラジアントエナジー
4  太い銅線で巻く空芯コイルの製作方法とインダクタンス計算 
5  高圧コンデンサーの製作方法 
6  プレンティスのエアリアルシステムのキロワット級発電機 
7 ウォルタ・フォードのスピーカが鳴る無電源クリスタルラジオ 
8 エネルギー捕集アンテナ に対するひとつの考え方 
9 マグニファイア(Magnifying transmitter)と1/4波長コイルなど
10 マグニファイヤのエキストラ・コイルの解析 
11 テスラの磁気クエンチスパークの働き
12 テスラのフリーエナジーモ−タ
13 テスラのフリーエナジー電気自動車 ピアースアロー 





Chap.8b. 電気エネルギー(主にテスラ)



  「テスラのラジアントエナジーは、電力に変換されると、バッテリーや電気製品などのそれぞれ異なる種類の電気製品に対し電力を供給する。通常の電気でモーターを回すとあつくなるが、ラジアントエナジーで回すと冷たくなる。失速させて過負荷させると、モータの筐体は霜で覆われる。これが、この種類の電気を冷電気とよぶ理由である。…II章2節」





1  ドン・スミスの高出力フリーエナジー発電機




 ドン・スミスは、テスラの研究を全て理解し、その理解に基づいて実用的なデバイスを何ダースも完成させたとても優れたアメリカ人であった。考え方と作り方の詳細については次節に示してある。

 12Vのバッテリーを使ってパルス磁場を作り、これで、周囲の環境を軽く押して、莫大な量のエネルギーを取り出した。出力は、約160kWである。これは個人が必要とする量より、ずっと、ずっと大きい。言い換えれば、この1個のデバイスであなたの家庭電力を簡単にまかなえるし、電気自動車に必要な電力が65kWであることを考慮すれば、燃料なしで走る車が可能となる。これはマジックではない。その変換に対し正しく適用することができる普通の電気理論である。

 ドンのデバイスのキーとなる部品は、ネオンサインのデイスプレイをドライブするのに使う、質素な市販モジュールである。このモジュールは、35.1kHzで約9,000Vを出力する。ドンが指摘しているように、パルス頻度とパルス電圧を2倍にすると、得られるパワーは16倍に上昇する。何故なら、これら両方の効果は2乗になるからである。あなたは、Bob Boyceがトロイドを42kHzかそれ以上の周波数の非常に鋭いパルスで駆動すると、彼のシステムに大きな効果が現われた、ということを思い出すだろう。

 ドンは、作動電圧を、テスラコイルと呼ばれる昇圧トランスで、もっと上昇させた。その結果、大量のパワーの領域へと入っていくことになった。人々は、テスラコイルは、電圧は出るが電流はとれないという間違った考えをもっている。だが、本当のところは、2次コイルの真ん中に1次コイルを配置すれば電圧と電流は大体同じだけ出る。これは、非常に、非常に、高レベルのパワーとなるのである。彼のデバイスのひとつを下図に示す。

Fig.1a ドン・スミスの高出力デバイスのひとつ
Fig.1b. Fig1aの推定回路図の一例


 このプロトタイプは、実のところ複雑すぎるが、もっと簡単になる。もう少し違う製作方法を選ぶと3個の高圧コンデンサーは必ずしも必要ではない。しかし、このバージョンでは、12Vのバッテリーが、無歪みサイン波インバーターのパワーを供給している。このインバーターはネオン管ドライバー回路に必要な電圧と周波数を供給している。

 キャパシター、とくに、8,000V出力の蓄積キャパシターの電圧限界は、ネオン管ドライバー回路の9,000V出力を十二分に安全にしている。これを取り扱うのに、ドンは、バリアック型のトランスを用いて、ネオン管ドライバーに電力供給しているが、これで出力蓄積キャパシターの8,000Vに送る出力電圧に制限をかけている。

 鍵となる点を詳しくいうと、テスラコイルの短い方の1次巻き線の線の長さが長い方の2次巻き線の線の長さの正確に1/4であることである。これは、動作に不可欠な共振現象をコイルに発生させる。最後の、正確なチューニングは、1次コイルをちょっとだけ異なる位置にスライドさせて行うことができる。ドンは、これを、各巻き線間に小さなキャパシターをくっつけて最後の微調整をする方法を選んでいたが、これは必ずしも必要ではない。

 上に示したプロトタイプでは、4個のダイオードを用いて、出力をDCに変換し蓄電キャパシターに供給した。これは、20Aの電流を供給できる8,000Vの出力という結果になった。それは、160kWの出力である。ただし、出力キャパシターの電圧規格による制限がある。

 ドンは、そのようにすることは必ずしも必要ではなく、その代わりに、降圧トランスを用いて、出力電圧を下げ、電流を増加させることが可能であると指摘していた。そうすれば、電圧の制限は無くなり(ただし高圧ケーブルを用いる)、バリアックは不要になり、高圧キャパシターも不要となる。

 二つのオプションがある。電圧を主体にするか、周波数を主体にするか、AC出力を主体にするか、どれでも選ぶことができる。DC出力を作り、特注でない普通の手持ちのインバータを用いて、どんな装置でも動かせる。はじめのオプションでは、ドンは降圧トランスの1次側に一個の抵抗を入れて周波数を必要レベルまで下げた。ただし抵抗は正しい値でなければならない。

Fig.2 システムの電圧と出力電力の関係


 DC出力を得る方法では、周波数を変化させる必要はない。

Fig.3 システムの電圧と出力電力の関係


 これら二つの場合では、12Vの電源バッテリーは、出力電力で常に充電される。やり方はいろいろある。しかし、バッテリーは、消費が小さいので、過充電されないように注意が必要である。

 Bob Boyceのトロイドシステムとドン・スミスのテスラコイルシステムのあいだには類似性があることに気づくだろう。どちらの場合も、非常に注意深く円形に巻いた線に高い周波数のパルスが投入され、どちらの場合も実質的に過剰な電気エネルギーが周囲の環境から、パルス磁場のおかげで、得られている。






2  ドン・スミスの考え方とドン・スミス式共振テスラトランス製作法




 ドン・スミスのフリーエナジー発電装置は、大きな出力を有する素晴らしい装置である。彼の発明は、Thomas C. Martinのテスラに関する本"The Inventions, Researches, and Writings of Nikola Tesla"ISBN 0-7873-0582-0 からきたものである、といっている。この本は、http://www.healthresearchbooks.com、あるいは、http://www.free-energy-info.tuks.nl/ as a pdfからダウンロード可能である。

 多くの実験者がドン・スミスの装置を再現しCOP>1にはなったが、十分大きい電力を得ていない。そこで、Kellyが、分かりやすくまとめた記述を紹介する。以下のとおりである。

 これを読むにあたって注意しておきたいことがある。あなた方は、ちょっとでも間違い(あなたの基準での判断または大学課程電磁気学・物理学などを基準とする判断で)を発見すると、もう完全に見向きもしないという悪癖はやめ、何を言わんとしているか真意を汲み取るようにし、ヒントを得るように読んでいくことである。

 ラジアントエナジーや冷電気や縦波の電磁気学は、従来の電磁気学で判断してよいものだろうか。一度、あなたが間違いだと判断するかもしれないドン・スミスの理論体系で設計してみたらどうだろうか。Higher spiritsからは、「先入観を捨てて、子供のように考えてみなさい」と、何度言われたことか。私は、それを、今思い起こしている。

 特に、どういう仕組みにしたら環境エネルギー(ラジアントエネルギー、宇宙エネルギー等々)をよく捕獲できるのか、ドン・スミスの話をヒントにして欲しい。その点で、彼はとても有益なことを提案していると思われる。




 私(Kelly)は、はっきり言って、この分野の専門家ではない。しかしながら、ドン・スミスが主張しようとしている主要点についていくつか述べておくのはたぶん価値あることと思う。ここで主張されているもののなかには非常に重要な点がいくつかある。これらを把握すれば、環境エネルギーを捕獲する能力に差が出てくる。

 言っておく価値のある点は下記の四つである。



2.1 電圧

 我々は直感的にものをみる傾向がある。それは、普通、かなりシンプルな思考に基づいてなされる。例えば、軽いものを持ち上げるより重いものを持ち上げる方が難しいと、我々は自動的に考える。どのくらい難しくなる?そう、2倍重たくなるとしたら、持ち上げるのにたぶん2倍の努力になる。こういう見方は、数学的公式を解いた結果というより、むしろ、過去の経験から来る。

 それでは、電子回路系に電圧パルスを入力することについてはどうだろう?電圧を上げるとシステムの出力はどのくらい影響を受けますか?我々の最初のぶっつけ本番の反応は、出力パワーはちょっと増加するでしょうと考える、それから暫くして、我々はW=V×Aを思い出し、電圧を2倍にすれば出力パワーは2倍になる、と答えるでしょう。そう、我々は、もし電圧を2倍にすれば出力パワーは2倍になるということで決着する。もし、そう考えたなら、それは間違いである。

 ドン・スミスは、キャパシタとコイルはエネルギーを蓄積していて、もし回路の中にこれらが入っていれば、出力パワーは使われた電圧の2乗に比例することを指摘している。電圧を2倍にすれば、出力パワーは4倍大きくなる。電圧を3倍にすれば、出力パワーは9倍大きくなる。10倍大きな電圧を使えば、出力パワーは、何と100倍にもなる。

Fig.1 システムの電圧と出力電力の関係


 ドン・スミスは、1秒あたりのサイクルによって蓄えられ増幅されるエネルギーはシステムによりくみ上げられるエネルギーであるといっている。キャパシタとインダクター(コイル)は、電子を蓄え、それらの振る舞いは次式で与えられる。

 キャパシタの公式: W = 0.5×C×V2×Hz

 ここで、Wはエネルギー(ジュール=電圧×電流×秒)、Cはキャパシタンス(ファラッド)、Vは電圧である。
  

 インダクタンスの公式: W = 0.5×L×A2×Hz

 ここで、Wはエネルギー(ジュール)、Lはインダクタンス(ヘンリー)、Aは電流(アンペア)である。


 インダクター(コイル)が含まれていると、出力パワーは電流の2乗で増加することに気づく。電圧を2倍にし、同時に電流も2倍にすると、電圧増加で出力パワーは4倍になり、電流増加でさらに4倍増加するので、16倍の出力増加となる。

2.2 周波数

 上の二つの式から、出力パワーは、周波数”Hz”に直接的に比例していることに気づく。 周波数は、回路に加わる1秒あたりのサイクル数(あるいは1秒あたりのパルス数)である。これは、大概の人にとっては直感的なものではない。パルス頻度を2倍にすれば、出力パワーが2倍になる。このことから、何故テスラが何百万ボルトとか何百万ヘルツを用いようとしていたか、分かるだろう。

 しかしながら、ドン・スミスは、回路が共振状態にあるならば、回路の抵抗はゼロに落ち、回路は実質的に超伝導体になるということを言っている。そのような共振状態のシステムのエネルギーは、

 共振回路: W = 0.5×C×V2×(Hz)2.

 ここで、Wはエネルギー(ジュール=電圧×電流×秒)、Cはキャパシタンス(ファラッド)、Vは電圧である。

 もし、これが正しいなら、共振回路で周波数を上げることは、デバイスの出力パワーを大きくすることである。そうすると、疑問が生ずる。何故ヨーロッパの商用電力は50Hzでアメリカでは60Hzなのか、そして、周波数をあげるとパワーが増加するなら、何故家庭の電力は百万ヘルツではないのか。

 その主な理由は、そのような周波数の電力で回るモータを作るのは容易なことではないということである。だから、掃除機や洗濯機やそのほかの家電製品はモータに適切な周波数が使われるのである。しかしながら、環境からエネルギーを抽出しようとするときは、高い電圧と高い周波数にすべきである。こうして大きい電力が抽出されるとき、もしモータに適切な低い周波数が必要なら、抽出された電力をそのような低い周波数に変換すればよい。

 非常にシャープな立ち上がり端をもつ鋭いパルスでデバイスがドライブされると、パルスの実効的な周波数は、パルスの周波数よりむしろ、実質的には、その立ち上がり速度で決定される。例えば、200kHzパルス列に相当するleading edgeをもつ50kHzのパルスが発生すると、デバイスは25%のmark/space比の200kHz信号を受ける。つまり、200kHzパルス列に等価な磁気的衝撃効果をもつ非常に急な電圧印加となる。

 2.3. 磁気/電気の関係

 ドン・スミスは、現在のパワーシステムが何故そんなに効率が悪いかというと、われわれが電磁気の電気成分に注力しているからである、といっている。そのようなシステムは、電気は電磁気パワーの"損失"だから、常にCOP<1である。

 その代わりに、磁気成分に注力すると、その磁気成分から抽出できる電力に制限はなくなる。あなたが期待するであろうことに反し、もし、磁気成分から電力を引き出すピックアップシステムを取り付けるとすると、あなたは、いくつかの数のピックアップ装置が取り付け可能である。どれも、磁気の波動を何ら投入することなしに、磁気入力から同じ量の電気エネルギーを抽出するシステムである。ひとつの磁気効果を生成させる"コスト"に対し無制限の電力が出力される。

 我々が、生成したい磁気効果は、ゼロ・ポイント・エネルギーのリップルである。理想的には、非常に小さいパワーを用いてその効果を生成したい。正負のターミナルを有するバッテリあるいはNS極を有する磁石でダイポールを生成させるなら、それは、その近傍の環境に電磁気的インバランスを作る簡単な方法となる。

 空芯コイルかテスラコイルならば磁場をすばやく変化させられるので、このようなコイルにパルスを投入するのはより良い方法である。コイルに磁性体コアを用いると、鉄は非常に高速に磁場を変化できない問題がある。理想的には、鉄が可能な周波数より少なくとも千倍も早いパルスが必要である。

 ドン・スミスは、学校教材の送受信共振回路キット(#10-416。サイエンスソース・メイン社)に注意を向けている。このキットは、共振エネルギー発生と受信回路によるその受信をデモンストレーションするものである。ところが、もしいくつかの受信回路を使うなら、捕集されたエネルギーは、送信回路のエネルギーの追加なしに、数倍大きくなる。このことは、ラジオの送信に類似である。数百数千のラジオ受信機は送信機に何ら追加の電力投入なしに伝送信号を受信できるのである。

 これは、即座にハバードのデバイスが頭の中に思い浮かんでくる。ハバードは送信器に磁気的に密接に結合したリング状の"受信機"に囲まれた中心的電磁波伝送機をもっていた。そのひとつひとつは送信機から送られるエネルギーのコピーを受信していたと思われるのである。

Fig.2 ハバードのコイル


 ドン・スミスは、この効果を、テスラコイルの中で起こることを、もっと明白に指摘している。典型的なテスラコイルでは、外側の1次コイルの直径は、内側の2次コイルのそれよりずっと大きい。下図のとおりである。 

Fig.3 テスラコイル。
外側の1次コイルの直径は内側の
2次コイルの直径よりかなり大きい。


 例えば、4回巻いた(=4ターンの)1次コイルに8,000Vを印加すると、各ターンには、2,000Vがかかる。1次コイルの各ターンは2次コイルの各1ターンに電磁気の束を伝送する。そして、2次コイルは非常に多数のターンが巻いてある。1次コイルに使われるエネルギーよりもずっと大きなエネルギーが2次コイルの中に作られる。

 テスラコイルは、大きな電流を作れないと信じる共通の誤りがある。もし、図のように、1次コイルが2次コイルの真ん中にあるようにすれば、発生した電流は電圧と同じくらい大きくなる。1次コイルに小さなパワーを入力して、9節で述べたように、kWオーダーの利用可能な電力を得ることができる。

 2.4. 共振

 環境エネルギーを捕獲することを目的とした回路において、最も重要なことは共振である。それが、いま考慮している電子回路であるとき、このエネルギーがどこから入ってくるか見るのは難しい。しかしながら、どんなものでも、それ自身の共振周波数がある。それがコイルでも、あるいは他の電子的部品でも、そうである。電子部品が互いに結合されて電子回路になるが、回路は全体としての共振周波数を持っている。簡単な例として、下図のスウィングを考えよう。

Fig.4 ブランコのスウィングの共振


Fig.5 LRC回路


 もし、スウィングが、お母さん側の最高点に到達する前に、押されたら、この押圧はスウィング作用を減少させる。ひとつのフルスウィングの時間は、スウィングの共振周波数である。これは、腰掛をつるしているロープの長さで決まり、子供の体重によるのでもなく子供が押される力にもよらない。

 タイミングが正確に正しければ、非常に小さな押圧でも、アーク状にスウィングさせ続ける。鍵となるファクターは、スウィングの共振周波数に印加パルスをマッチングさせることである。正しければ大きな動きが得られる。間違っていれば、スウィングは全く起こらない(その時点で、批判者はこういう。「見て、見て、スウィングなんか起こらないよ―これが証明しているじゃないか!」と)。

 共振回路に対して必要とされるパルス周波数を正確に樹立するのは、ことのほか難しい。何故なら、回路は、コイル(インダクタンス、キャパシタンス、および抵抗を有する)、キャパシター(キャパシタンスと少量の抵抗を有する)および抵抗とワイヤを含むからである。抵抗とワイヤは抵抗と或る程度のキャパシタンスを含んでいる。これらの回路は、LRC回路と呼ばれる。

 ドン・スミスは、テスラコイルに必要な空芯コアのコイルの巻き方と使用に対する説明書を提供している。彼は、下記のように言っている。

  1. 周波数を決める。そして、選んだ構造のサイズの経済面を頭においておく。ファクターは以下のとおりである。

     (a)20kHz以上の周波数を用いる。
     (b)自然周波数を用いる。すなわち、コイルの線の長さを周波数にマッチさせる。
      ―コイルはキャパシタンスとインダクタンスを持つ。
     (c)ワイヤの長さを1/4か、1/2にする。
     (d)下記のようにワイヤの長さを計算する(単位:フィート)
       ・1/4波長を用いるなら、247を周波数(MHz)で割る。
       ・1/2波長を用いるなら、494を周波数(MHz)で割る。
       ・1波長を用いるなら、998を周波数(MHz)で割る。

      ワイヤの長さ(単位:メートル)に対しては、下記の方法を用いる。
       ・1/4波長を用いるなら、75.29を周波数(MHz)で割る。
       ・1/2波長を用いるなら、150.57を周波数(MHz)で割る。
       ・1波長を用いるなら、304.19を周波数(MHz)で割る。


  2. いま計算で求めた長さのワイヤを使って巻くときの、コイルのターン数を選ぶ。ターン数はコイルが巻かれるパイプの直径に支配される。外側のコイルL-1および内側のコイルL-2のターン数の比は全体的出力電圧を制御する。

     例えば、大きな外側のコイルL-1に2,400Vを印加し、それが10ターンであればL-1の各ターンには240Vの電圧降下がある。この240Vの磁気インダクションは内部コイルL2の各ターンに240Vの電気を伝達する。もし、L-2の直径が十分小さくて100ターン巻ければ、生成される電圧は24,000Vとなる。L-2の巻き枠の直径が500ターン巻ける直径であれば、出力電圧は120,000Vになる。


  3. コイルの長さと直径を選ぶ。コイルの直径が大きければ大きいほど、ターン数は少なくなる。したがってコイルの長さは小さくなり、出力電圧は小さくなる。


  4. 例えば24.7MHzが望む周波数であるならば、ワイヤの長さは、10フィート(3.048m)となる。コイルは標準タイプのPVCパイプの上に巻けばよいだろう。

    注意:この点で、ドンの計算は混乱している。彼は、2インチΦの巻き枠(スプール)の上に30ターン巻くことを提案している。そのようにすれば、16フィートのワイヤとなり、10フィートにおける共振点は約19ターンになる。L-1の巻き数が与える電圧が24V/turn以上減少しない限りは、出力電圧は必要とされる640Vでなく458Vとなるでしょう。しかしながら、スプール(+ワイヤの直径)に実際に必要な直径は、 10 x 12 / (26.67 x 3.14159) = 1.43インチとなる。もし、 L-1を10ターンに収めたいのならば、このサイズのスプールは簡単に作ることができる。


  5. コイルのスタート点につなぐ。コイルの正確な共振点を決めるためには、測定を行う。特別誂えでないマルチメータは高周波の信号には応えてくれないので、その代わりに、安いネオン管を使う。片手にネオン管のひとつの線をもって、もうひとつの線を内側コイルL-2の外側に沿って走らせ、最も強く輝く点がどこにあるか探る。

     次に、ネオンは、ターンの周りに沿って動かし、最も強く輝く点を導き出す。結合はその正確な点に行う。L-2は、いまや、共振巻きである。隣り合う巻き線が触れないように、少し離して巻くと、コイルの実効Q値を大きくすることができる。


  6. 入力は、2,400Vを提案する。これは、様々な昇圧回路で作ることができる。レーザーに使われる特注でない普通のモデュールも選択の一つである。


  7. 入力コイルL1の製作については、10ターンが提案されている。線の長さは、クリチカルではない。もし直径2インチのPVCパイプを使うと、その上の大きいサイズのPVCパイプがコイルL-1に使える。おそらく直径3インチのパイプを10ターンの長さに切ればよい。

    パイプの長さは、巻き線用の絶縁線の直径に依存する。コイルL2のキャパシタンス(ファラッド)とインダクタンス(ヘンリー)を測定するには、高性能のマルチメータか専門的なLCRメータを使う。さて、L-1からL-2へのマッチングのためのキャパシタをL1の入力電圧を通してつなげよう。そしてスパークギャップは平列に接続するが、これはL1から帰ってくる電圧の為に必要となる。L-1にはトリマコンデンサーが望ましい。


  8. L-2の性能は、コイルのベースにアースをつけると一層向上する。最大の出力電圧は、コイルL-2の両端で得られる。これより低い電圧が、もし望むのならば、その間の点で得られる。


 ドン・スミスは下図に示すような彼のデバイスに関する大量の情報を提供している。

Fig.6 ドン・スミスのデバイスの1例


 デバイスについての彼の記述がなければ、その制作方法も作動方法も理解するのは困難であっただろう。私が理解するところでは、上図は、下図に示す回路であろう。

Fig.7 Fig.6の回路図


 読者のうちの何人かは、上図の回路図に当惑し、下図のようにスパークギャップは、L1コイルに直列でないといけないという。

Fig.8 Fig.7の回路図でスパークギャップの位置を変えた回路図


 これは理解可能である。というのは、スパークギャップを、回路のアクチブ成分として見なすよりどちらかといえば、過剰な電圧に対して対抗するデバイスとして考える傾向が常にあるからである。1925年に、ハーマン・ポールストンは、空中高く立つシステムにより作られる高圧を利用可能な標準的電気に変換する方法の包括的シリーズのパテントを取得した。ハーマンは高い電圧が、どのようにして、便利な形態に変換可能かを説明しているが、高圧電源の例として ウィムズハースト式誘導起電機 を使っている。整流したテスラコイル、ウィムズハースト式誘導起電機や空中高く立つシステムの高圧は、どれも似たようなものである。したがって、ハーマンのコメントはここでは非常に有益である。彼は、下記の図を示している。

Fig.9 ハートマンによるWimshurst静電発電機の
高圧を低圧に変換する方法


 ここで、ウィムズハースト式誘導起電機の出力は、二つの高圧コンデンサー(ライデン瓶)に蓄積される。このコンデンサーには非常に高い電圧が生成される。電圧が十分高いときは、スパークギャップを通ってジャンプし、トランスの1次巻き線を通して巨大なサージ電流が流れる。彼の場合は、このトランスは降圧トランスを用いた。ドン・スミスの回路は、下図のように殆ど同じである。

Fig.10 ドン・スミスの高圧を低圧に変換する回路


 ここでは、ウィムズハースト式誘導起電機の代わりに、高圧は、バッテリー・インバータ・ネオン管ドライバーからきているものを使っている回路図である。彼はハーマンと同じコンデンサーの接続方法も使っている。上図を、下図のように変更している。

Fig.11 Fig.10のコンデンサーの位置を変えた
ドン・スミスの高圧を低圧に変換する回路


 これは、私が理解する限り、完全に実行可能な変更である。スパークにより生成した非常にシャープな放電により開放されるエネルギーは、コンデンサに供給する高圧源である、ということについてテスラは常に強調していたことを覚えているだろう。下図参照。ここで、トランスの1次巻線へつながるスパークギャップを通過するエネルギーをコンデンサーがもつ。

Fig.12 テスラコイルシステム


 しかしながら、ドン・スミスの配置では、何故キャパシターは、L1コイルを形成する太い線のとても低い抵抗により短絡していないのか、少し理解しにくいだろう。そう、DCで動作させるならそうなんだが、35,000Hzのパルスで動いているネオン管ドライビング回路から出てくる出力なので、そうはならない。

 これは、コイルL1のDC抵抗は殆ど重要でないことと、その代わり、コイルのインピーダンスあるいはリアクタンス(実効的にはそのAC抵抗)が重要であることとなる。実際、互いに結ばれているキャパシターとコイルL1は、この周波数においてパルス電流が流れている結合リアクタンスまたは結合レジスタンスとなる。

 これは、ノモグラム(計算図表)が役に立つようになる。これは数頁後に掲載した。パルス周波数が高いので、コイルL1はキャパシターを短絡しないし、パルス周波数がコイルL1の共振周波数(あるいは調和振動数)にマッチするとコイルL1は実際にそれに流れる電流の非常に高いレジスタンスとなる。これは、クリスタルラジオ受信機が特定の放送局にチューンできる方法である。

 ともかく、上記写真に示したドンのデバイスに戻るが、電気的ドライブは、写真には写っていないが12Vのバッテリーでなされる。興味深いことに、バッテリーからインバータに結合する導線の長さが正確に、回路で発生される発振磁場の周波数の1/4であると、バッテリ線の中に引き起こされる電流はバッテリーを絶えず連続的に充電する、とドンはいっている。バッテリーが同時に回路に電流を供給していても、である。

 バッテリーは保護ダイオードを通して特注でない標準的な無歪のサイン波インバータに小さな電流を供給する。インバータは、DCバッテリーからメインの交流を作るデバイスである。ドンは電圧可変にしたかったので、インバータの出力をバリアックと呼ぶ可変トランスに入力した。バリアックは、ネオン管の明るさを調節できるようにするためネオンドライブ回路に使う部品としてよく知られていて、生産されている。

 この配置はゼロボルトから最大電圧まで(ドンは高い電圧を必要としなかったが、最大より少し高いところまで)調節可能なAC出力を発生できる。こういう種類の調整を使うのには、通常、無歪みの正弦波型のインバーターを使うことが不可欠となる。ネオン管ドライブ回路に必要なパワーはとても小さい。だからインバータはさほど高価ではない。

 ネオン管(あるいは気体放電管)ドライバー回路は標準的な、特注でない普通のデバイスである。これは、商用施設のネオン管デイスプレイを点灯するものでよい。ドンが用いたもののひとつは発信器と昇圧トランスが入っていた。これは、AC 9,000V, 35.1kHzを出力した。ドンは、9,000Vより下げて使ったが、これは、小さい入力電圧で大きな出力パワーを得ることと、出力コンデンサーの価格が重要だったからである。

 ドンがここで使っている特殊なネオン管ドライバー回路には、二つの別々の出力がある。だから、ドンは、それらを一緒につないで、互いに影響するのを防ぐために、各ラインにブロッキングダイオードを使っている。写真では良く分からないが、高電圧出力線は、非常に小さな、絶縁された、スパークギャップを、その中にもっている。そしてラインはアースされている。このデバイスは、発光衝撃防護部品として使われているものである。ドンの回路ではデバイスが作動中はずっと光ったままである。その部品は下図のとおりである。

Fig.13 


 ネオン管ドライバー回路の出力は、テスラコイル型の1次コイルL1をドライブするのに使われる。これは、とてもシンプルで、分かりやすいように見える。しかし、注意を払わなければならない微妙な点がいくつかある。

 動作周波数35.1kHzはネオン管ドライバー回路により維持される。だから、理論的には、我々自身でチューニングする必要はない。しかしながら、我々はコイルL1とキャパシターの共振周波数とネオン管ドライバー回路の周波数をマッチさせたい。

 コイルL1の周波数は、2次コイルL2の中に正確に同じ周波数を誘導する。しかし、この二つのコイルが互いに共振するために、二つのコイルの線の長さに特別な注意を払わなければならない。大概のテスラコイル製作者が従う親指の法則は、コイルL1,L2の銅の重さが同じになるようにすることである。これは、コイルL1の線はコイルL2の線より太いという意味である。もし、コイルL1の線長がコイルL2の線長の1/4であるなら、コイルL1の断面積は、コイルL2の断面積の4倍となる(断面積は半径の2乗に比例し、2の2乗は4である。)。

Fig.14 


 ドンは、コイルL1を巻くのにプラスチックパイプを使った。ここに見られるように、ワイヤはパイプの中に進入しているが、これは外側のコイルの中を内側のコイルがスライドできるような十分なクリアランスを残すためである。写真でゆび指しているコイルは5ターン巻いてあるのが見えるが、ドンは完全な周回でなく例えば4.3ターンということもあった。ここのキーポイントは、コイルL1の線長はコイルL2の線長の正確に1/4であるべきということである。

 ここで用いたコイルL2は、直径3インチの絶縁してない、固体の、スズめっきした単線(Baker & Williamson社)である。ドンは、センタータップを設けるために、コイルの中心に4ターン分巻いてないところを作った。ここで用いたコイルL1は、ドンのお気に入りの”ジャンボ スピーカー ワイヤ”のように見える。これは、非常に細い多くの裸の銅線からなる非常にフレキシブルなワイヤである。

 ドンは、巻き線の両側にワイヤの厚みに合わせたプラスチックのカラー(えり)を設けた。コイルL1はスライドさせて外側にあるコイルL2のどこにでもセットすることができた。外側にある2次コイルはプラスチックパイプに巻くのではなく、写真のように4本のスロットでサポートして巻いた。このやり方は、 RFにおいて最高のコイル性能をもたらした。テスラコイルでは、コイルL1の直径をコイルL2の直径より小さくするのは一般的ではない。

Fig.15 


 コイルL2は、二つの分離したセクションにわけてあり、各17ターンである。注意すべき一つの点は、線と線の間は正確なスペースをとって巻くことである。コイルは写真のように灰色がかった白色のプラスチックケーブルで縛ってある。(中略)

Fig.16 


 また、ドンは、L2の両端に小容量のキャパシターをつないだ。このキャパシターは下記の回路図でC2と記してある。それはたまたま47nFの高圧コンデンサーであった。

Fig.17 


 デバイスから通常の電気出力を大量に得るために、コイルL2から出力を得るいろんな方法がある。ここに示した方法は、写真に示すように非常に大きなキャパシター4個を使っている。これらは、各1個が定格8μF, 2,000Vである。これは、並列につないでいるように見えるが、実際は、一個のキャパシター定格2μF, 8,000Vを直列にしている、とドンは言っている。(訳註:この辺の記述は混乱)ドンは、出力の蓄積キャパシターが8,000V以上になるのを避けるために、ネオン管ドライバー回路に供給する電圧には大きな注意が必要である、と注意している。

 このキャパシターバンクは、高圧、高電流を整流できるダイオードを通して充電される。ドンは、このデバイスは8,000V, 20Aが出力できると言っている。この場合、整流ダイオードは、キャパシターバンクがフルに充電されるときと、L2が8,000Vを発生するときと、20Aが引き出されるときも、このレベルに耐えられなければならない。ドンが使った実際のダイオードは、25kV耐圧であったが、これは実際に必要な耐圧よりかなり高かった。

 ちなみに、通常一般のユーザーは、こんなに高い耐圧は必要としない。というのは、大抵の一般家庭の人々は連続して10kW使うことは無いからである。ところが8kVで20Aというと160kWにもなるのである。

 ネオン管ドライバー回路は、9,000V出力でき、L2コイルシステムは昇圧トランスなので、もし、キャパシターバンクに供給される電圧が8,000V以下に保たれるべきときは、バリアック調整が行われ、L2コイル対に供給する電圧を低下させるのに、ネオン管ドライバー回路に供給する電圧を降下させる。例えば3,000Vに。

 Yahoo EVGREYフォーラムの非常に洞察力の鋭い知的なメンバー(ID=silverhealtheu)が、最近指摘したことがある。それは、ドン・スミスは彼の設計の詳細全てを公開はしないと言っていて、ここに示してない主な項目は、間違っていて、ドンは通常の方法と逆に電圧をかけているということである。実際、回路は下図のようになる。

Fig.18 ドン・デバイスの冷電気を発生する回路図。


  ドンのコメント:
ネオン管ドライバーにつなぐダイオード(複数)は、負の極性を捕集したいので、逆方向にして用いる。そうすると、スパークギャップは、周囲反転(ambient inversion)上で動作し、スパークは全体的に音や様相が異なってきて、早い放電状態になり、熱放出が小さくなり、霜の発生さえ起こる。(訳註:冷電気の発生であろう)

 バリアックを少しあげて、スパークをほんの少し戻すべきである。電圧をあまり高くすると、ネオン管ドライバー回路が短絡状態になる。新しい電子回路をつけて、これを自動的にシャットダウンしないと、動作が全くできなくなる。

 デバイスの作動中は、ネオン管ドライバーはタンク回路エキサイターとしてはたらくので、C, L1, L2はRFバンドで作動する。大きな蓄積キャパシターC3は、上図に示すように、アースに逆極性でつなぐべきである。そうすると、キャパシターは、空になったキャパシターのなかのジュールよりもどちらかといえば、ゼロに再充電されるので、負荷はアースから電子を引っ張る。

 また、ジョン・ベディニや他の人たちの逆起電力システムは、小さな正のパルスを生ずるがオシロスコープのディスプレイの底を打つ超巨大な負極性スパイクが発生し、これを捕集しているということを思い出して欲しい。これは、われわれの望むもの、キャパシタに蓄積された豊富なものであり、周囲の背景のエネルーを電流にしている。

 これは、
非常に大切な点であって、この性質のデバイスが、その性能に大きな差を生むことになる。

Fig.19 


 一読者が注意していることによると、ドンのメインの文献では、L1をまたいでキャパシターCと同じくRをつけるべきであり、ドンの初期のスーツケイス型設計図を考慮すると、回路図は上記Fig.19のようになっていると示唆している。また他の読者が指摘していることによると、下の写真Fig.20に現われている出力のチョークコイルの線は、ドンがいう電流を通すのには細すぎる。私(Kelly)は思うに、チョークはこの場所に不要ではないか、しかし、もっと太い線を巻いて作ることはできる。

 本回路が動いているときは、蓄積キャパシターバンクは、欲する限りの時間、20Aを供給可能なへこたれない8,000Vのバッテリーとして働く。AC, 220V, 50HzあるいはAC, 110V, 60Hzを出力する回路は、蓄積キャパシターの先に通常の電子技術による回路をつければ可能である。ちなみに、回路の電源の12Vバッテリーを充電するひとつのオプションは、下図に示すように、出力チョークコイルを通してメインの周波数の電流パルスを引き出して磁場を発生させ、その磁場を用いることである。

Fig.20 


 出力電流は、褐色の円筒型ボビン上の左側の巻き線をとおして流れる。写真を撮ったあと、右側の巻き線はもはや使われていない。以前は、バッテリーを充電するのに、コイルの中の電力を整流してバッテリーに加えていた。下図のとおりである。

Fig.21 


 4個のダイオードにより作られたDC出力は、運転用バッテリー(Fig.19の左にある)を充電する。充電用のこの電力レベルは、バッテリーから引き出される小さな電流より実質的に大きい。そのため、過充電にならないように注意する。

 簡単な、電圧レベルセンサで、バッテリーが必要電圧に到達したら、充電をoffにする。必要なら、他のバッテリーも充電可能である。

Fig.22 


 ドンは、L2の出力をボードの出力ターミナルにつなぐケーブルは、その途中に蓄積キャパシターがつながっているが、非常な高圧で使うケーブルでないといけないことを注意している。このケーブルは、半永久的に健全であり続けるように多層カバーされたものである。

 この点で注意すべきことは、ドンが用いた外径3インチ(7.62cm)のコイルは、枠(ボビン)に巻いてなく、高周波特性を向上させるために、細長い棒4本で支えられているということである。家庭で作るのには優れた方法である。

 ここで述べた電圧と電力のレベルは、文字通り致命的であり、命にかかわる。デバイスを不注意に運転すると、完全に殺してしまう能力がある、ということを心に留めておいて欲しい。従って,このデバイスの複製を日常的に使用するならば、人に触れないように、保護ケースに入れなければならない。

 これは、ひとつの提案なぞではない。写真に示す部品は、最も危険な状態で配設してあり、ここでは、このままで運転したが、保護ケースなどは義務としての必要条件である。あなたが高圧回路に経験がないのらば、あるいは誰かこの分野に明るいひとの指導が無ければ、製作やテストはやるべきではない。これは、片手でもてるタイプの回路である。常に大きな注意を払い、センシブルであることが必要である。


 回路の残余のものはボードに乗せてない。要求される最終目標に応じいろんな方法があるからである。最もシンプルな形で書くと下図のようになる。

Fig.23 


 電圧は下げなくてはならないので、商用電気周波数用の鉄コア型降圧トランスで下げる。地域の商用電気周波数にするには、発振器を用いる。発振器の出力で適切な半導体デバイス、例えばFETとか、IGBTとか、その他をドライブする。中略

 本回路は他の磁気パルス、例えば、他の装置、近くの光源に起因するストライク、などなど、を拾い上げるので、Vと記したバリスタを負荷につないである(下図)。このデバイスは、設定した電圧以上で電力サージから負荷を守り、短絡するので、電圧スパイク抑制器として働く。

 ドンは、もっとシンプルなバージョンを説明している。下図のとおりである。

Fig.24 


 この、簡略化した回路では、高価なキャパシターやその定格電圧、出力周波数の電子制御の必要性に目を配る必要がない。コイルL2の巻き線の長さはやはり正確にコイルL1の4倍でないといけない。しかし、導入すべき部品がひとつある。高圧トランスの1次巻き線に入れる抵抗Rである。このトランスは鉄の薄層からなるもので、低い周波数に適合する。ここで、L2の出力はそれよりずっと高い周波数である。L2の出力に正しい値のRをつなぐと、この降圧トランスに適合する周波数に下げることができる。

 抵抗値はAmerican Radio Relay League のグラフから予測がつく。(訳註:このグラフは、日本ではエレクトロニクス、電子、電気関係の何かのハンドブックなどに掲載されていると思う)抵抗値は実験によっても決めることができる。アースしてある2方向放電ギャップ(dual spark gap)が、設定した電圧値に常に維持されるようにL2に接続してあることに気づくだろう。ドンは、この特別な装置は自分で使う電力を得るために作ってもらうことを意図したものであり、既に2百人が製作している、といっている。

 ドンは、さらにもっと簡単なバージョンについて説明しているが、これは、バリアック、高圧キャパシター、高圧ダイオードは不要である。DC出力が得られるが、これは、高周波降圧トランスを運転することを意味する。重いワイヤで空芯トランスを自分で巻く必要がある。普通の標準的インバータを用いて、負荷に電力が供給される。このバージョンでは、二つのコイルが共振するために、コイルL1の線長は、正確にコイルL2の線長の1/4であることが必要である。これらの各コイルの動作周波数は、ネオン球ドライバー回路の出力周波数により与えられる。この周波数は、低電圧蓄積キャパシターに供給する4個のダイオードにより整流されるまでは、全回路にわたって維持される。目標とする出力電圧は、システムによりドライブされるインバータの定格電圧に依存するが、12Vか24Vのどちらかであろう。回路は下図のとおりである。

Fig.25 


 下図の表は、簡略版であるが、この方が分かりやすい。

Fig.26 


 この表の目的は、リアクタンスあるいはACレジスタンス(Ω)、および、関連することを決めるためにある。

 ネオン管ドライバーが30kHzで走っているとしよう。そのとき100nF(0.1μF)をもちいると、その周波数でキャパシターのACレジスタンスはどのくらいか。また、どんなコイルインダクタンスが同じACレジスタンスをもつだろうか。そのときは下記のようにする。

Fig.27 


 上図に示すように、30kHzと100nFを通って直線を引く。直線上のリアクタンスを読むと、51Ω位に読める。これは、回路が30kHzで走っているとき、100nFを通して流れる電流は51Ωの抵抗を通るときに等しいという意味である。インダクタンスのところを読むと、その周波数で流れる同じ電流は0.28mHのインダクタンスのコイルで起こることになる。

 私(Kelly)はこのデバイスに対するドンの回路のコピーを渡された。下図のとおりである。

Fig.28 


 この回路図に示されている4,000V, 30mAのトランスは、昇圧に使うネオン管ドライバーの鉄コア式トランスを使っても良い。これは120HzパルスDCと明示されているから周波数をあげはしない。この回路図は、プラス側がマイナス側の下に書いてあることに気づいたであろう(普通とはだいぶ違う)。

 ドン・スミスのデバイスに関連してアース接続について述べたとき、実際のウィヤの接続は物理的に地中に埋めた金属物体への結合について話していたのである。それが、たとえ、地中に埋めた長い銅の棒でも、カパナーツェがしたような古い車のラジエータであろうとも、埋めた金属板であろうとも、である。

 モレイは要求されたデモンストレーションを懐疑論者により選定された奥深い田舎で行ったが、アースするためのガスパイプが地中に打ち込まれるにつれ、電球はいっそうよく輝いた。

 もうひとつ、特別に魅力的なドン・デバイスがある。これは、自宅で作る必要はほとんどなく、部品は全て販売されていて、出力はあなたが欲するどんなレベルにも適合するものである。ドンは、この回路が特別好んでいる。というのは、COP>1がとてもきれいに決まるからである。彼は、家庭の電力を十分供給できるといっている。

Fig.29 


 ボードの中心にあるコイル(単数)は、Baker & Willianson社の既製品のテスラコイルから作ったパワートランスミッターである。他の3個のコイルはパワーレシーバーとして使っている。外側の大きな直径のコイルは数ターンであるが、他の標準的コイルからとってきたもので、これは、内部コイル(L2)の線長の1/4の長さにしてある。

 前述のように、市販のネオン管ドライブモジュールは高電圧・高周波でL1に電気を供給するのに使われる。各サイクルタイムに環境からパワーが引き込まれるので、トランスミッターコイルL1のサイクルをドライブしているパワー(得られるパワー)は、非常に大きく、高い周波数である。100Hzよりは低い商用電力の周波数は、35kHzで得られるパワーの周波数より、はるかにはるかに、小さいものである。したがって、もし、ネオン管ドライバーの25kHzか35kHzを選ぶような場面に直面したときは、35kHzドライバーを選ぶなら各電圧レベルにおいてずっと良い出力パワーが得られる。

Fig.30 


 短い外側コイルL1は、直径の小さい2次コイルL2に対して正しい位置に配置するために、白いプラスチックの切片により高くして固定してある。巻き数は5ターンのようである。

Fig.31 


 2次コイルは、スズめっき線を固定するためにスロットを使うBaker & Willianson社の通常の方法でつくってある。

Fig.32 


 作ったコイルにはほんのちょっと差があるので、各コイルは正確なトランスミッター周波数にチューニングする。チューニングが正しくできたかどうかは、ミニチュアネオン管を用いる。

 このデバイスの鍵となる特徴は、受信コイルをいくつでも、トランスミッターの近くに置くことができ、そのどれもが環境から一杯の電気的捕獲ができることである。このとき、テスラコイルトランスミッターに余計に電力を加えることは要らない。つまり、入力電力を増加させずに出力電力はさらに増加するのである。COPの値に制限はなく、すべてのコイルが1以上になる。

 過剰なパワーが、殆ど無限の過剰エネルギーが存在する環境から流入しているが、この流入は中心のテスラコイルによって発生した急速に振動する磁場によって引き起こされている。付加コイル(複数)は、ベイスボード上にまさに散乱しているが、そうではない。Youtubeビデオ Wireless Energy Transfer は、これらのコイルによる捕獲は、主に、放射されている磁場からの距離の影響を受けている、ことを示している。これは、テスラコイルを駆動している信号の波長に関係している。

 したがって、上に示したコイルは全てテスラコイルから正確に同じ距離に配置してある。あなたは、まだ欲するだけ沢山の捕集コイルを置くことができる。しかし、コイルはテスラコイルの周りにリング状に配置し(同心円状に複数のリングがあってよい)、各リング上のコイルは中心のテスラコイルから同じ距離にする。

 ビデオDon Smith Quick Mockup Primaryは最高に感銘深いもので、非常にシンプルなやり方で、ドンの回路の前段が即成功する。回路は下図のとおりである。 

Fig.33 


 ここでは、アースしてない、シンプルなネオンサイントランスが使われ、25kHz, 2.5kVが作られ、最大12mAの容量がある。作るのは難しくない。モデュールからの2出力は4個のダイオード1NS4007でDCに変換される(絶縁のためにダイオード群はプラスチックチューブに入れる)。

 この出力は、電子レンジ用の定格電圧2,100Vの874nF(たまたま選んだだけ)のキャパシタにより、抵抗22Kを通してネオンランプを介して供給される。キャパシターの定格電圧はネオン・ドライバー・モジュールの出力電圧に対して小さすぎると感じるかもしれないが、ネオンの絶縁破壊電圧は丁度90Vである。したがって、キャパシターは電力供給(電源)の出力電圧に到達しない。

 抵抗は、単に、ネオンの寿命を延ばすためである。というのは、内部のガスは、スイッチを入れてからはじめのナノセカンドにおいてひどい打撃を受けるからである。これらの抵抗をやめてしまっても、深刻な影響は無いように見える。些細な試みではある。

 二番目のネオンは、共振トランスの1次側に電力供給する。上図で共振トランスは概念的に示してあるが、これは、開発者によると、1次はトランミッターとして働き、1次コイルの周波数に正確にチューニングした、各2次コイルとしていくつかの受信コイルを用いることができると示唆しているからである。

Fig.34 


 このやり方を示しているビデオで、開発者は、コイルのまわりの約4フィート(1.2m)まで伸びている変動する高周波の場を示している。彼はまた、彼の回路で一個のネオンは2個直列のネオンに置き換えられるといっている。私(Kelly)が行ったテストでは、出力ネオンを連続点灯するためには、キャパシターの前段に2個のネオンを直列に入れる必要があった。また、ダイオードのひとつは逆方向にする。すなわち、一個は入力側に、もう一個はその反対側にする必要があった。どちら側のダイオードでも問題ない。

 各々のピックアップコイルは、テスラトランスミッターの2次コイルL2と、正確に同じように動く。それぞれ同じレベルのパワーをピックアップする。丁度、実際のコイルL2の場合のように、おのおのは前のデバイスに述べたような出力回路が必要となる。おそらくコイル出力(複数)は出力電流を増やすために並列に接続できるであろう。それらは全て同じ周波数で位相も一致して共振しているからである。

 各々は、前のように、降圧トランスと周波数調整をもつ別々の出力回路をもつであろう。もしどれかを、整流してDC出力にするならば、周波数調整は不要である。降圧トランスのあとに整流ダイオードと平滑コンデンサーをつけるだけである。トランスは、空芯のものか、周波数によってはフェライトコアにする。降圧コンデンサーはとても高価である。Web site: Tank Capacitor  は、自分用の高圧キャパシターを作るいろんな方法と、各コンデンサーの利点や欠点を示している。

 言っておくべき実用上の二つの点がある。第1は、上述のドン・スミスのデバイスはRFの波形を信号を伝送するコイルに送っているので、不正な信号が伝わらないようにアースした金属管缶にデバイスを風所こめる必要があるということである。第2に、高圧・高電流のダイオードは得がたいので、いくつかの低いパワーのダイオードを組み合わせて作る必要があるということである。電圧の仕様を上げるにはダイオードは鎖状につなげる。適切なダイーオードは電子レンジのスペア部品として入手できる。これらは約4,000Vの規格であり、電流もよいレベルである。各ダイオードの両端に高抵抗(1-10MΩ)をつなぐとよい。抵抗は同じ値にする。下図参照。

Fig.35 


 もし、これらのダイオードの規格が4A, 4,000Vなら、5個つなげれば4A, 20,000Vになる。並列にすれば電流容量を増やせる。




 下図はラジオ受信機である。

Fig.46 ラジオ受信機


 上図で、同調キャパシターと書いてあるが、全く誤解である。そう、あなたはバリコンを回してチューンニングする。しかし、バリコンのしている仕事はコイル・キャパシター結合の共振周波数を変えることである。可変型コイルのしていることと同じである。

 コイル・キャパシター結合に関してとても重要な2点がある。コイルとキャパシターを並列に接続すると、共振状態で、非常に高いインピーダンス(交流の抵抗)になるが、直列に接続すると、共振状態で、ほとんどゼロのインピーダンスになる。これは、実際的にはかまわないようなものであろう。しかし、非常に実際面で重要であることを以下に述べる。

Fig.47 


 ドン・スミスは、簡単な方法として、しばしば、高電圧、高周波(とくに6,000V, 30kHz)のAC源として初期のバージョンの普通のネオン管ドライバーを使っている。そのパワーをテスラコイルに供給しているが、テスラコイルそれ自体がパワーアンプなのである。配置は下図のとおりである。

Fig.48 


 ドンの設計に基づいてレプリカを作ろうとする人たちは、「スパークギャップに大きなスパークが飛んだが、コイルL1につなぐと止まってしまった。この回路は絶対動くわけない。何故なら、コイルの抵抗が低すぎるからだ」という傾向がある。

 もし、コイルL1の共振周波数が、ネオン管ドライバー回路により作られた周波数にマッチしないなら、その周波数でコイルL1は低いインピーダンスになり、ネオン管ドライバーの電圧を確かに引きずり降ろして非常に低い電圧になる。しかし、もしコイルL1がドライバー回路と同じ共振周波数をもつならば、コイルL1(あるいは、コイルL1とキャパシターの結合)は、それを通して流れる電流に対し非常に高い抵抗をもつことになり、ドライバー回路とうまく作動する。そう、スパークが飛ばないということは、コイルのチューニングが外れているという意味である。ラジオ受信機のチューニングと同じで、チューニングが悪ければ放送は聞こえない。

 Web site:Energy Propagation は、電球と二つのコイルを用いて、殆どゼロに近い小さな入力パワーで、出力が良く出ていることを示すビデオで、うまくデモンストレーションされている。ここでは、たった1個の共振ピックアップコイルが示されているが、他のトランスミッターとともに多くのピックアップコイルを用いている可能性がある。

 多くの読者にとって、彼の回路のテスラコイル部分をドライブするのにドンが使ったネオン球ドライバー回路には、何か”ブラックマジック”があると感じるのは異常ではない。しかも、読者は適切なユニットが購入できないし、回路は作ったりテストできない、と感じているだろう。したがって、どうしたら作動するのか、どうしたら製作できるのか、ここで、簡単に示すのは妥当であろう。

 回路自体は、発振器からできていて、これはDC 12Vをパルス電流に変換している。これはトランスにより高圧に昇圧される。下図はその回路である。

Fig.49 


 タイマーIC555の電源は、抵抗RとキャパシターCにより、スパイクとディップに対し保護されている。タイマーIC555は、発振器あるいはクロックとして働き、キャパシター440nFに信号を送る2個の抵抗により速度が支配される。昇圧トランスは、普通のくるま用のコイル(日本ではイグニッションコイルと呼ばれていると思われる)で、その駆動パワーは、トランジスターFET IRP9130によってブーストされる。FETは555のピン3からの出力によりドライブされる。

 くるま(Ford Model T)用のコイルの出力はダイオードで整流されるが、ダイオードの規格電圧は非常に高い必要がある。この点における電圧は非常に高いからである。整流された電圧パルスは、テスラコイルに行くまえに、高圧コンデンサーに蓄積される。パワフルな出力が要求されるので、二つのカーコイルを使い、その出力は下図に示すように結合してある。

Fig.50 イグニッションコイル2個で出力電流をあげる方法


 あなたは、カーコイルはたった3個のターミナルしかないことに気づくだろう。”+”と記したところはハウジングの内部のコイル(複数)の両方に共通の結合のターミナルである。コイルは下の写真のような外観をしている。

Fig.51 カーコイル(イグニッションコイル)


"+"という記号は、通常、ターミナルの横に記されている(上図)。ここまで述べてきた回路は、ネオン管ドライバー回路により与えられるものに非常によく似ている。これは、テスラコイルを確実に駆動可能である。

 テスラコイルを作る方法には、いくつかの方法がある。スパークギャップをいくつか設ける方法は異常ではない。このやり方は、”直列スパークギャップ”と呼ばれている。何故なら、直列に接続されているからである。技術の用語では、”矢列”接続という。Hermann Plaustonが彼のエアリアルシステムで、この方法を採用している。こうした複数スパークギャップは、動作がとても静かになる。テスラコイルの設計のひとつはL1にパンケーキ型を使うことであり、この方法では、ゲインがずっと大きくなる。回路図は下記のとおりである。

Fig.52 


 パンケーキ型コイルへの接続は、可動型クランプで行い、二つのコイルは注意深く、少しずつ調整しながら接続しチューニングする。この矢列接続は、カーコイルプラグも含めて、いろんな方法で行うことができる。下図に、ひとつ示しているものは、硬い絶縁物質の二つの部分を貫通してボルトとナットで締める方法である。というのは、この方がいくつかのスパークプラグのギャップを調整するより、ずっと楽だからである。

Fig.53 矢列スパークギャップ


 上図で、スプリングを押さえつけている両端のボルトを締めると、ボルトの頭が互いに近づく。そしてスパークギャップが小さくなる。端のタグに電気的接続を行う。スパークギャップ数を減らすときは、つなぎ方を変えればよい。もしスパークギャップを少なくする必要があれば、電気的接続は、ワイヤのどこか中間的な部分につないでできる。

 これはおもちゃでなく非常に高電圧が発生することを再度注意したい。また、作る場合はあなた自身の責任でやってください。この文書は、単に情報を目的として作ったもので、そのような機械を作ることを勧めているのではない。あなたが作る機械が、この文書に述べたように動くことを保証しているのでもない。一般的に、どんなフリーエナジーデバイスを作るにもスキルと忍耐が必要である。ドン・スミスのデバイスは最も難しいものであると思われるが、彼はあらゆることを詳細に公開してはいないからである。

 上の回路図にC1と記したキャパシターは、非常に高電圧で使えるものである。これを取り扱うには、いろんな方法がある。ドンは、専門の会社が製作した非常に高価なものを使っている。何人かの人たちは、塩の溶液で満たしたガラス製ビール瓶を用いて自作に成功している。瓶(複数)の外側はアルミフォイルでラップし、これをキャパシターの1電極としてある。もうひとつの電極は、裸線が各ボトルの内部深くまでループ状にぐるぐる巻きにしてあり、次のボトルの内部の裸線ループへとつなぐ。これでよく動くが、持ち運びが簡単ではない。ひとつの選択肢は、これらの瓶を容器に並べて格納することである。

 過去においてポピュラーだった方法は、アルミフォイルを完璧に巻く方法である。これは、”ベイキングフォイル”と呼ばれることもある。プラスチックフィルムとアルミフォイルをフラットに積み重ねておき、それをぐるぐるまきにすればよい。三つの層でキャパシターを構成する。二つ作り並列接続する。プラスチック層が厚いほどキャパシタンスは小さくなるが、耐圧は高くなる。

 ポピュラーエレクトロニクスの1999年12月号は、自作の場合のフラッシュ用としてアルミファオイル33枚を用いることを提案している。当時は、市販アルミフォイルの幅は25cmであったので、彼らの場合、アルミの長さを355mmにした。プラスチックフィルムはポリエチレンシート(1.6mm厚)であり、工作用品販売店に市販されている。プラスチックの寸法は28cm×33cmにカットする。中略

Fig.54 


 アルミフォイルとポリエチレンフィルムがサンドイッチ状になるから、これを二枚の硬い木の板で締め付ける。締め付けが強ければ強いほどキャパシタンスが大きくなる。電気的接続は板の端にボルトを通して行う。

 ドン・スミスがビデオのなかで示したように、テスラコイルから金属板(ドンの場合は二枚の金属板が誘電体をはさんだキャパシター使用)に向けた放電は、非常にパワフルな電流が、良いアースに向かって流れるとニコラ・テスラが言ったことは完全に正しかった。明らかに、もし電気的負荷が金属板とアースの間に置かれると、負荷には、高レベルの電流が流れ、とても大きな電力が得られる。

 コイルの製作
 ドンが用いたBaker & Williamson社のコイルは非常に高価である。数年前、1997年出版”アマチュアラジオ”のなかで、Robert H. Johnが同様のコイルが簡単に作れることを示している。エレクトロダイン Co.の研究員はスズめっきした銅線のコイルはスズめっきしてないものより三倍強い磁場ができると述べている。この記憶があったので、私はスズめっき銅線を用いたのである。

Fig.55 


 上図の手製のコイルは優秀なQ-factorを有する。Baker & Willianson社のスズめっき導線のコイルより良い。何故なら、電流の大部分は、ワイヤの表面を流れ、銅は銀スズメッキ線より電気伝導性が良いからである。

 コイルのインダクタンスは巻き線間隔が狭いと増加する。コイルのキャパシタンスは、巻き線間隔が広いと減少する。妥協点の一つは、巻き線間隔を線の太さだけ開けることである。テスラコイル製作者に共通する製作法は、ナイロンの釣り糸かプラスチックの何かのコードを線間に挟んで巻くことである。下図のように崩せる型枠に巻いて、線をエポキシ接着剤で固めてから、型枠を崩して除去する方法もある。エポキシはマイクロファイバーと混ぜて接着すると形態が保持しやすい。

 
Fig.56 コイルを巻く治具 


(中略)

 コイルのインダクタンスは、次式で計算可能である。

     インダクタンス: L(μH) = d2n2/(18d+40l)

 ここで、
d : ワイヤの中心からワイヤの中心まで測ったコイル直径(インチ)
n : 巻き数
l : コイルの長さ(インチ)
  (1インチ=25.4mm)
である。





感想
  1. 放電ギャップが冷却し、場合によっては霜がつくということは、エントロピー減少が起こっていて、冷電気が発生しているといえる。環境エネルギーをよく捕獲している証拠と思われる。


  2. 冷電気は、例えば、Fig.19でみると、蓄積大容量高圧コンデンサーC3(L2も加担)により熱電気に変換され利用可能となる。テスラは、マイカコンデンサーを使ったが、適切なものを見つけ出すとよいだろう。マイカの場合は極性がないのでドンのデバイスとは異なってくる。どう違うのか違いを導き出せばよい。冷電気から熱電気への変換過程はまだ解明されていないからである。


  3. ドンの2次コイルは二つに分かれている。互いのコイルの磁場は吸引関係になっているが、反発関係も調べてみると発見があるかもしれない。なお、反発磁場の方が効率が上がることは、イデ・インバータの反発磁場の項を参照。


  4. ネオン管ドライバーは、日本ではインバータネオントランス、などと呼ばれる。


  5. 高圧コンデンサーは、非常に高価である。しかし自作できるかもしれない。参考になるかどうか不明だが:
    (1)DIY高圧コンデンサー:https://www.youtube.com/watch?v=MPD7skZ8OSo
    (2)テスラコイル用高圧コンデンサー:http://www.instructables.com/id/How-to-make-a-simple-High-Voltage-Capacitor-for-T/?lang=ja
    (3)http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118703
    (4)http://www5e.biglobe.ne.jp/~cup/electric/marxgenerator.htm

    自作の場合は、容量を大きくするのに苦労するかもしれない。かさばるけどしかたない。
     ここで扱われているネオン管ドライバー(Neon Tube Driver)というものは、日本ではインバータネオントランス(あるいはそれに類する名前)と呼ばれている。下図参照。


  6. インバータネオントランスhttps://www.aichidenki.jp/report/24/24_48.pdf


  7. 以上,本章は,2014年ころに書いたものであり,それから大分年数が経過しているので,上記Websiteの幾つかは閉じられてしまっているが,ご了解願いたい。







  8. 3  ドン・スミスのテスラコイルによる環境エネルギー捕獲の基礎実験とラジアントエナジー




     IIIa章のFig.1.5.1は、テスラが導き出したラジアントエナジーを電気に変換する方法である。この図ではラジアントビームとして太陽などが描かれている。しかし、本節ではテスラコイルから発生するラジアントビームを使った基礎実験を紹介する[3.1]。

     フリーエネギー捕獲の方法は、2次コイルの端に通常は球体がついているのを止めて、金属針をつけたテスラコイルを使うとよいことを、テスラの実験は、示唆している。そのようなテスラコイルに十分短い単一方向のパルスを入力し、2次コイルの軸方向を金属板の方向に向けると、テスラが発見したように、金属プレートからすごいレベルのパワーを引き出すことが可能である。

     (著者A.T.註:上記構造のドン・スミス式テスラコイルが作動すると、周囲の環境の宇宙エネルギーを巻き込んで、磁場の方向に宇宙エネルギービームを送りだすことができる。それを金属プレートにぶつける実験である)

     このことは、ドン・スミスにより確認された。彼は、プラスチックの誘電体をはさんだ2枚の金属板でキャパシターを作り、これを用いて実験した。彼は、うまく設計したテスラコイルは電圧と同じ位の高い電流を生成することができると主張した。彼は、ハンディな28Wのテスラコイルを使ったが、これは第1のプレート上に作用して、第2のプレートとアースの間に実質的に連続放電が発生することを実験して見せた。

     私(Kelly)は、この放電は、膨大な電流で数千ボルトの電圧に達しただろうと推測している。彼の他のデバイスと同様に、kWのオーダーであろう。ビデオは、Free Energy devices based on Tesla systems by Don Smithにあったが,今は閉じられているであろう。

    Fig.1 テスラコイル基礎実験,by Kelly
    (注意)2014年ころのKellyの著書には,この図とこれに関連する記述が
    載っていたが,最新版では何故か削除されている。翻訳者の私は重要な
    図と記述であるという感じがするので削除しないでこのままにしておく。)


     ドン・スミスは、テスラコイルの2次コイルのどの位置に1次コイルを配置させるかによって、得られる電流が決まることを指摘している。一般的見解とは逆に、テスラコイルの電流を電圧と同程度まで大きくすることができる。

     ドン・スミスがいつも強調したことがあるが、電気成分を取り上げる(=通常の科学がやっていること)と"heat death"(世界は終わり)になってしまうが、磁気的成分を選ぶなら世界は思うままになる、ということである。ドンが環境のバックグラウンドエナジーと呼んでいるゼロポイントエネルギーの場に磁気リップルを課すと、望み次第の多くの電気エネルギーを作ることができる。これは磁気作用に必要なエネルギーを枯渇することなしに、できるのである。

     換言すれば、磁気の流れに直角に位置させたキャパシタープレートから、巨大な量の電流を引き出すことができるのである。そして、このプレートをさらに追加すれば、さらに追加した分の電流が取り出せる。そのとき磁気エネルギーを追加することなしに、できる。テスラは、一枚のプレートで数千アンペア得られると述べている。

     テスラコイルの発生する電圧は、深刻であり、おもちゃではない、ということを覚えておいて欲しい。テスラコイルを取り扱うときは、重大な注意が必要となる。テスラコイルが作動中は、近づいてはいけない。

     さらに、ドン・スミスは、エネルギーの捕集と伝送には、1時的な蓄積が必要であり、それは共振回路にキャパシターとコイルであるが、これが周期的にon offしないといけないと述べている。キャパシターとコイルがタンク作用するときの周波数は、その先へ進む量の電気エネルギーを決めている。伝送されるエネルギーの量は、磁力線の密度に直接関係する。

     力学的エネルギーの公式は、エネルギー量の計算の樹立に役に立つ。この公式は、質量に速度の2乗をかけている。電気エネルギーの場合は、電圧および電流に周波数をかけたものが速度に入れ替わる。電圧と電流の”加速”が、各ユニットの増加が磁力線の2乗で増加することにより、2乗の法則のように非線形に増加することに注意されたい(II章10節のなかの10.2節参照)。

     共振型の空芯コイルによるエネルギー伝送では、磁力線の増加は従来よりも電子を邪魔する。このことが、入力エネルギーより出力エネルギーの方が大きくなる結果となる。

     下図は1995年にドン・スミスが発表した論文の中の図である。コイルL1とコイルL2の位置により出力される電圧と電流がどのように変化するか、その関係を説明している。

    Fig.2 ドン・スミスの論文の図(1995),by Kelly


     テスラは、金属板を用いたが、コイル型のものも特許を取得している。この方が、ずっと効率よくラジアントエナジーをピックアップできるといっている。このパンケーキ型コイルはバイファイラー巻きコイルというどちらかといえば印象的な名前で呼ばれている。が、印象的な名前にかかわらず、巻くのが難しい。下図のとおりである。(II章3節参照)

    Fig.3 テスラのパンケーキ型コイル(バイファイラー巻き),by Kelly


     Fig.1に示すように強い磁場をスパークギャップに印加すると、スパークのカットオフを鋭くし、パルス電流の単一方向の性質を高める。次のことを覚えておくべきである。すなわち、上図のような配置でスパークギャップを超えるスパークジャンピングが起こるような場合、非常に短いシャープな単一方向の電流パルスが、導電体のなかに起こり、強烈なラジアントエナジーが、パルス電流に直角な平面に放出される、ということである。

     このラジアントエナジーの波は、パルス電流を運んでいるワイヤのまわりに生成される電磁場とは全くことなっている。上に示すテスラコイルの配置では、スパークギャップの導線のまわりのひとつまたはそれ以上の同軸(たまねぎの皮のような)の円筒形コイルを通して、フリーエナジーを捕集することが可能である。

     これらのコイルはバイファイラーシリアル結合コイル状に巻いてあった方がよろしい。その理由は、コイルの磁気成分は、線を流れる電流の方向が各ターンで逆方向のため発生する磁場は打ち消しあうので、殆どゼロになるからである。(訳註:無誘導巻きではないので打ち消しあう意味が私には理解不能)

     テスラは、US Patent 685,957“Apparatus for the Utilisation of Radiant Energy”を取得した。その中に、金属板で捕集したエネルギーを取り扱ういろんな方法を示している。古いパテントでは、しばしば、コンデンサーと書いてあるが、今日ではキャパシターと呼ばれているものである。

     テスラは、実験を沢山行い、注意深く考察した結果、彼が使用しているラジアントビームは、とても素早く放射されるので、電子は追いつけないという結論になった。このラジアントビームは、極度に動きやすく、殆ど質量の無い粒子で、電子よりずっと小さい媒体から構成されていて、その大きさと速度が原因で、殆どの物質を簡単に通る抜けられる。

     サイズが小さいのにもかかわらず、その極度な速さによりかなりな運動量をもつことになる。(常識と)折り合いをつけるのが非常に困難な事実は、ラジアントビームは外に向かって瞬間的に放射され、全く時間遅れが無く、全体として圧縮できない物質を通って伝送されるかのようである。ラジアントエナージー、縮めてREとも呼ばれるが、通常の用語における電荷はもっていない。これは、独特な特徴をもつ宇宙のユニークな特徴である。もし、使うときは、新しい応用と可能性の主役になる。

     テスラは、新たに発見したフィールドは液体のように振舞うと考えた。115年後に、2005年12月刊のScientific Americanに、実験モデルは、時空間は液体の種類でありうることを示唆しているという特集記事が載った。現代科学はテスラをキャッチし始めるのに長い時間がかかったものである。だが、事実は、一番初めにその考えに至ったのはマイケル・ファラデイ(1781-1867)であった。




    4  太い銅線で巻く空芯コイルの製作方法とインダクタンス計算



     4.1 手巻きコイルの製作とインダクタンス計算[4.1]

     1997年出版”アマチュアラジオ”のなかで、Robert H. Johnが市販品と同様のコイルが簡単に作れることを示している。エレクトロダイン Co.の研究員はスズめっきした銅線のコイルはスズめっきしてないものより三倍強い磁場ができると述べている。この記憶があったので、ドン・スミスはスズめっき銅線を用いた。

    Fig.1 


     上図の手製のコイルは優秀なQ-factorを有する。Baker & Willianson社のスズめっき導線のコイルより良い。何故なら、電流の大部分は、ワイヤの表面を流れ、銅は銀スズメッキ線より電気伝導性が良いからである。

     コイルのインダクタンスは巻き線間隔が狭いと増加する。コイルのキャパシタンスは、巻き線間隔が広いと減少する。妥協点の一つは、巻き線間隔を線の太さだけ開けることである。テスラコイル製作者に共通する製作法は、ナイロンの釣り糸かプラスチックの何かのコードを線間に挟んで巻くことである。下図のように崩せる型枠に巻いて、線をエポキシ接着剤で固めてから、型枠を崩して除去する方法もある。エポキシはマイクロファイバーと混ぜて接着するとしっかりくっつき形態が保持しやすい。

     
    Fig.2 コイルを巻く取り外し可能な型枠 




     コイルのインダクタンスは、次式で計算可能である。

         インダクタンス: L(μH) = d2n2/(18d+40l)

     ここで、
    d : ワイヤの中心からワイヤの中心まで測ったコイル直径(インチ)
    n : 巻き数
    l : コイルの長さ(インチ)
      (1インチ=25.4mm)
    である。



     4.2 太い銅線を使用した手巻きコイルのもうひとつの製作法

     スピーカ線はフレキシブルでコイルは巻きやすいが、そうでない太い銅線で大き目のコイルを作るときは硬くて曲げにくいため、線間隔をそろえた正確な円形断面のコイルが作りにくい。

     太い銅線でコイルを作る方法について、興味深いサイト HHO SWISS INOX 5 HOW TO BUILD HIGH PRODUCTION SPIRALSがあったので、紹介しておく。冶具をつくるのに手間がかかるが、いったん作ってしまえば、きれいに巻けるようであり、用途によっては役立つと思う。

    Fig.1


    Fig.2


    Fig.3


    Fig.4


     短めのパイプAの中にパイプBを挿入する。パイプAには平板が溶接してあるが、ここを万力にはさんで固定し、銅線をパイプBの溝穴に入れて手回しハンドルを回すとコイルができる。このときハンドルを回す手とは異なるもう一方の手で、軍手をはめて、銅線とその周辺部を適度に押さえる。

     この方法をヒントにして、自分独自の方法を工夫したらよい。例えばパイプに平板を溶接するところは、溶接の代わりに、他の方法がいくつかありそうである。なお、ビデオにはパイプAの直径を変更する方法も紹介されている。



    5  高圧コンデンサーの製作方法



     高電圧電力回路用コンデンサーは下記のように分類されている[5.1]。



     高圧コンデンサーは、既製品が販売されているが、非常に高価である。ドン・スミスは、専門の会社が製作した非常に高価なものを使っている。

     ここでは、自作することを考える。自作方法には、いろんな方法がある。塩の溶液で満たしたガラス製ビール瓶を用いて自作に成功している人たちもいる。彼らは、いくつかのビール瓶の外側をアルミフォイルでラップし、これをキャパシターの1電極としてある。もうひとつの電極は、裸線が各ボトルの内部深くまでループ状にぐるぐる巻きにしてあり、次のボトルの内部の裸線ループへとつなぐ。これでよく動くが、持ち運びが簡単ではない。これらの瓶を容器に並べて格納すると少しは持ち運びが改善する。この方法は容量が小さいという欠点がある。

     過去においてポピュラーだった方法は、アルミフォイルを完璧に巻く方法である。これは、”ベイキングフォイル”と呼ばれることもある。プラスチックフィルムとアルミフォイルをフラットに積み重ねておき、ぐるぐるまきにすればよい。アルミ・プラスチック・アルミの三つの層でキャパシターを構成する。

     例えば、web site: Tesla Coil componentsでは、ベイキングフォイル法の1例を示している。

    Fig.1 自作方法


     上図のように、このキャパシターは2枚の長い短冊形金属板をポリエチレン誘電体フィルムで絶縁して使う。図のようにぐるぐる巻きにする。彼によると、この方法でテスラコイル用のコンデンサーを沢山作ったが、注意深く作り、オイルに浸せば、とてもうまく作動した。この方式では容量はかなり大きくなる。しかし、過電圧に対しては、とても弱い。誘電体がパンクすると、もう自己回復は望めない、ということである。

     金属板やポリエチレンの厚みは示されていないが、自分で見つけなさいという意味であろう。 プラスチック層が厚いほどキャパシタンスは小さくなるが、耐圧は高くなる。

     ポピュラーエレクトロニクスの1999年12月号は、自作の場合のフラッシュ用としてアルミ薄板33枚を用いることを提案している。当時は、市販アルミ薄板の幅は25cmであったので、彼らの場合、アルミの長さを35.5cmにした。プラスチックフィルムはポリエチレンシート(1.6mm厚)であり、工作用品販売店に市販されている。プラスチックの寸法は28cm×33cmにカットする。下図参照。

    Fig.2 自作方法


     アルミ薄板とポリエチレンフィルムがサンドイッチ状になるから、これを二枚の硬い木の板で締め付ける。締め付けが強ければ強いほどキャパシタンスが大きくなる。電気的接続は板の端にボルトを通して行う。プラスチックフィルム間に間隙ができるので、必要に応じてワッシャーを使うと良い。

      Web site: RimstarOrg: "How to Make High Voltage Capacitors - Homemade/DIY Capacitors" には、かなり有益な情報がある(下図参照)。その主な内容は、下記のとおりである。

    1. 何年かにわたって自作したいくつかの異なる種類の高圧コンデンサの製作方法

    2. 市販コンデンサの規格電圧とは何を意味するのか

    3. 破壊電圧の見つけ方

    4. 誘電率をインターネットで検索して必要な誘電体の厚みを計算する

    5. 自作のコンデンサの破壊電圧を高圧電源とアナログメータとアンメータでおこなう試験

    6. 板の形と破壊電圧

    7. 薄板による空気のイオン化

    8. 絶縁のためのコロナドープの樹脂またはワックスの使用

    9. 電流制限抵抗を用いた破壊試験のデモ

    10. 標準的破壊試験


    Fig.3 自作キャパシタ


      Web site: lbochtler: "How to Make a DIY High Voltage Capacitor" にも、参考になる情報がある(下図参照)。

    Fig.4 自作キャパシタ


    Fig.5 自作キャパシタ


     アルミのクッキングフォイルと透明プラスチックシートを使っている。リード線はスピーカ線をほぐして広げアルミフォイルにセロテープで貼り付けただけである。上図の自作キャパシタは指で押せばフニャフニャと凹む。

     なお、Youtubeで、検索語how to make high voltage capacitorで引けば、いくつもヒットする。パッシタと聞こえるのは、キャパシタのことである。



    6  プレンティスのエアリアルシステムのキロワット級発電機



     電気技師Frank Wyatt Prentice(米国)は、彼が”電力蓄積器”と呼ぶものを発明した。出力は入力より6倍大きい(COP=6)。500Wの入力に対し3kWの出力を得ている。これは、1923年にUSA特許が成立している。パルスはトランスの1次側のスパークギャップ、およびトランスの2次側(高圧側)のスパークギャップの両方により、シャープになっている。この装置は、カパナーツェ、ドン・スミス・タンデム型などの装置とよく似ている。 彼のパテントの概略は以下のとおりである。

     本発明は、電力蓄積器およびその種類のものの改良に関する。これは、ロータとして働くアース、およびステータとしての周囲の空気が、軸の周りに回転している地球により発生したエネルギーを集める。これを電力や他の用途に用いるものである。

     本発明者は、鉄道用の無線列車制御システムUS pat.843,550の開発において、絶縁体で支えた適切な直径の一本のワイヤからなる伝送アンテナ、これは地面から3-6インチの高さで1/2マイルほど延びていて、その端はスパークギャップを介してアースしてあり、他端から500Wの高周波発生器から、500kHzの2次周波数をもっているパワーを入力すると、このアンテナ中、およびこのアンテナに約20フィート離れて平行に走る18フィートの閉ループアンテナ(振動している)中には、アース電流と同じ周波数の振動の電力が、環境から捕獲して蓄積されることを発見した。ループアンテナをチューニングすると、50個の50Wカーボンランプを点灯することができる。周波数500kHzを低くすると、18フィートアンテナが捕獲する電力は低下した。

     同様に、伝送アンテナを高くすると、捕獲電力は高さに比例して低下した。6フィート以上では、電圧と周波数を変えることなしには、パワーは得られなかった。

     本発明の目的は、ここに記述し、図に示した手段によって、地面から発生するパワーを利用するようにすることである。二つの図はシンプルで望ましい形を示しているが、厳密で詳細な回路、形態、位置および詳細な構造に制限はないことを理解して欲しい。そして、そのような変更、改造などは、請求項に特に指摘したように、本発明の範囲内で可能である。

    Fig.1 


     とくに、Fig.1において、1および2は、110V, 60Hzを高周波発生器に供給する交流供給ワイヤである。3は、極4,5につながるスイッチ、6,7は高周波トランス8につながる。8は周波数を500kHz、電圧を、例えば100kVにするのに使われる。9はインダクタ、10はスパークギャップ、11は可変キャパシタ、12はトランス8の1次巻き線、13は2次巻き線である。2次巻き線は可変キャパシター16とワイヤ17を通して地中につなげてある。ワイヤ14はトランス8を主伝送線アンテナ19につないでいるが、19は、その長さ方向に沿って絶縁体20により支えられている。スパークギャップ21は主伝送線アンテナ19とアース24に、結合ワイヤ22と可変キャパシタを通してつないである。

    Fig.2 


     Fig.2において、25は望みの長さの閉ループアンテナ(振動している)である。最大の効率を得るために、これはFig.1の主伝送線アンテナ19と平行に走っている。ワイヤ26は降圧トランスの2次巻き線27につないである。これは可変キャパシターを通してアース31に落としてある。降圧トランスの1次巻き線32は、両端が可変キャパシタ33につながっていて、周波数トランスの巻き線34に直接給電している。これは巻き線35を通してモータMまたは他の電気的負荷に電流を供給している。

     上記の図面に従って、本発明の動作について述べる。スイッチ3を入力電力側に倒す。スパークギャップ10と可変キャパシタ11を、100kV、500kHzがFig.1の昇圧トランス8に入力できるように調整する。次に、伝送アンテナのスパークギャップ21を調整して、全ての(電圧)ピークとノードが、スパークギャップ21を通る電流サージによって、アンテナに沿って伝わる100kVの伝送から取り除かれるようにする。

     スパークギャップ21を通って流れる高周波の交流電流は、可変キャパシタ23を通ってアース24へ流れ、そこから、アース点18を通って戻り、可変キャパシタ16をとおり、トランス8の巻き線13へと流れる。500kHzの電流はアース発生の電流と同じであり、それと同調しているので、自然と、アース電流の集積はトランス8に対するそれと融合することになる。これは、Fig.2に示したように、同じ500kHzの同調回路によって引き出された高周波電流のタンクを供給するのである。Fig.2では、アンテナ25は500kHzの周波数を受信するようにチューニングされている。その電流はトランス27(周波数調整型トランス)に流れ、負荷38にパワーを与える。

     伝送アンテナ19からアースを通って帰還する電流は、ワイヤを通って帰還する方が望ましい。というのは、地中帰還の電流はワイヤよりも多くのアース電流を捕獲できるからである。私は、或る条件下では、Fig.2に示すループアンテナの位置に一本のアンテナを使うことを選ぶ。ある動作の要求条件では、アンテナを何フィートか高く上げて、良い性能を得る事もあるが、そのときは異なる電圧と周波数が、アース電流を捕集するのに必要となる

     (訳注)1/2マイルという長いアンテナを設置するのはあまり実用的ではないと思うが,考え方が興味深い。
     なお,本章は,2014年ころに書いたものであり,それから大分年数が経過しているので,この電子Bookは,その後改訂され,最新版には説明(図も)が追記されている。興味ある読者は必要に応じて原著の最新版またはプレンティスの特許を参考にされたい。









    7 ウォルタ・フォードのスピーカが鳴る無電源クリスタルラジオ



     1961年版の”電子実験者のハンドブック”のなかに、Walter B. Fordの興味深い回路が掲載されている。6-7cmのスピーカをならすことのできる高出力クリスタルラジオの回路である。通常は、こんな大きなスピーカをならすのは不可能だろう。

    Fig.1a 


    Fig.1b 


      彼は、以下のように述べている[7.1]。

     ここに、2.5インチスピーカを十分に鳴らす小さなクリスタルラジオがある。この小さなユニットの選局機能は、クリスタルレシーバを越えて想像以上によく、ボリウムはトランジスタラジオセットで得られるものに等しい。外部電源は不要である。

     このラジオの普通にはない選局機能は特別なダブル・チューニング回路にある。スピーカを鳴らすための増大パワーを供給する電圧2倍器として1対のダイオードがつないである。出力ジャックはヘッドフォンとアンプへつなぐ端子である。

     製作: このモデルは、3.5"×3.5"の金属製前面パネルをつけた2.5"×4.5"の木製シャーシの上に組み立ててある。のぞむなら、他の材料と置き換えてよい。

     2本の標準的フェライト丸棒、L2, L3を用いた。両者とも、2次巻き線、L1, L4を巻く必要がある。追加した巻き線は木綿被覆線No.24を図に示すように小さなボール紙製チューブの上に22ターン巻いてある。(実際は、木綿あるいはエナメル被覆銅線のNo.22からNo.22くらいのサイズを用いてかまわない)

     ボール紙製チューブの直径は、L2, L3より少し大きくして、L2, L3の上をすべることが容易にできるようにしておく。

     トリマーコンデンサC2は、二つの2連バリコンの固定ターミナルに半田付けすべきである。スピーカと出力トランスはどこでも便利なところに配置すればよい。

     もし、金属製シャーシを用いたなら、空中部分(アンテナ)とアース結合ソケットはシャーシから絶縁しているか確認する。部品を全部シャーシに取り付けたら、図および写真にしたがって結線する。ダイオードD1, D2およびキャパシタC3, C4は正しく結合されているか確認する。極性には注意する。

     Kelly: これは興味深いことだが、図に潜んでいるキーファクターで、重要なことは、二つのコイルを互いに直交して配設することである、と彼が、言っていることである。

    (註: Free energy装置にはこのような直交コイルが重要といわれている。フロイド・スウィートのVTA参照)


    Fig.2 


    Fig.3 


     調節と動作:

     受信機を調整するには、アンテナとアースに接続する。アンテナの最適長さは地域により異なる。しかし、50フィート(約15m)なら、いくつかの放送局を受信できる地域には通常適する。(註: 15mは直線では長すぎるので、コイル状に巻いてもできるか試すと良い)次に、高インピーダンスのイヤフォンをジャックJ1に挿入する。放送バンドの高い周波数端に、例えば、1,500kHz付近の放送局にチューニングする。そしてバリコンC1, C2の上のトリマキャパシタを、音が最大になるように調整する。

     トリマーコンデンサC2は、次に、全部の放送局上で、最良の選局性と最大のボリウムに調整する。最後に、コイルL1, L4をコイルL2, L3上で前後にスライドさせて、最適位置に調整する。ラウドスピーカを使うときはイヤフォンは抜いておく。強い放送局では、かなり大きなボリウムになる。

     どうして動くのか:

     本受信機は、2重チューニング回路をもっていて、これが、小さなラウドスピーカを駆動するための「クリスタル-ダイオード-電圧ダブル検出器」に電力を供給している。アンテナシステムによって、ピックアップされたラジオ周波の信号は、コイルL1,L2中に誘導される。望む信号はチューニング回路C1a, L2によって選択され、第2のチューニング回路C1b, L3により結合する。これが、ラジオ周波数のバンドパスを狭めることにより選局性能を向上させる。2回チューニングされた信号はコイルL4, L3に導かれる。

     L4に現われるラジオ周波の信号の正の半分は、1N34AゲルマニウムダイオードD2を通ってキャパシタC4に送られる。負の半分は信号はダイオードD1を通ってキャパシタC3に送られる。C3とC4の電荷の極性は実効電圧を2倍にする。この電圧は出力トランスT1の1次側の端に現われ、これは、高いインピーダンスの信号をラウドスピーカに適する低いインピーダンスに変換される。


     Kelly: これは、とても素晴らしいクリスタルラジオの設計に思える。コイル対は互いに直角に配置していなければならないと彼がこだわっていることは重要である。これはVladimir Utkinが、高周波の励起が出力コイルに直角であるなら、環境から回路中にフリーエナジーの流入が起こるといっていることと軌を一にする。

     感想

    1. アンテナの長さも、アフリカなどの開発途上国では、このままで、気にならないかもしれないが、もっとコンパクトなループ状にすることはできないか。


    2. 昇圧トランスと高圧トランスがある点では、ドン・スミスなどの回路と類似性があるかもしれない。それらが互いに直交することが重要とされている点が興味深いし、何かヒントしているようにも感じる。








    8 エネルギー捕集アンテナ に対するひとつの考え方



     ”エネルギー吸収ラジオアンテナ、テスラのパワー受信機”と題して、エネルギー捕集アンテナ に対するひとつの考え方を示しているひとがいる(サイエンス・ホビイストと名乗る人物)。彼は二つの論文:  (1) C. F. Bohrenの論文と (2) H. Paul and R. Fischerの論文を引用して考察している。

     (1) C. F. Bohrenの論文"How can a particle absorb more than the light incident on it?"

     この論文の要約:粒子は実際、それに入射する光よりも多く吸収することができる。紫外域の周波数における金属粒子はそのような粒子のひとつの種類であり、赤外周波数における絶縁された粒子も、そうである。前者の場合は、強い吸収は表面プラズモンの励起に関係している。後者の場合は表面フォノンに関係している。どちらの例も、入射光に対して粒子が存在するターゲットエリア(訳註:衝突断面積)は、その幾何学的断面積よりずっと大きくなることが可能である。これは、平面波で照らされた小さな球面の近傍のポインティングベクトルのフィールドラインが示すように際立った証拠が与えられている。

    Fig.1 共振吸収体の近傍領域に対するエネルギの流れ。
    ちっぽけな吸収体が大きなデイスクのように振舞う。


     (2) H. Paul and R. Fischerの論文 "Light Absorption by a dipole"

     この論文の要約:半古典的放射理論では、強い入射フィールドによって原子の上に引き起こされた電気的ダイポールモーメントは、幾何学的断面積を通して流れるフィールドよりも、ずっと多くのエネルギー(1秒当たりの)を吸収する。これは、原子は、それ自身の体積よりもはるかに大きい空間領域から電磁エネルギーを吸い上げる能力をもっていることを示している。この効果を直感的に理解するのには、古典電磁気学の枠組みのなかで、入射波フィールドと吸収時のダイポールにより発生したフィールドの重畳により形成されたトータルのエネルギーの流れを研究する必要がある。

    さらに、小さいアンテナの物理学に対しては、いくつかの論文[8.3][8.4]がある。
    (to be continued)





    9 マグニファイア(Magnifying transmitter)と1/4波長コイルなど



     テスラコイル・トランスミッターを大きく前進させたものがマグニファイア(Magnifying transmitter、 増大送電機)である。テスラは、これを用いて無線で電力を送ろうとしたもので、ハイパワーの調和振動子である。彼の伝記に、「私の全ての発明の中で、マグニファイアーは、次世代において最も重要で価値のあることが証明されるであろう。」と述べている。マグニファイアーは、空芯の、多共振トランスで、非常に高い電圧を発生することができる[9.1]。

     マグニファイアーは、1895-1899年にニューヨーク市で、初めて組み立てられた。1899には、もっと大きいマグニファイアーがコロラド・スプリングスで建設された。この機械は、信号と電力の無線送信に関する基礎研究を行うためのものであった。直径51フィート(15.5m)のものであり、これで、3.5-4MVに達し、100フィート(30m)を超える放電を起こすことができた。ここで9ケ月間研究し、500ページの実験ノート(図の数が約200)を残した。

    Fig.1. マグニファイア。
    コロラドスプリングス。1899.
    Fig.2. マグニファイアのあるコロラド・スプ
    リングスの実験室に座っているテスラ。
    写真のアークの長さは約7mである。


     コロラドの実験では、テスラは小型共振トランスを沢山作り、連結した回路のチューニングの研究を進めた。テスラは、また、回転コヒーラーを含むエネルギー受信の敏感なデバイスを設計した。これらの装置は無線受信機が特定の周波数にチューニングできることをデモンストレーションするために作られた。



     フリーエナジー研究者たちは、増大送電機(Magnifying transmitter)を単なるダイナモの発電電力の伝送を行うものとしては捕らえていない。宇宙エネルギーを捕獲し電力を増大する機能が潜んでいると推測しているのである。そこで、その構造を見ておくことは何かの役に立つであろう。一般的に、見られる図は、下図のようなものである。



    Fig.3. マグニファイア
    (ソレノイド型)
    Fig.4. マグニファイア
    (パンケーキ型)


     上図は少々分かりにくいが、下図は実体的な図であるので分かりやすい。これは、The Electric Spacecraft Journal, Issue 26, Sept. 14, 1998. に掲載されたテスラマグニファイアの図面である。アースの近くで下の方にある小さく丸いものは、ダイナモである。高い周波数のACを発生する発電機だと推測される。トランスにつながっている、フォークを二本対向させた形のものはコンデンサーである。

    Fig.5. マグニファイア
    (ソレノイド型)
    Fig.6. マグニファイア
    (パンケーキ型)


     Figs.3&5で中間タップを用いる方法は、II章で述べたドン・スミスも取り入れている(全く同じというわけではない)。Figs.3&5は7個のコイルを用いている。マグニファイアの特徴を、深く洞察することは重要であると思われる。例えば、Fig.5のスフィアは高圧コンデンサと浮遊Lに置き換えて設計してみたらどうか。もちろん試行錯誤が必要になるし、チューニングが最重要になると思う。

    マグニファイアの特徴

    • テスラが最重要で最高の発明とした装置である。

    • 調和発振器である。

    • 3個の空芯トランスからなる。

    • 第3のコイル(extra coil)は、1/4波長ヘリカル共振器として作用する。



     なお、通常のテスラコイルの原理的説明は、文献[9.2]が参考になる。下図はその図である。

     
    Fig.6. 共振変圧器 簡易等価回路Z:放電インピーダンス、
    Cs:容量球の寄生容量、Ls:漏れインダクタンス[9.2]


     これによれば下記のように説明されている。

     二次側の系が共振状態にあるときは、一次側回路側の誘導性インピーダンスが激減し、二次コイルの共振電流が発生する磁界と一次コイルが発生する主磁束の磁界の位相が等しくなり、一次コイルの発生する磁界が二次コイルに引き込まれて一次-二次間に非常に強い結合が得られる。

     この状態であれば、鉄心などにより磁束を閉じ込める工夫をすること無く高い結合効果を得ることが出来る。すなわち一次コイルに与える電圧の周波数が二次側系の共振周波数であれば、本来トランスは単に一次、二次のコイルを適当に近くに設置した程度の状態でも効率よく電力が伝達できる。




    10 マグニファイヤのエキストラ・コイルの解析



     上節のFigs.5 & 6に示すマグニファイアには、エキストラ・コイルと呼ぶコイルが使われている。このコイルは、一体何の役目をしているのだろうか。

     これについて、研究論文が発表されている。著者は、ジェイムス・F・コラム(Ph.D.,ウェスト・バージニア大学、電気工学科)およびケネス・L・コラム(CPGコミュニケーションズ)の共著である。以下は、その抜粋と概訳である。この論文には、下記(1)-(3)が記述されているが、(1)は飛ばして呼んでも差し支えはない。

     (1)論文の概要:

     学術論文なので、高度な式が展開されているが、その部分を紹介しても、非常に限られた人にしか興味対照にならないだろうし、本サイトには、専門的に過ぎるであろうから、やさしいところだけ抜粋と概訳で紹介する。しかし、詳しく読みたい場合は、彼らの論文 “低速波ヘリカル共振器としてのエキストラ・コイルの技術的解析”(2014/7/23)をみられたい。

     この論文では、マグニファイヤのトップに取り付けられた低速波ヘリカル共振器としてのエキストラ・コイルの解析的展開がなされている。彼らの取扱は、短縮した同軸共振器から始まるが、その内部の伝導体は、終端にロードしたスパイラル・ディレイラインから作られている。彼らは、低速波因子および等価伝送線のインピーダンス特性に対する公式を展開している。

     次いで、損失を含めた電圧定在波比(VSWR)を解析し、テスラコイル共振器の電圧上昇が得られることを示した。その結果は、エキストラコイルの共振特性の予想を与えている。エキストラコイルの解析のいくつかの例が数値的に提供され、スミスチャートに表示された。特に、テスラの実験日誌(1899.11.1および1900.1.2)が詳しく考察されたが、10-15MVの電圧上昇が起こることが示される。

     このモデルは、テスラがコロラドスプリングスで使用した装置のRF部分をどのようにチューニングしたのか示すが、テスラ実験日誌の記述に合致した。

     (2)テスラ無線送電に関する記述:

     初期の写真(上節のFig2参照)で、テスラが実験室で、壮絶な電気スパークの中に座っている状態が示されているが、このスパークは、12MVのマグファイヤの大きなエキストラ・コイル(実際は高周波の巨大な空気コアの誘導コイル)から出ている。

     テスラは、コロラド・スプリングスの無線送電システムを実際に動かして、無線で彼の研究所から25マイル先にある200個の電球を点灯して見せた。

     ひとつのテレビ塔の信号伝播の範囲内で、無数のテレビ受像機が受像可能である。ニューヨークのロングアイランドの東端のウオーデンクリフにおけるテスラの次のもっと大きなマグニファイヤは、100,000,000Vで10,000馬力の出力の予定であった。テスラの究極のゴールは、ひとつの無線伝送システムで、地球市民に電力を送ることであった。

     (3)著者について:

     ジェイムス F. コラム博士は、1943年8月、マサチューセッツのナテイックに生まれた。1965年、ロォウェル技術大学でBSEE(学士号)、1967年にMSEE(修士号)を取得した。そして1974年に電気工学のPh.D.(博士号)を取得した。彼は、ウェストバージニア大学の電気工学科の准教授である。専門分野は、電磁気学、アンテナ工学、およびRF通信工学である。

     彼は、商用放送アンテナシステム、波動の伝播、およびマイクロ波衛星ビデオ通信を研究している。最近アンテナと電磁気装置に関する五つのパテントを取得した。

     ケネス L. コラムは1954年2月、マサチューセッツのウオバーンに生まれた。ケネスは1997年にゴードンカレッジで物理の修士号を得た。そしてマサチューセッツのローウェル大学を卒業した。彼は、英国、フランス、ドイツ、オランダ、および合衆国でデジタル技術を教えた。彼は、テスラのRF研究に関するいくつかの技術的出版を行った。ユーゴスラビア、ベオグラードのテスラ記念館を訪問したことがある。

     






    11 テスラの磁気クエンチスパークの働き



     テスラのラジアントエナジー発生過程においては、ディスラプタ(分離器)と呼ばれる磁気クエンチスパーク(Magnetically quenced spark)が重要な働きをしている。これは、テスラ装置の頭脳にも相当する重要部分であるという人もある。

    拡大します
    Fig.1 テスラのパテントに描かれている磁気クエンチスパーク
    (Magnetically quenced spark)。図クリックで拡大します。


     これは、高圧発生ダイナモの出力で高圧コンデンサを充電し、Fig.1のような電極(放電電極の近傍に永久磁石を配置し磁場をかけている構造)で急峻に放電するとラジアントエネルギー(ラジアント粒子)が発生する。電極にはDCを印加する。磁石と電極間隙を調整して放電状態(周波数など)を変えるのだが、インパルス間隔を変化させると、それぞれの間隔特有の効果が発生する。

     Disrupter ( 対向させた放電電極の間隙に磁場を加えるようにした装置のこと。これで放電状態を調整できる。Fig.1 )に電気を与えると、一次の破砕過程が起こる。電子は、強い磁場の影響によって電極間隙から強烈に押し出される。しかしながら、エーテルの流れは、電荷を持たないが、回路を通って流れ続ける。磁気的disrupterは、エーテル粒子から電子を剥ぎ取るという第1次的な役割をもつ[19.1]。

     上記の下線部分は、Lindemann[19.1]による仮説であって、本当のところは不明である。確かにテスラは、この磁気クエンチスパークを重要視していた。エド・グレイも磁気クエンチスパークを用いていたとされる。II章10-11節に取り扱ったドン・スミスは、スパークギャップを用いているが、それが磁気クエンチスパークかどうかは、明記していない。彼は全てを仔細に公表はしなかったといわれている。

     ビデオは、 Spark Gap Air and Magnetic Quenchで見られる。ただし、テスラと条件が同じではないだろう。しかし、一部の写真を引用しておく。Fig.2は、磁場を印加しない場合のスパーク状態を示している。

     
    Fig.2.


     Fig.3は、磁石による磁場を印加したときのスパークの状態を示している。

     
    Fig.3.


     Fig.4は、2個の磁石で、スパークギャップをはさむようにしたときの放電状態を示している。ただし磁場の方向は、Fig3とは逆である。

     
    Fig.4.


     これらの写真はテスラの場合と完全に同じという保証はないので、この写真もビデオも参考までに見ておくのが良いと思う。磁気クエンチスパークの効果は、実験により自分で調べることになるでしょう。

     ドン・スミスによれば、条件が整うと、スパークギャップは、周囲反転(ambient inversion)上で動作し、スパークは全体的に音や様相が異なってきて、早い放電状態になり、熱放出が小さくなり、霜の発生さえ起こる。(筆者註:冷電気の発生であろう)と、記述している点に注意すべきである。





    13 テスラのフリーエナジーモ−タ



     テスラは、1932-1933年に次のように述べている。以下概訳して紹介する。

     
    Fig.1.


     「私は、コズミックレイ(訳註:現在の科学で言う“宇宙線”ではない)を捕獲し、それにより動力機械(モータなど)を作動させた。コズミックレイの研究は、私に、しっくりと合うテーマである。コズミックレイは、私が、初めて発見したものである。

     私は、コズミックレイの理論を進め、研究の全ての段階において、完全に正しいと分かった。コズミックレイの魅力的な特徴は、その不変性にある。コズミックレイは、全24時間を通して、われわれの上に降り注いでいる。もし、そのパワーを使うプラントを開発したら、そのデバイスには、風力・潮汐・太陽光を用いるデバイスの場合のような蓄電は必要としないであろう。

     私の、全ての研究から、コズミックレイは、小さな粒子で、非常に小さな電荷を運んでいるので、ニュートロン(訳註:現在の科学の“中性子”とは異なる粒子)と呼ぶことが正しいとう結論でよいと思える。これは、非常に大きな速度で動いていて、光の速度を超えている。

     25年以上前に、私は、コズミックレイを利用する努力をはじめたが、いまや、その力によって動力機械を作動させることに成功したと言うことができる。簡単にいえば、コズミックレイは、空気をイオン化し、多くの自由電子やイオンを発生するということである。これらの電荷は、コンデンサに捕獲され、モータ回路を通して放電される。大きな規模のモータを建造したいのだが、いまは、その計画を実行するのに適した状況ではない。」-- Brooklyn Eagle July 10, 1932.

     テスラが主張した、コズミックレイを利用するデバイス:

     「世界中の機械を動かすためのこの新エネルギーは、宇宙を動かしているエネルギーから得られる。宇宙エネルギー、地球に対するその中心的なエネルギー源は太陽である。どこにでも無制限な量が存在する。」-- New York American, November 1st, 1933.

     
    Fig.2.


     これは、テスラの、初めてのラジアントエナジー受信機の図である。空気から得られる静電気(訳註:これは現在の科学で理解されている大気中静電気とは異なる)を蓄え、利用できる形態に変換する。

     テスラのフリーエナジーの概念は、1901年に、“ラジアントエナジーを利用する装置”という表題のパテントになった。そこでは、太陽や他のエネルギー源、例えば、コズミックレイのようなラジアントエナジーについて述べ、デバイスはコズミックレイが夜間も得られるので、夜間も動くと述べている。テスラはまた、地球は、負の電気の広大な貯蔵所であるといっている。

     
    Fig.3.


     テスラは、ラジアントエナジーと、そのフリーエナジーとしての可能性に魅せられていた。Fig.2のキャパシタはかなり大容量でないといけない、また誘電体は最高品質のマイカにすべきだと述べている。

     Fig.2では、高く上げた金属板がラジアントエナジーを受け取る。するとコンデンサーに電荷が蓄積される。円形のものは回転体(これは他の小さなモータでまわす)であり、ブラシをon/offしてコンデンサからの電流をon/offしてトランスへのパルス入力をおこなう。2次側につないだ負荷としてのモータを回す。しかし、この段階の装置では、小さなモータしか回らなかったと推測されている。

     これがテスラのフリーエナジー・モータの概略である。後に、金属板はパンケイキコイルに代わった。上述のように、テスラはこの大規模のモータを作ろうとしたが、その計画を実行するのに適した状況ではないとして、取りかからなかった。社会の経済システムを破壊しかねないと危惧したらしい。そのためか、詳細を語らなかった。





    14 テスラのフリーエナジー電気自動車 ピアースアロー



       下記は、文献[21.1]-[21.3]のなかのテスラのフリーエナジー電気自動車について書かれた部分の概訳である。この自動車の動力源についての説明は、文献のあいだで差が見られる。


    (1) ダラス・モーニング・ニューズ[21.1]より引用

     
    「電気自動車 ほとんど大成功
     '31年式自動車のパワー源は依然として謎」


     ミステリー・カーが、交流の開発者、ニコラ・テスラによって、一度デモンストレーションされた。これは、電気自動車であり、大成功と思われる。

     1931年に、ピアースアロー社およびジェネラルエレクトリック社により支援されて、彼は、新しいピアースアロー車からガソリンエンジンを取り去り、80馬力のACモータに取り替えた。外部からのパワー源はない。

     彼は、地元のラジオ店から、真空管12個、配線用のワイヤ、および雑多な抵抗を購入し、ケースの中に回路を組んだ。ケースの大きさは、長さ24インチ、幅12インチ、高さ6インチであり、3インチの長さのロッド(棒)がくっついていた。

     彼は、このケースをもってくるまに入り、フロント席にすわり、ケースを自分の横に置いた。ケースのロッドを押しこむと、“さあ、パワーは一杯になったぞ”といった。そして、1週間のテストドライブを続けた。しばしば、90mph(時速90マイル)の速度に達した。ACのモーターであったし、バッテリーは搭載していないのに、パワーはどこから来きたのか?

     民間に流布した反応は、黒魔術だというものもあった。しかし、繊細な天才は、報道の懐疑的コメントを好まなかった。彼は、ミステリアスなケースを取り外し、ニューヨークの研究所へ持ち帰った。パワー源の秘密は彼の死と共に無くなってしまった。

     

    (2) パッカード・ニューズレターより引用

     1931年、ピアース・アローとジョージ・ウェスティングハウスの資金の支援のもとに、1931年型ピアースアロー車がニューヨーク、バッファローの工場の敷地でテストするために選定された。標準的内燃機関が取り外され、80馬力、1800rpmの電気モータがクラッチとトランスミッションにつながれた。このACモータは、長さが40インチ、直径30インチであった。モータの電力入力線は空中に出ているだけで、外部のパワー源はなかった。

     約束の時刻に、ニューヨーク市からテスラがやってきた。そして、ピアース・アロー車をチェックした。それから、彼は、地元のラジオ店に行って、手に一杯の真空管(12個)、電線、さまざまな抵抗を購入した。長さ24インチ、幅12インチ、高さ6インチのひとつの箱が組み立てられ、中に電気回路を収めた。箱は、前の座席の上に置かれ、空冷のブラッシュレスモータに結線された。

     直径1/4インチの二つのロッド(棒)が、箱から約3インチ突き出ていた。テスラ氏は、運転席に行き、二つのロッドを押し込み、“さあ、パワーは一杯になったぞ”といった。彼は、ギアを入れた。すると前進したのである。この自動車は、ACモータで動き、90mph(時速90マイル)の速度に達し、当時のどの内燃機関よりも良い性能を示した。

     自動車のテストに一週間が費やされた。バッファローのいくつかの新聞がこの走行試験を報じた。パワーはどこから来るのか聞かれたとき、テスラは、“全て、我々のまわりにあるイーサからである”と答えた。テスラは、気ちがいで、何か宇宙の邪悪な力と結託しているのではないかという人たちもいた。

     彼は、激怒した。そしてミステリアスな箱を車からはずし、ニューヨークの彼の研究所に持ち帰ってしまった。彼の秘密は彼の死とともに死んでしまった。

     彼の装置の正確な性能はミステリーのままであるが、しかし、ピアースアロー車に搭載された80馬力のACモータを実際に動かし、90mphの速度に達した。充電なしにできたのである。

     

    (3) KeelyNet Sysopより引用

     これは、テスラのパワーボックスに関する、KeelyNet Sysopコメントからの引用である。

     はじめに、ACモータを使っていることに注意しよう。このことこそ、テスラの装置は、優れていることを示しているし、モレイの装置のようにチューニングにあまり依存しないということを示している。モレイの装置では、抵抗負荷でないと動作しないのである。全ての宇宙エネルギーは、波動の形態で動いていて、したがって本質的に交流(AC)に対応している。

     これは、何故モレイが彼の著書を“地球が浮かぶエネルギーの海”と呼んだのかの理由である。全宇宙は、絶え間なくこのACエネルギーのなかに浸っていて、周波数の全スペクトルをカバーしている。私の興味をそそる点は、テスラは、どのように真空管や他の部品を正しく配置し、ちゃんと動くようしたのかという点であった。

     我々が、注目すべき点は、部品のリストである。

     
    1. 12個の真空管(70L7-GT整流ビームパワー管)

    2. ワイヤ

    3. さまざまな抵抗

    4. 直径1/4インチ、長さ3インチのロッド


     注意:コンデンサーはない!ワイヤは、単に結合のためか、コイルを巻くためであっただろう。1/4インチロッドは、パワー・アウトプット・タップのためのBUS BARか、(ありそうなものでは)アンテナ!かのどちらかであろう。共振回路は、いくつかの方法で作ることができる。下記の方法で同じ効果が得られる:

      
    1. 抵抗とコンデンサー

    2. コンデンサーとコイル

    3. コイルと抵抗


     したがって、テスラのパワーボックスの場合は、彼は彼自身のコイルを巻いたか、あるいは単に抵抗を真空管に接続するのに用いたかである。私は、接続のみに用いたのであって、コイルには用いていないと思う!!私はまた、彼はひとつの極性のみ捕獲するために、回路のどこかにダイオードを使ったと思う。

     我々は、テスラが用いたACモータのスペックは知らない。したがって、それが、単相なのか、多相なのか分からない。単相モータの場合は、交流の増加か減少に応じて回転する磁場を出す単一の巻線が必要となるだけである。

     多相モータ(2相またはそれ以上)は、互いに増強するような方法で変化するように移相した入力電流が供給される複数の巻き線を用いる。3相モータの場合は、各電流は、120°ずらしてある。これは、モータに、ずっと大きいトルクを発生させるが、入力エネルギーが3回あるので、3個の電流が必要となる。

     テスラのパワーボックスは、AC(コイルの)モータに電力供給しているので、おそらく、それは一個またはそれ以上の周波数、きっと多相周波数にチューンイングされているであろう。だから、3インチロッドは実際アンテナであったとして、我々は、その周波数を下記のように計算可能である。

     λ=v/f=波長(フィート)
     λ=984,000,000/1,500,000 = 656フィート
     f = 984,000,000/656 = 1,500,000 or 1.5 MHz


     3インチ×4 = 1フート
     984,000,000/1= 984,000,000
     984,000,000/4= 246,000,000 or 246 MHz

     このことから、3インチロッドは(長さが本当に3インチであって、それがアンテナとして機能したのなら)、246MHzで共振したであろう。(訳註:ピアースアローには、約1.8mの長さの重々しいアンテナが、くるまの後ろ側に取り付けてあったといわれているが、この著者は、ロッドもアンテナとして機能したという仮定の場合を取り扱っている。空想的であるが…。以下の記述も多分に同様な内容であり読む必要はないと思うがもう少しだけ続けてみよう。)

     上記パーツリストからいって、私は、二重回路だったと思っている。すなわち、6個の真空管と直径1/4インチ、長さ3インチのロッドは抵抗とともに正方向に向かう信号のみ捕集するか汲み上げ、他の6個の真空管とロッドと抵抗は、負方向に向かう信号を捕集するか汲み上げている。

     そのような回路設計は真空管を並列接続にも直列接続のどちらも使える。電流の伝導は、表面積に比例するので、70L7-GT整流ビームパワー管の並列配置は、入力としてのエネルギー波動から、最大の電流を供給することになる。ここで、並列配置は、アンテナ源に繋いだ全てのINPUTおよび負荷の共通ターミナルに繋いだ全てのOUTPUT端子である。

     ここで、“エネルギー波動”というものが問題である。それは宇宙線、静電気、シューマンピーク、磁気力、何か他のもの、あるいはキーリーのような中性の質量中心に流れ込むイーサの流れであるのか。(以下省略する)







    (4) Jim Glenn[20.2]より引用

     知っている人たちの間では、よく知られていることだが、テスラは、引退してさえ、グラビティー・ストレス・エナジー(訳註:これについての説明はない。この著者の推測的造語?)により推進する自動車を作った、とときどきいわれる。70歳のとき、深刻な経済不況の期間に、テスラはかなりな財政的資金があった。この資金は、ウェスティングハウスから、初期に契約されたような豊富なものではなかったが、これにより、今日、完全に記録として残っている特別に興味深いエピソードが生まれた。

     1930年に、テスラは、彼の甥のピーターにニューヨークに来るように言った。ピーターは、1899年にユーゴスラビアに生まれた。ピーターはテスラより43歳若かった。その日まで、甥は、テスラの生誕地であるユ−ゴスラビアの厳しい環境で生きてきた。1931年の夏、テスラは、その甥をバッファローに連れて行き、新しい自動車を見せ、テストを行った。テスラは彼自身の資金で、その自動車を開発したのであった。

     そのくるまは、ピアース・アローで、その当時の豪華車のひとつであった。エンジンは、取り除かれたが、後輪へつながる、クラッチ、ギアボックス、トランスミッションは、そのままに残した。

    --> ピアース・アロー自動車会社は、アメリカの自動車製造会社で、ニューヨークのバッファローに根拠を置いていた。1901年から1938年まで活動していた。高価な豪華車で有名であったが、商用トラック、消防車、キャンプ・トレーラー、オートバイ、原付自転車なども製造していた。



    Fig.1. これは、1912年型のピアースアローの広告である。


    Fig.2. これは、1930年型のピアースアローである。テスラが改造したのは
    このモデルだと断言できないが、よく似たものと推定される。


    Fig.3. テスラが改造したのは、こちらのモデルの方が近いかもしれない。


     ガソリンエンジンは、丸い形をした完全密閉の電気モータで置き換えた。モータの大きさは長さ約1m、直径約65cmであり、その前部に空冷ファンが付いていた。ディストリビュータは付いていなかったといわれている。テスラは、モータを誰が作ったか、言いたがらなかった。おそらく、ウェスティングハウスのひとつの部門であろう。

    Fig.4. モレイのフリーエナジーデバイス。
    アンテナから約80kWの電力を得るという。
    アースも使う。テスラはモレイ装置を見た
    ことがあるとも言われている[21.1]。


     エネルギー受信装置(重力エネルギーコンバーター)は、テスラ自身がホテルの部屋で作った。その筐体の大きさは、60×25×15cmであった。それは、ダッシュボードの前に取り付けてあった。コンバーターは12個の真空管を含んでいたが、そのうちの3個は70-L-7であった。約1.8mの長さの重々しいアンテナが、くるまの後ろ側に取り付けてあって、コンバーターにつながっていた。このアンテナは、明らかに、モレイコンバータの機能と同じであった。さらに、二つの太い約10cmのロッド(棒状のもの)がコンバーターの筐体から突き出ていた。

     テスラは、そのロッドを押し込むと、“さあ、パワーは一杯になったぞ”といった。モータは、最大回転数1,800rpmになった。テスラは、動作中はかなり熱くなると言った。そのため冷却ファンが必要であった。

     くるまは1週間テストされ、時速90マイルの最高速度に、苦もなく達した。性能データは、少なくともガソリンエンジンの性能に匹敵していた。信号で停止したとき、通行人は排気管から排気ガスが出ていないことに注目した。ピーターは“我々はエンジンを使っていないんだよ”と答えた。

     テスラは、この構造は、あきらかに当時の技術概念と矛盾することを知っていた。それで、技術者、理論学者、あるいは企業(極く少しの例外はある)とディスカッションすることを避けた。このピアースアローはプライベイトなホビーとしてのみ作られたことは、あきらかだった。





    (5) Gerry Vassilatos[20.3]より引用

     上記とは、重ならない部分のみ抜粋引用してみる。上記とは、メカニズムに対する意見が異なることに注意。

    * * * * * *


     テスラは、帯電したフォースの潜在的イーサパワー、束縛されたイーサの爆発能力、および物質固有のイーサパワーについて述べている。

     テスラは、小さくてコンパクトなイーサパワー受信装置を豊富に作る手段を探していた。そのような装置のひとつとして、テスラは、電気自動車を駆動するパワーを得ることに成功した。ところが、例外的なものを除けば、テスラの発明人生の晩年の情報は少ししかない。

     情報は、ありそうもない情報源からやってきた。それは、テスラ伝記作家が、たまたま、漏らした人物であったが、飛行機技術者、ディレック・アーラーが、ニューヨークに住んでいたテスラの甥の一人と会う機会があったのである。

     彼らの関係は、ほぼ10年間続いたが、テスラ博士(訳註:博士といっても日本で言う博士号とは違うが、敬意を表して博士と呼ぶことがある)に関する逸話的な実話記録が主な仕事だった。

     セイボ氏は、テスラの晩年のエピソードに関して膨大な資料を提供してくれた。セイボ氏は、オーストリア軍人で飛行士であった。1931年に、彼は、イーサパワーの実験に参加した。思いがけなく、また似つかわしくもなく、彼は、叔父のバッファロへの長距離ドライブに参加するように頼まれたのである。

     セイボ氏は、このドライブ中に何度か尋ねたが、テスラ博士は、どんな情報も出すのを嫌がっていた。くるまを、車庫に入れたあと、テスラ博士は、ピアースアローに、まっすぐ進み、フードを開き、少々調整を行った。そこには、ACモータが入っていた。

     その大きさは、長さ3フィート、直径は2フィートより少し大きめであった。そこから、二本の太いケーブルが延びていてダッシュボードにつながっていた。さらに、普通の12Vバッテリーがあった。モータは、80馬力で、ロータの最大回転数は、30回転/秒であった。6フィートのアンテナのさおが車の後部に固定してあった。

     テスラ博士は、乗客側に進み、“パワー受信装置”を調整し始めた。これは、ダッシュボードの中に作られていた。パワー受信装置は、当時の短波ラジオより大きくはなく、12個の特殊な真空管を用いていた。真空管は、テスラが、箱型ケイスの中に入れてもち運んでいたものであった。

     セイボ氏は、アーラー氏に、テスラは受信機をホテルの部屋で組み立てたもので、長さ2フィート、幅約1フィート、高さ1/2フィートだと、言っていた。

     いくつかのメータがついていたが、テスラ博士は説明しようとしなかった。音はしなかった。テスラ博士は、セイボ氏にイグニッション・キーを手渡し、エンジンを始動させるように言った。そこで、即、始動させた。何も聞こえなかった。アクセルを踏んだ。すると即座に動いた。テスラの甥は、この自動車を燃料なしに長い時間運転した。

     セイボ氏は、市街から田舎まで、50マイルの距離をドライブした。自動車は、スピードメータが120で、90マイル毎時の速度までテストした。

     しばらくして、市街から離れるにつれ、テスラ博士は、話したい気分になってきた。彼の装置と自動車の両方の性能に十分感動したのであった。

     テスラ博士は、甥に、この装置は車だけにパワーを供給するのではない、家庭にも電力が供給できるのだ、と言った。当初、装置がどうして作動するのかたずねたときは、テスラは、話すことを拒んでいたものである。

     ごみごみとした密集地域を離れて、田舎の道路に入るや否や、テスラは、主題について講義をし始め、動力源について、“イーサからやってくるミステリアスな放射”に言及した。この小さな装置は、非常に明らかに、そして効果的に、このエネルギーを利用していた。

     テスラは、また、このエネルギーの摂理について非常に情熱的に、“それは無限に得られるのだ”と語った。

     テスラ博士は、“それはどこからやってくるのかわからないが、人類はその存在に感謝すべきだ”と言った。

     二人は、バッファローに八日間とどまり、市内やカントリーサイドで、厳重なテストを行った。テスラ博士は、また、この装置は、すぐに、ボート、列車、その他の自動車に使えるだろうと、セイボ氏に話した。あるとき、彼らが、市の境界から出る前の街灯のところで停止したとき、通りすがりの人が、排気ガスが出ていないことを嬉しそうにコメントした。(訳註:昔の自動車は今の自動車と異なり、排気ガスは、目視できた。黒煙、強いにおいが出て、地面に油が滴り落ちた。)

     セイボ氏は、ささやくかのように言った。

      “エンジンは使っていないんだよ。”

     彼らは、バッファロを離れて、テスラ博士が知っていた、あらかじめ決めておいた場所―バッファロから約20マイルほどのところにある農家の古びた家畜小屋―へとドライブしていった。テスラ博士とセイボ氏は、その小屋のところで、車を捨て、12個の真空管を取り出し、イグニッション・キーをもって、そこを離れた。

     のちに、セイボ氏は、秘書がイーサエナジー受信機と試験走行について、あけすけに口外して、守秘違反で即解雇されたといううわさを聞いた。それから、一ヶ月ほどたったとき、セイボ氏は、リー・ド・フォレストと名乗る人物から電話を受けた。彼は、どのように、自動車を楽しんだか聞いてきた。

     セイボ氏は、その神秘的な出来事についての喜びを表した。そして、ド・フォレスト氏は、テスラは世界で最も偉大な、存命の科学者であると断言した。

     セイボ氏は、叔父に、そのパワー受信機は他の応用面に使われているかどうかたずねた。テスラは、一流の造船会社と、同様なパワー受信機を使った船舶を造ることの協議中であるといった。さらに質問をすると、テスラは、うっとうしがった。

     この設計の機密性に対し高度なかかわりを持ち個人的にも緊張状態にあったから、テスラは、正当な理由としての機密性の中で、必死のテストを行っていたことは明白と思われる。テスラは、既にいくつかのごまかし操作の犠牲になっていた。ひとつの金融会社の行為はひどいものだった。このため、機密と注意については最近、過剰なまでになっていたのである。

     (訳註:上記Gerry Vassilatosの記述には、かなり小説的フィクションが混入していると思われる。例えばテスラの甥にセイボという名前の人物は見当たらないという説もある。プライバシー保護のために偽名で登場させたのかもしれないが、謎である。)





    本章の文献:

    [3.1]A practical Guide to Free-Energy Devices by P.Kelly
    [4.1]ibid.
    [5.1]Wikipediaコンデンサ
    [7.1]same as [3.1]
    [8.1]C. F. Bohren, "How can a particle absorb more than the light incident on it?", Am J Phys, 51 #4, pp323 Apr 1983
    [8.2]H. Paul and R. Fischer "Light Absorption by a dipole", SOV. PHYS. USP., 26(10) Oct. 1983 pp 923-926
    [8.3]Chu, J.Appl.Phys. Dec. 1948
    [8.4] Hansen, Proc.IEEE Feb. 1981
    [9.1]Wikipedia: Magnifying transmitter.
    [9.2]ウィキペディア:テスラコイル
    [11.1]The Free Energy Secrets of Cold Electricity by Lindemann:この本は、絶版です。必要でしたらここをクリックしてください。
    [12.1]PowerPedia:Tesla's Pierce-Arrow,Dallas Morning News:Gene Langkopf posted an article to the "KeelyNet BBS" on January 30, 1993, as the Tesla's Electric Car #1 - 01/09/98
    http://peswiki.com/index.php/PowerPedia:Tesla%27s_Pierce-Arrow
    [12.2]Jim Glenn(ed.): The Complete Patents of Nikola Tesla.Barnes & Noble Books, New York, ISBN 1 56619 266 8 , 1994 by Barnes & Noble Inc.
    [12.3]Gerry Vassilatos: Secrets of Cold War Technology - Project HAARP and Beyond", ISBN 0-945685-20-3 .



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