フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相

フリーエネルギー技術開発の特徴と種々相




Chap.19.  元素転換、核廃棄物の無放射能化

0. はじめに
1.元素転換、核廃棄物の無放射能化の分野における通常の流れ
2. 日本における最近の新しい研究
3.元素転換プロセスおよび核廃棄物の放射能汚染への応用―ミクロフスキー
4. 生物内元素転換からのエネルギー開発―ゴールドファイン
5. 生物学における核変換過程はユニークなのか?―バクテリアによる元素転換(シャピロ)
6. 生物学的元素転換―2015(仏)、半減期の短縮
7. 生物系における安定および放射性同位元素の転換―
  先史概略・現象学・実験・原因・理論および展望

8. 複合微生物体系の複合発酵法を用いた放射性物質分解処理
9. 光合成細菌による放射性核種の除去回収





Chap.19.  元素転換、核廃棄物の無放射能化



0. はじめに



 本章では、核廃棄物の無放射能化についても扱っているが、核分裂炉や核融合炉を用いた発電炉で発生する核廃棄物を、この方法でもし無放射能化できるのなら、それをもっと研究して、原子力発電を大いに進めるべきであるとするのは筆者の趣旨ではない。誤解のないように、ここではっきりと断っておく。

 ここで無放射能化と言ってもまだ未完技術であるし、信頼性も不明である。その研究を進めるにしても、放射性被爆をする危険性がある。設備のないところで、核物理・核医学・放射線遮蔽などの専門知識や資格もない人が行ってはならない。

 開発方向としては、放射性物質を発生しないエネルギー源の方向に向けるべきである。火力発電が無難と思うかもしれないが、それは方向が違う。火力発電は、フィルター性能が良くなったとはいえ、まだ、CO2を排出するばかりか、大気汚染物質と放射能すら排出することが知られている。従って火力発電の方向に向かうべきでもない。

 現在自然エネルギーと言われているソーラー発電などはエネルギー密度が低いばかりか、コストが高く、さまざまな困難が伴う。そこで、エネルギー密度が非常に高く、やり方を限定すれば、放射能非排出と推定されている、空間をエネルギー源とするイーサ技術の方向に向かうべきであろう。

 もし、今すぐ原子炉を全て廃炉にしたと仮定しても、膨大な量の放射性廃棄物が残る。その処理をどうするか大きな課題である。

1. 元素転換、核廃棄物の無放射能化の分野における通常の流れ



 放射能を持つ元素(放射性同位体)の原子核は時間経過に伴い確率的に放射性崩壊をして他の元素に変化していくことはよく知られている。はじめの原子数の半分が放射性崩壊するまでの時間は、その放射性同位体の半減期 と呼ばれている。 

 放射性同位体の放射性崩壊は自然に発生するもので、放射性同位体ごとに定まる確率(崩壊定数)のみによって左右されるものであって、崩壊までの期間はその物質の置かれている古典物理学的・化学的環境(熱・電磁場・化学反応など)には一切依存しないとされている[1]。

 半減期を短くする研究が行われたが古典物理学的な手法によるものはことごとく失敗した[1]。しかし最近、極端な状態においてようやく1%程度というものであるが、高圧、電磁場あるいは化学構造などによって、半減期が変化する(核変換が発生する)ということが明らかとなっている[2]。通常は、人工的に原子核の崩壊を起こすには加速器や原子炉を用いた核反応によらなくてはならない。

 オメガ計画(日本)では、放射性廃棄物を原子炉を用いて核種変換して消滅する方法が考えられている。この計画を文献[2]からの引用で示すと以下のとおりである。

「再処理で出てきた高レベル放射性廃棄物 (HLW) を更に群分離して、超長半減期の MA(アメリシウムなど)と長半減期核分裂生成物 LLFP(ヨウ素など)を、高速炉や加速器駆動未臨界炉で中性子照射して核分裂させ、すべて短半減期の同位体に核種変換(消滅処理)する。

 さらに群分離により、高発熱量核分裂生成物(ストロンチウム・セシウム)を分離して熱利用・放射線利用に振り向け、有用高価な白金族やレアメタルを回収する。残った残渣の「低発熱・短半減期核分裂生成物」だけをガラス固化して 100-500年保管し、天然ウラン並みに放射線が低下した時点で再利用または廃棄する。

 工程は複雑になるが、数万年も監視する必要はなくなり、100-500年の監視で天然ウラン並みに放射線が低下して廃棄/資源利用が可能になる。FP から熱を蒸気発生用に回収でき、低温になったガラス固化体は稠密に保管でき貯蔵スペースを大幅に節減できるとして日本でオメガ計画として技術開発が進められている。」



 上記は、一応、従来の科学の主流的な考えである。しかし原子炉を使うという大変な作業である。はたして安全性とコスト面で実現できるのかどうか。もちろんクリアできれば問題はないのかも知れない。

文献

[1]Wikipedia: 半減期,
[2]Wikipedia: 放射性廃棄物





2. 日本における最近の新しい研究



 最近、三菱重工業が原子炉や大がかりな加速器を使わずに、重水素を使い、少ないエネルギーで元素の種類を変える元素変換の基盤技術を確立したといわれている(2014年4月)。以下はその文献[1]の抜粋である。

 厚さが数10nmの金属のパラジウムと酸化カルシウムの薄膜を交互に積層した多層膜に、変換したい金属を付ける。この膜に重水素を透過させると百数十時間で、元素番号がそれぞれ2から4、6多い元素に変わったという。

 
Fig.1 クリーンルームで元素変換の実験に取り
組んでいる(三菱重工の先進技術研究センター)[1]
Fig.2 三菱重工が考える元素変換[1]


 セシウムはプラセオジウムに、ストロンチウムはモリブデン、カルシウムはチタン、タングステンは白金に変わることを確認した。元素変換を示唆するガンマ線も微量ながら検出している。同社はセシウムの場合、パラジウム多層膜の内部で4個の重水素が1個のセシウムの原子核に十分近づき、陽子4個と中性子4個が加わりプラセオジウムになったとの仮説を立てている。

 ただ、詳しいメカニズムや理論は分かっていない。これは1989年に提唱された常温核融合と同じ考え方である。常温で核融合が起こり、過剰熱が発生するという現象を再現しようと世界中で再現実験が研究されたが、あまりうまくはいっていない。

 三菱重工業では「現在、決定的な解決策がない放射性廃棄物の無害化は価値が最も高い。当社は原発メーカーでもある。10年後には実用化したい」という。

 
Fig.3 三菱重工が開発した金属の薄膜[1]


文献

[1]、 日本経済新聞2014.4.8






3. 元素転換プロセスおよび核廃棄物の放射能汚染への応用―ミクロフスキー





3.1 はじめに(前章のまとめ)

 ミクロフスキーの論文は、上記の章で述べたことのうちで、元素転換と放射能無力化に関連するところに強く関係しているので、まずは、その点のまとめをしておく(一部を抜粋して示す)。


(1)バーノン・ロスによるジョー・セルの変更型がイーサエナジーを抽出し水をチャージする

 バーノン・ロスがジョー・セルの変形型電気分解装置を研究していたとき、「装置が作動しているときは、何かの原子核粒子から人々を防護するためにその機械をシールドする必要があると分かった。3年間のうちの初めの2年間は、発明家は、“このマシーンは私を殺す。しかし、この水は私が生きるのを助けてくれる”といっていた。」


(2)バーノン・ロスによる元素複製―錬金術の装置

 「彼は、或るセル(複数)の中で、水素/酸素を生成するプロセスにおいて、水の中の元素(複数)が複製されることを、見出した(10−13回)--錬金術である、と主張して聴衆を驚かせるという最後の楽しみを与えた。元素複製マシーンである。例えば、金、銀、および幾つかのかなり複雑な元素でさえ、複製された。」


(3)ブラウンズガスによる切断・溶接および元素転換・無放射能化

 カナダ環境アセスメント局(CEAA)およびカナダ原子力エネルギー組織は、放射性廃棄物の無放射能化するのにブラウンズガスを使うことをまじめに考えている。テストは、放射性物質をある一定期間HHOガスに曝すと99%の危険放射能を除去できることを示した。ブラウンが、初めにこのことを発見した。

(4) カナレフ論文:水のプラズマ電気分解による低温核融合

 この論文は、北海道大学のミズノタダヒコ氏との共著である。アルカリ金属の原子核と陰極材料の原子核の変換が水のプラズマ電気分解のあいだに起こることが発見された。



3.2 ミクロフスキーの論文

 これは、Proceedings of the Second International Low Energy Nuclear Reactions Conference, Texas A&M University - September 13-14, 1996に発表されたミクロウウキーの論文[1]であり、教育目的のみにコピーしてよいとしているので、他の用途(営利など)に使うことは差し控えられたい。本稿は教育目的限定であることに留意されたい。以下は彼の論文の部分的抜粋・概訳である。


元素転換プロセスおよび核廃棄物の放射能汚染への応用



A. ミクロフスキー
(クリーンエナジー惑星協会 会長)


 (概要)文献に報告されている放射性原子核の崩壊の標準的なモデルからは逸脱しているいくつかのモデルが存在する。これは、化学的状態と物理環境および植物の生育プロセスに関係した自然の低エネルギー元素転換の永続的な効果を含んでいる。

 ノーベル賞受賞者のO. Costa de Beauregardは、自然に観測される元素転換を説明するのに中性流の理論を提案している。それは、ケルブラン反応(Kervran reaction)としても知られている(訳註:日本ではKervranはケルブランといわれる)。“低温核融合”の研究者達も、陰極に新しい元素が生成されるという異常現象を報告している。

 この知識の母体は、ユル・ブラウンにより開発された核廃棄物の元素転換プロセスに対する理論的根拠を与えている。それは成功したことが観測されていて進んだ方法であって、100psi(1平方インチあたりのポンド数)まで圧縮した水素イオンと酸素イオンの化学量論的混合ガスを使っている。

 他の方法、まだ実験段階であるが、非ヘルツ波の電磁場と標的の放射性元素の環境的な相互作用を含んだものである。どちらの方法も標的の放射性元素の放射能は、急速に、そして安価に、97%減少した。




 自然放射能の発見以来、放射能のプロセスは、単純な崩壊率の公式にきちんと従っていて、化学的状態や圧力・温度のような物理的パラメータのような特別な核現象からは完全に独立したものであることが一般的に信じられている。

 しっかりした科学文献には、さまざまな化学的・物理的条件下に崩壊定数が少しだけ(0.1-5%)変化することが報告されている[7, 8, 10, 12, 13, 23, 28]。

 半減期に対する標準的な定義は、はじめの原子数の半分が放射性崩壊するまでの時間である。測定された半減期は、ウラニウムの場合、百万秒より小さい値から、大きいところでは10億年まである。崩壊には4種類がある。そのうち3種類はギリシャ語のアルファベットであるアルファ、ベータおよびガンマと名づけられ、4番目は最近発見されたプロトン崩壊である。


 最近の崩壊モデル

 復習であるが、原子のボーア・ラザフォードモデルでは、核は重粒子、あるいはハドロン、あるいは陽子および中性子から構成され、電子雲(あるいは軽い粒子あるいはレプトン)により取り囲まれている。ここで、電子の数は、原子番号(中性の原子に対する)と原子価状態(イオン化した原子に対する)に依存している。

 アルファ粒子は、二つのプロトンと二つの中性子からなるヘリウムの原子核4He2 である。ベータ粒子は、電子(負電荷)および陽電子(ポジトロン。正電荷)および電磁波帯の短い波長のなかにあるガンマ線である。プロトンはハドロンである。(中略)


 自然の元素転換

 自然現象として低エネルギーで元素転換が起こることが、何世紀にも渡って観測されてきた。1799年にフランスの化学者Nicolas Louis Vauquelinは、めんどり(にわとり)が食べ物として摂った石灰(CaCO3)の500%も多くの石灰を排泄すると述べたが、これはカルシウム炭酸塩(CaCO3)の生成―元素転換を示唆している。

 
Louis Kervran 1901-1983 [2]


 多くの学術論文は、同様な現象を沢山報告しているが、それは、植物の生育過程に起こる現象であり、不思議なことに新らたな元素やミネラルが現われるのである。ノーベル賞候補にノミネイトされたルイス・ケルブラン教授は、これらの数多くの発見を再現し、自然に起こる放射能無力化の究明をずっと先へと発展させた。

 (訳註:ケルブランの著作は、Louis Kervran: Biological Transmutations を参考。あるいは、販売書籍 もある。邦文のものとしては生物学的元素転換 がある。また、再現実験に成功しなかったという報告 もある。)

 その研究過程で、理論物理ヘンリポアンカレ研究所の物理学者Olivier Costa de Beauregardの堅い物理的サポートを得、ケルブラン反応という専門用語が使われた。

 彼は、1974年に、物理法則の保存を考慮した弱い中性流理論で、彼の観測した元素転換を説明できると述べた[9, 14, 15, 16] 。中性流理論は、その著者達Sheldon Glashow, Abdus Salam and Steven Weinbergに物理学のノーベル賞(1979)をもたらした。De Beauregard は、生物学的元素転換に対して下記の式を提案している。

 
Fig.1 生物学的元素転換の反応式[1]


 これらの式は、中性子(n)から陽子(p)への事実上の変換プロセス―Weinbergの中性流による変換を意味している。これらの過程で、異なったエネルギーレベルの陽子(pおよびp')が発生する。ここで、エネルギーレベルの異なる二個のニュートリノは反ニュートリノとe-電子を意味している。ひとつの状態で、陽子は原子核に束縛されているだろうし、また他の状態では化学結合が比較的フリーであるであろう。


 試験管内における元素転換

 物理学者アンドリア・プハーリッチ博士は、カナダの科学者 ガストン・メッセンズにより開発されたハイパワー暗視野顕微鏡を用いて、試験管内におけるケルブラン反応を観測し写真に収めることができた。

 彼は、ケルブラン反応について文書にして報告しているが、14Nあるいは19Fを生み出すpあるいはnの実質的核反応をもたらす酸素原子が扱われている。これはユル・ブラウン教授と類似の電気分解プロセスを用いている。このことは、プハーリッチが米国パテントNo.4,394,230「水分子を分裂する方法および装置」に公開している [20, 21]。

 元素転換消化という現象も存在する。英国研究機関カーシャルトン研究所のマゴスとクラークソンは、ラットが摂取した放射性同位元素203Hgの崩壊を記している。これは、究極的にはクレブシーラ・アエロジーンズのようなバクテリアが原因となる揮発現象であった [17]。


 低温核融合の幾つかの例

 1995年7月19日、テキサス A&M 大学が、低エネルギー元素転換会議を主催した。スポンサーは“電気化学の父”ジョン O'M ボクリス教授(博士)であった。発表された論文のなかに、陰極における新しい元素の生成という異常現象が報告されていたが、明らかに汚染によるものではなく低温核融合実験において起こったものであった。

 例えば、北海道大学のT. Ohmori および Reiko Notoya両博士は、金およびパラジウム陰極の中に鉄が生成され、カリウムがカルシウムに変化し、Cs133は質量134の元素になり、Na23はNa24になったことを報告している。

 ポートランド州立大学のジョン・ダッシュ博士は、軽水および重水、どちらの電解槽でもパラジウム電極のなかから、銀、カドミウム、および金の小さな部分が突き出たことを報告している。カリフォルニア州ポモナのカリフォルニア・ポリテクニクのブッシュは、ニッケル陰極の表面にストロンチウムが生成されたことを報告している{18]。


 低温元素転換

 これも関連する重要なことだが、ウクライナ国際アカデミーのジョージイ S ラプジ博士による独創的アイデアによる長期の研究であって、彼は、低温元素転換のメカニズムの解析結果を報告している。1954年からなされた研究である。

 彼は、出席者にサンプルを回したが、それは銅色に変っってしまったスチールのナットであり、大きさが小さくなり、磁性スチールが非磁性になっていた。アスベストはセラミックス状に変化した。彼の実験のどの場合も放射能は検出されなかった。彼は放射性廃棄物は安定化できると信じている{18]。

 こうした現象は、科学的研究のいろんな領域で起こっているが、非常に小さなパワーと信号で、時によっては何もなく(すなわち自然に)起こるという低いレベルの先進的元素転換の堅固なケースとなっている。


 先進的な元素転換:核廃棄物の処理

 先進的な元素転換により得られた実験結果は、核廃棄物処理の問題解決を担う力をもっている。核廃棄物処理に関する第1のものはブラウンズガスとして知られている水素イオンと酸素イオンを使う方法である。ブラウンズガスは、ブルガリア生まれのオーストラリア国民、ユル・ブラウン教授、によって開発された。

 ブラウン教授のプロセスでは、水は、その二つの成分に分けられるが、これらはある圧力の下に混合され、比率が2:1において同時に安全に燃焼される水素と酸素である。特許では、100 psiまで加圧されていて、経済的で安全に作られ、必要とされる比率の水素と酸素イオンのガスとなっている[2, 5, 6]。

 ブラウンズガスは多くの商業的・工業的応用面を有し、さしづめ、技術的な面における“大建造物の基石”となるものである。

 
Bautou市(Google map)


 現在、ブラウンズガス発生器は、中国の大研究都市であるBautou市の巨大企業、ノリンコ社において大量生産されている。

(訳註:Bautouは、地図で見るとモンゴル寄りにある都市。左図参照)

(中略)

 1991年8月24日、Bautouの核研究施設#202がひとつの報告を出した。放射性物質をブラウンズガス炎に暴露する実験であり、コバルト60の放射線源の放射能が半減した(半減期が半分になった)という実験結果であった[4]。



 ときによっては、放射能はもっと大きく減少した。下表に示したように、たった数分間続くブラウンズガス炎に1回の暴露で、放射能をもっと減らせるかどうかに関してはさらに研究を要する。



 
第1回実験
第2回実験
初めの放射線強度
580 millirads/hour
115 - 120 millirads/hour
ブラウンズガスに暴露後の放射線強度
220 - 240 millirads/hour
42 millirads/hour
表2 ブラウンズガスに10分より少ない時間暴露したときのコバルト60の放射能の減少。中国のBautouの核研究施設#202にて行われた実験(1991)


 ユル・ブラウンにより行われた他のテストでは、米国国会議員ホン・バークリー・ビデル(この分野に関係した 委員会の責任者)を含む公衆の面前でなされたが、新聞報道によれば、下記のとおりである。

 放射性のアメリシウムの一片を用いて、ブラウンは、スチールとアルミニウムの小さなかたまりとともに煉瓦の上で一緒に溶かした。火炎に数分曝した後、溶解した金属は瞬間的閃光を発したが、これはブラウンがいうのには放射性が壊れる反応だという。

 他の金属と加熱し混合する前は、アメリシウム(プルトニウムの同位元素の崩壊で作られる)は、ガイガーカウンターで測定してみると、16,000キュリー/minの放射能であったが、暴露後には。100キュリー/minより小さくなっていた。これはブラウンが研究していた研究所のバックグラウンド・レベルにほぼ同じであった[4]。

 この実験結果は、5分より短い時間の処理で、放射能が99%減少したことを示している。放射能無力化プロセスを、約50%レベルから殆ど100%レベルまで向上させたのであるが、こうした改良は、ブラウンと彼の同僚により数10年に渡る粘り強い研究により実現したものである。

 そのような効果を有するブラウンズガス発生器は、小さな電力しか必要としていないし、燃料として数リットル/hourの少量の水しか必要としてしない。その上、発生器は高価ではなく、運転に必要な訓練は、ごくわずかなものである。世界中の原子力発電所における原子炉運転表に記載されているプロセスでは数百万プロセスに上るのに対し、彼の装置の訓練プロセスは、比較にならないほどきわめて少ないのである。

(中略)

 1992年6月22日、中国のBautouの核研究施設#202の報告がでてから約1年後のこと、ユル・ブラウン教授はホン・バークリー・ビデルの要請で、米国エネルギー局のサンフランシスコ・フィールド・オフィスの5人のひとたちのチームに特別なデモンストレイションを行った。

 コバルト60を処理したが、ガイガーカウンターの測定値は1,000カウントから40カウントまで低下した。これは放射性廃棄物の放射レベルは初めの約0.04倍に低下することを示している。

 処理過程で、放射能が周りの環境に拡散したのではないかという不安があったので、役人は健康サービス・カリフォルニア局に敷地内の検査を要請した。しかし、検査員はこのデモンストレイションによる空気汚染は、何も見出せなかった。さらに繰り返した実験でも同様であった[11]。(中略)

 他のデモンストレイションでは、もっと複雑なプロトコルと放射能計測装置を用いて、日本の核専門家(東芝と三井の科学者も含まれていた)の前で行われたが、24,000 mR/hrのコバルト60が一回の処理で24,000 mR/hrに減少した。

 日本の科学者は、とても興奮し、即座に発生器を購入して、日本へ空輸した(訳註:装置はとても重い)。のちに、彼らは、実験結果の報告を親書としてブラウン教授に送った。そのすぐあとに、中国から直接にブラウンガス発生器を追加購入しようとしていた。

 ブラウン教授は、27年間にわたる水、その原子構造、および酸素と水素に分解する実験の研究を行った結果、三つの水素同位元素 (1H - プロチウム, 1H2 - デューテリウム, 1H3 - トリチウム)の混合に依存するいろんな水(複数)の原子構造の多くの変形があることに気づいた。ここで三つの水素同位元素は水素と6個の酸素同位元素 (8O14, 8O15,8O16, 8O17, 8O18, および8O19) に結びついている。―あるいは実用上は、36種類の水―18個は安定で、18個は短寿命である。

(中略)

 (訳註:電気化学の主流で知られている水の電気分解装置では、ブラウンズガスは得られない。ブラウンはそのノウハウを、私の知る限り、公表していない。)


非ヘルツ波エネルギーとの相互作用

 1960年代に、カナダにおけるラジオとテレビ放送の技術面を進歩させる業務の主担当であったカナダの技術者、ウイルバート・ブロックハウス・スミスは、カデューシアス・コイル(Caduceus coil: 日本ではカドケウス・コイルと表記される)の実験を始めたが、この逆巻きのシステムは異常な現象を惹き起こすことを見出し、他の実験者にこの研究の新領域に取り組むことを提案した。

 このコイルは、現在“スミスコイル”と呼ばれ、馴染みのものとなった。彼は、このコイルは、煎じ詰めて言うと、“スカラ”場(非ヘルツ現象)を生成すると確信していた。

 現在は、同じような非ヘルツ現象は、メビウスコイルバイファイラーコイルでも得られると思われる。これらは、そのユニークな構造により交流が互いに対向している。この構造により、全ての電磁波エネルギーは、結果としてニュートンの第3法則にしたがって、合計ゼロとなる。それによって、ゼロ点エネルギーを3次元の中に、じかに循環させるのである[26]。

 エリザベス A. ラウシャー教授(核物理。カリフォルニア大学のローレンス・バークリー研究所)、ウイリアム・バン・バイズおよびスタンフォード大学のウイリアム・A・ティラー名誉教授の協力を得て行ったグレン・ライン博士とT.A.ギャグノンの最近の研究には、カデューシアス・コイルの変形タイプが含まれていた[24, 26]。

 8.2Ωのコイルは、たった3mA・ 5Wのアンプ/ミキサーで電力を加えても電磁場は発生しなかったのに、この装置からのフィールドは、環境の同位元素に関係した環境放射能を0.5 mR/h から 0.0015 mR/hrまで、減少させることができた(すなわち 97%減少)。

 これと対照的に、コバルト60の放射能は、非ヘルツ波エネルギーに反応して、150から250 mR/hまで上昇した。このように、同じ非ヘルツ波エネルギー場が異なる同位元素に対して反対の効果をもたらした[26]。

 このタイプの実験は、信号波形の混合に高度に依存すると思われ、カリフォルニアのダイナミック・エンジニアリング・オブ・サクラメントにより開発された特殊な繰り返し率を含む矩形波の重畳を含んでいるのであるが、研究開発により個々の同位元素の転換に対し特別な非ヘルツ波を微調整することが可能である。

 先進的な元素転換に向けた非ヘルツ波の研究は、核物理学者トム・E・ベアドンにより仮説が立てられているが、これは放射性同位元素の質量から電磁波エネルギーを直接抽出することに関する方法の“フイッテカー・スカラー干渉”を使っている[3]。(以下略)





文献:
[1]http://pacenet.homestead.com/transmutation.html
[2]http://www.21stcenturysciencetech.com/Articles_2012/Spring-Summer_2012/06_Nuclear_Biology.pdf#search='Are+Nuclear+Processes+in+biology+unique'


文献
[1-30]: (=上記ミクロフスキーの論文[1]の中で引用されている文献)





4. 生物内元素転換からのエネルギー開発





 これはソロモン・ゴールドファイン(米軍移動装備研究開発司令部)の論文[1]の部分的抜粋・概訳である。先に、述べたように、私がこれを逐一検証したわけではない。ヒントの素材として活用できるかもしれないので紹介するのである。

 私としては、この論文には一寸不満足であるが、今から約40年前当時の科学の段階では、これしか仕方なかったと思われる(新しい論文は後半に示す)。遠い未来においては、生物内原子転換の反応にヒントをえて、画期的な発電装置がうまれるかもしれない。相当先のことであろう。

 なお、生物内元素転換に否定的な文献[2]もあるが、“この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。”という指摘を受けている。


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概要
 本研究の目的は、最近、生物体のなかで元素転換が起こることが発見されたが、これが新しいエネルギー源とし可能性があるかどうか調べることである。ケルブラン、小牧、その他の研究業績を調べたところ、そのような元素転換(Na → Mg, K → Ca, および Mn → Fe)が起こるとすれば、余剰エネルギーも発生する。

 筆者は、そのメカニズムを提案したが、これはミトコンドリアの中にあるMgATP(マグネシウム-アデノシン-三燐酸塩)が、エネルギー発生器として二重の役目をもっている。MgATPが部分部分に分解するときエネルギーを発生するという従来より認められている生物学的役割に加えて、MgATPは、分子的スケールにおけるサイクロトロンであるとも考えられる。

 MgATPは、幾つかの層の一番上に置かれたときは、ローレンス(サイクロトロンの発明者)が提案した要件に全て一致するサイクロトロンの性質をもっている。

 元素転換は生命体の中で実際に起こっていて、おそらく余剰エネルギーの産出を伴うという結論に達した。


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 本報告に述べた研究は、プロジェクトMTL-01901, PMMR-26として、米軍移動装備研究開発・材料工学研究所により認可され研究資金を得て行ったものである。ソロモン・ゴールドファインは、本研究の主担当者であり、研究は材料工学研究所、エミル J. ヨークの指示によってなされた。

 ロバート・C・マクミラン(放射線研究グループの主任)からは、物理学と核物理に関係する事柄に関して指導を受けた。

 序論

(1)研究目的

 本研究の目的は、生物体内で元素転換が起こっているという最近の発見が新しいエネルギーの可能性を有するかどうか調査することである。

(2)背景

 二人の研究者、ケルブランと小牧(1,2)は最近、生命体の器官のなかで元素転換が起こっているという実験的証明を含む業績によりノーベル賞にノミネートされた。転換されることが明白に証明された元素は、ナトリウム(→マグネシウム)、カリウム(→カルシウム)およびマンガン(→鉄)であった。

 実は、元素転換が起こっているという観察は、約200年前からあった。しかし、無駄な遺物である錬金術に似ているということで、信用されなかった。(中略)

 フランスの化学者、Vauquelinは1799年に、大量の石灰がめんどりの排泄物の中にあることを観察していた。彼は、どこから石灰がやってくるのか調べるために、めんどりを閉じ込めてオート麦以外は与えなかった。

 彼は、オート麦に含まれる石灰量を測定してから、めんどりに与えた。そして、めんどりの排泄物と卵のなかの石灰量を測定した。石灰は5倍に増加していた。彼は、石灰が生成されることを実感したが、理由は分からなかった。

 1822年、英国の実験者プラウトが、卵の孵化の研究により元素転換を明確にした。彼は、卵のなかにカルシウム炭酸塩が増加することを見つけた。そしてこの化合物は卵殻から来たものではないことをはっきりさせた。

 1831年に、チョウバードは、オランダガラシ(クレソンともいう)の種を生育させる実験で研究したが、種の中には、はじめから存在していなかった新しい鉱物が若葉のなかに存在することを見つけた。

 1844年に、フォーゲルもオランダガラシの種を生育させる実験で研究したが、空気をコントロールした環境で行い、種にはイオウを含まない溶液を与えた。この種から生育した植物には、はじめ種に含まれていたイオウ以上のイオウが含まれていた。フォーゲルの結論は、イオウは単純な元素ではないか、あるいはイオウはどこか不明の源からやって来ている、というものであった。

 フォーゲルの後、ラウイスとギルバートが生育過程における灰の質量変化を観察したが、とくに、マグネシウムの変化を発見している。

 1875年に、フォン・ハーツィールも植物の生育を研究し、若い植物の灰の中に重量増加があることを発見した。その後、彼は、フォーゲル、ラウイスおよびギルバートの研究にしたがって、マグネシウムの重量変化を考察した。彼は、元素転換が起こっているという結論に達した。

 1960年に、フランスのバランジャーが、種の発芽においてカルシウムと燐の変化についての論文を出版した。彼は、元素転換は起こっていると結論付けた。しかし、理由は解明できなかった。

 1960年代初期に、ルイス・ケルブランの元素転換に関する発見が、フランス・サイエンティヒック・レビューによって出版された。ケルブランは、分子のみならず原子も転換され得ることを示した。そして、原子から原子への転換を証明した(4)。

 小牧は、カリウムが欠けている培養液のなかで成長した微生物の八株が、CaをKに転換することによりKの合計含有量を増加させることを報告している。---分裂反応である。ケルブランの理論的基盤はボーレガードにより考察されている(5)。

 パリのエコール・ポリテクニクで研究していたバランジャー(有機研究所の所長でもあった)は、元素転換は、事実起こると結論付けた。しかし、それ以来、錬金術研究者の誰も、生物学的元素転換のようなありそうもない出来事のメカニズムの理論を提案することはできなかった。

 まとめると、微生物、植物、動物のなかで起こる元素転換の発見がなされた。そのなかには核分裂もあれば核融合もある。

II. 研究

(3) 計画

 エネルギー開発の可能性の糸口を探すために、元素転換の過程で正味の重量損失があるかどうかを調べるための計算を行った。これに続いて、この現象が起こる最もありそうな場所の吟味と、核反応が起こったと同じ元素がそこに存在するかという吟味を行った。さらに、現在の科学で認められている核理論に一致するような核変換を引き起こすメカニズムが存在するか調査した。

(a)正味の重量変化

 研究は、核融合反応に絞った。したがって、原子番号の差はたった一つになるであろう。これらは、下記のようにNa, K, および Mnである。

ナトリウムからマグネシウムへの変換: Na + H+ ≫ Mg

カリウムからカルシウムへの変換: K + H ≫ Ca

マンガンから鉄への変換: Mn + H ≫ Fe



 原子番号の差は

23/11 Na   +   1/1 H+   ≫   24/12 Mg

22.989 7707    1.007 825 19     23.997 595 39
                        23.989 770 7  真の原子量
                        0.007 825 19  質量欠損


39/19 K    +   1/1 H+   ≫   40/20 Ca

38.963 710 1   1.007 825 19     39.971 535 29
                        39.962 558 9  真の原子量
                        0.008 976 39  質量欠損

55/25 Mn   +   1/1 H+   ≫   56/26 Fe

54.938 050 30   1.007 825 19     55.945 875 49
                        55.934 936 3  真の原子量
                        0.010 939 19  質量欠損

この転換により得られるエネルギーは、1AMUが931MeVとして計算すると、

Na ≫ Mg 0.077 825 19 (931) (7.29 MeV)

K ≫ Ca 0.008 976 39 (931) (+8.35 MeV)

Mn ≫ Fe 0.010 030 10 (931) (+10.18 MeV)

となる。


(b)核反応に要するエネルギー

 このような反応に必要なエネルギーについての文献情報は見つからない。したがって、正味のエネルギーの利得があるのかどうかの文献情報もみつからない。しかしながら、1932年に戻ってみると、当時、5-7MeVのエネルギーを持つアルファ粒子が放射性同位元素から放出されたとき、原子の分裂が起こり得ることが知られていた。

 コッククロフトとウォルトンは、内部を真空にできる垂直な高い管を作った。管の頂点には電子を発生するためのフィラメントがついていた。発生した電子は、管の底部にある標的の元素をたたくようになっていた。低圧の水素が導入され、これにフィラメントで作られた電子を衝突させてイオン化させた。

 (訳註:彼らが発明した装置は、現在コッククロフト・ウォルトン型加速器と呼ばれている。ダイオードとコンデンサーを用いた倍電圧整流回路を用いて高電圧を得る方式である。加速エネルギーは数百keV - 数MeV程度。加速器はFig.1参照。コッククロフトとウォルトンはFigs.2&3参照)

 
Fig.1 コッククロフト・ウォ
ルトン型加速器[3]
Fig.2 コッククロフト(Wikipedia)
Fig.3 ウォルトン(Wikipedia)





 管の頂点部分は、700kVまでの高い正電圧に上げることができた。底部はアースにつないだ。プロトンは、管の底部に達すると、管の頂点における電圧のエレクトロンボルトに等しいエネルギーを得た。標的はリチウムであり、45°の角度でプロトンをぶつけた。たった120kVで幾つかのリチウム原子は、互いに反対方向に走るヘリウムの原子核のペアに分裂した(6)。

 その反応は、

H + Li ≫ He


である。他に関係する反応は、

Fe + H ≫ O + He


である。



(c)エネルギー発生の可能性のある位置

 ミトコンドリア(円筒形の細胞器官)は、単細胞バクテリアや、植物、動物でも全ての生命器官においてエネルギーを生み出す主な場所であるとして広く認められている(7)。7000個ものミトコンドリアを有する細胞もある(Fig.4)。ミトコンドリアは、いろんな反応を起こす成分に分かれている(Fig.5)(11)。

 
Fig.4 幾つかのミトコンドリアを有する典型的な細胞[1]

 
Fig.5 ミトコンドリアの細胞膜[1]




(d)関係する化学物質

 アデノシン三リン酸(ATP)は、このミトコンドリアにおけるエネルギー生産に最も関係している分子として認められている(Fig.6)。Mg++と結びつくと、周期的ATPを形成して、エネルギーを発生する反応のシリーズを通して進んでいく(Fig.7)。

 
Fig.6 ATPの化学的構造[1]

 
Fig.7 Mgイオンでキレート化合物となった
ATPの化学的構造[1]



(e)エネルギーの生産

 Mg+は、これらの反応に対する触媒だと考えられる。ひとつのリン酸塩は、次から次へと割れ、その結果、キレートはADPになり、次いでAMPになる。リン酸塩のグループは、加水分解するが、各加水分解の反応エネルギーは7,500カロリーである。

 そして、D-リボースは、分割し、さらにエネルギーを発生する長いグリコールの分解サイクルを通して進んでいく。キレート化合の周期的MgATPは、かくして、完全にばらばらになり、化学反応のシリーズを通して再び作られる。分解と再構成のサイクルについては、まだ完全には解明されていない。


(f)ミトコンドリア中に存在するイオン

 Na, Mg, K, Ca, Mn,および Feイオンがミトコンドリア中に存在することが分かっている。これらは、以前ケルブランによる核転換で見つかったものと同じである。これらに加えて、他の二つ、CuおよびZnも、プロトンの数がひとつだけ異なった形(原子数29および30)で見つかっている(9)。

 H+ および OH-イオンが生産され、それぞれ隔離されて維持される(10)。CuとZnへの転換にも、質量欠損が伴う。したがってエネルギーが生産される。

6329Cu    +    11 H+    ≫   6430Zn
62.929 592    1.007 825    63.937 417
                     63.929 145  真の原子量
                     0.008 272   質量欠損

6529Cu    +    11 H+    ≫   6630Zn
64.927 786    1.007 825    65.935 611
                     65.926 052  真の原子量
                     0.009 559   質量欠損



(g)電流

 ミトコンドリア中で起こる多くの反応の結果は、結局、電子の流れである(11)。この流れは結晶MgATPの中で振動する。ガーニーは、完全な結晶の内部から負イオンを取り除くと、正の電荷が結び付く空席の格子点が残ることを発見している。もし、この空席格子点に伝導帯の自由電子が近づくと、電子は正電荷から吸引される。

(中略)

IV. 結論

(6)結論:
 生命器官の中で起こっている元素転換は質量欠損を伴っている。これは熱エネルギーへの変換を表している。そして、おそらく、そのようなエネルギーが、元素転換の効果に必要な量に比べて、正味の利得である。



文献

[1]Energy Development From Elemental Transmutations In Biological Systems by Solomon Goldfein; U.S. Army Mobility Equipment Research & Development Command, Ft. Belvoir, VA Report 2247 (May 1978)
[2]ウィキペディア:生物学的元素転換(Biological Transmutations)
[3]KEK(高エネルギー加速器研究機構)加速器の原理と種類


(1) Kervran, C.L.: Prev. en Biologie de Transmutation a Faible Energy; Maloin, Paris (1975).
(2) Komaki, H.: Rev. de Pathologie Comparee 67: 213 (1967); 69: 29 (1969)
(3) Jueneman, F.B.: Industrial Research 19 (13): 11 (Dec. 1977), "The Transmutation of Species".
(4) ibid.
(5) de Beauregard, O. Costa: Proc. 3rd Intl Cong. Psych. (Tokyo), p. 158 (June 1967)
(6) Cockcroft, J. & Lewis, B.: Proc. Roy. Soc. A, 136: 619; ibid., 137: 229 (1932); ibid., 154: 246, 26 (1936)
(7) Mahler, Henry R. & Condes, Eugene: Biological Chemistry VI, 601, 609, 618 (1966);
(8) ibid.
(9) ibid.;
(10) ibid., p. 609, note 1
(11) Hinkle, Peter C. & McCarty, Richard: Scientific American 104 (March 1978), "How Cells Make ATP".
(12) Gurney, R.W.: Handbook of Physics, ed. Condon & Odishaw, 2nd edition, section 12 (1967), "Ionic Crystals"
(13) ibid.









5. 生物学における核変換過程はユニークなのか?
          ―アーネスト・シャピロ




 これは、比較的新しい論文である[1]。以下、抜粋・概訳により紹介する。

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 1960年にフランスでルーイス・カーブラン(ケルブラン)が、彼の研究内容を出版して以来、生体器官の中で通常の温度で核反応が起こるのかどうかについて、真剣に議論がなされてきた。ケルブランは、多くの例を示して主張している。

 
Louis Kervran 1901-1983 [1]


 これらの場合、どれも放射能や注目すべき温度上昇が存在しない。しかも、提案されている核反応で生成された元素は常に安定であった。1982年に出版された彼の最後の本には、数週間人工光の下でオートムギを生育させる厳密な実験について記述しているが、カルシウムの大幅な増加を得ているし、それには再現性があった1

 日本におけるケルブランの支持者、小牧久時は、真菌(訳註: 辞書によれば、真菌は、一般にはカビ・酵母菌・キノコを言うが,植物分類学では細菌・ウドンコカビ・さび病菌なども含むという)の生育において、大量のカリウムが形成されると報告しているが、カリウムは、ナトリウムと酸素原子核が結びついたものと結論している2

 ケルブランの弱点は、自分自身の実験室をもっていなかったことである。政府高官の力で、政府が管理するある施設を使用する機会が与えられたが、長期間ではなく、また協力者もいなかった。最近になって、ウクライナの物理学教授、ウラジミール・ウィソトコフスキーにより、この分野で大きな進展がなされた。

 ウィソトコフスキーには、微生物学者と一緒に研究するという有利な点があった。それに彼は、核物理と量子論の分野で業績をもつ専門家であった。彼は、独創的な実験方法でバクテリア中の元素転換を示すことが出来た。この方法では、適切な対照群とともに、分光的および分光強度的な方法により、希少でしかないアイソトープを調べることが出来た3

 ウィソトコフスキーが行ったそのような第一の研究は、Fe-57の生成を示すことであった。Fe-57は、希少であるが、鉄の安定な同位元素であり、通常、自然界では鉄の中にたった2.2%しか存在しない元素である。彼は、H2Oの代わりにD2O(重水)を含む培養液の中で培養することが出来るバクテリアを使用し、その中にマンガンのなかでは唯一の安定同位元素であるマンガン塩(原子量55)を加えた。

 数日間培養したあとに、メスバウアー・スペクトロスコピー上に、Fe-57のガンマ線の吸収バンドが有意に発生した。対照群としては、ウィソトコフスキーは、Fe-57を添加した培養液を用いた。これは、元素転換培養で起こったと同じ吸収バンドがスペクトル上に見られた。

 彼は、また、この結果を質量分析器にかけて確認したが、対照群と培養群のFe-57の量は、殆ど同じであるとわかった4

 

メスバウアー分光法





 これらのグラフは、ウィソトコフスキーのバクテリア培養におけるFe-57によるガンマ線吸収を示している。初めの二つは、実際の実験を現しているが、三番目はFe-57を添加した対照群である。ガンマ線は、Fe-57の励起状態へ向かう線源の中に存在するCo-57の放射性崩壊過程で放出される。

 線源中のFe-57の励起状態は、次いで、バクテリア培養中のなかで形成されたFe-57の核により吸収される放射線を放出する。そして、これが、ここで測定された吸収である。

(中略)

 第3番目のグラフに示す実験の目的は、初めの二つのグラフの独特な形が、アーティファクトではないことを示すためである。

 3番目のグラフは、Mn-55を欠く培養液にFe-57を添加すること(したがって対照として機能する)によって作られた。複数のこぶを有する吸収パターンは培養液のそれと同じである。





生物学におけるエネルギー関係

 もうひとつのバクテリア実験で、彼は鉄の他の稀なアイソトープをかなりな量、発生させることが出来た。それは、Fe-54で、通常天然の鉄に5.8%含まれているものである。ウィソトコフスキーは、燐(P-31)とナトリウム(Na-23)が結びついたと仮定した。燐が初めの培養液から取り除かれると、Fe-54は見つからなくなった。

 転換された元素が、初めに放射性でなければ、ウィソトコフスキー反応は、ケルブランの場合と同様に、安定な元素だけを生産した。その一方、ウィソトコフスキーは、バクテリアは、放射性元素を他の放射性元素に転換することが出来ることを示す方向へ向かった。

 これらの結果は、いくつかの基本的疑問を提出している。アインシュタインの関係式、E=MC2によれば、核反応は、質量欠損があるときは、核反応はエネルギーの観点から進めることが可能である。すなわち、作られた原子の重さが、それを作った2個の原子の重さより小さいときのことである。

 質量欠損はエネルギーの解放を伴う。この法則は、最近、サイモン・レインビル等により2005年に立証された。彼らは、シリコン-28とイオウ-32に熱中性子(非常に低いエネルギーの)を衝突させたが、それぞれ、シリコン-29とイオウ-33に転換された。この反応は発熱反応であり、ガンマ線の形でエネルギーを放出した。失った質量が分かると、それは精度1/107の範囲内でガンマ線のエネルギーに等しいことが分かった6

 しかし、アインシュタインの関係式が生物学にも同様に成り立つのか、いかにして調べたらよいのだろうか?ウィソトコフスキーは、それが成り立つということを論じている。彼は、周期表の上端にいくまでは、二つの安定な原子(そのうちのひとつは軽い原子)は質量を失うことに注目した。

 ウィソトコフスキーは、そのような場合には、バクテリアは、それらの成長と代謝(物質交代)に必要な元素転換を遂行するという驚くべき能力をもっていると信じている。言い換えると、もし環境中に必要な元素がなくても、その元の物質があれば、細胞は、元素転換により代替物を合成できるということである。

 一例であるが、ウィソトコフスキーは、培養液中にカリウムがない状態で、バクテリアはセシウム-137をバリウム-138に転換できることを発見している8。ここで、バリウムはカリウムに対する代替物である。

 彼は、シレツキンの論文を引用して、原子半径が同じくらいの原子、例えばバリウムとカリウムは、よく交換できるといっている8。さらに、元素転換のこの能力は、いわゆるクーロンバリアを征服する普通にはない能力を含んでいると信じている9。ここで、クーロンバリアというのは、二つの正電荷の核が相互作用するのに充分近くまで接近して新しい核を作ることを妨げると考えられているバリアのことである。

 どのような原理で、生物学的状況がプロセスの性質を変えるのであろうか?ウィソトコフスキーは、我々は、基本的に、量子力学を拡張した応用面を扱っているのであって、ポテンシャルの井戸および重畳した波動関数に基づいたもっともな話を提案している、と考えている10


 反エントロピーに関するLaRouche

 他の研究だが、Lyndon LaRoucheが1998年に“ガーウィチュ放射の天体物理学”と題した論述のなかで、無機の物理学の法則が生命の高い宇宙原理により“曲がる”あるいは変化することについて議論している。この宇宙原理は単純に無機物理学に帰納できるものではないという11

 
Alexander Gavrilovich
Gurwitsch (Wikipedia)


 1920年代に、ロシアの生物学者、アレクサンダー・ガーウィチュは、生きている細胞は放射線を出しているということを発見したが、それは紫外領域の電磁気的放射であると信じていた。その当時は、まだ検出装置が発明されていなかったので、細胞分裂を促進させるその能力によってのみこれを示すことができただけであった12

 ガーウィチュは、胚の成長の各段階は、成長が進むときにその形態を変化させるフィールドから描き出され得るように、概念化できることを発見した13

 近年、ガーウィチュのバイオフォトンは、ついに測定器により測定され、異常な特性があることが発見された。太陽光とは違って、バイオフォトンはコヒーレントであった。そのスペクトル分布をグラフに描いてみると、エネルギー強度は、周波数の広い範囲にわたって同じであった。しかし、通常は、平衡状態の発現として、低い周波数では強度がずっと強くなることが期待されるのである。

 

生命体と非生命体システムの決定的な違い





 グラフのなかのこれらの曲線は、x軸に放出された光の波長(nm)、y軸に相対的強度をとって示したものである。グラフの下の部分は、その環境に平衡状態にある孤立系、すなわち通常は非生命体物質の曲線を示している。

 このように、孤立系では、長い波長、すなわちエネルギーの低い方では、殆どのエネルギーが放出されるところである。これはボルツマン分布と呼ばれるものである。上の三つの曲線は、種子によるバイオフォトン放射を表している。f1は未処理の種子、f2はCialithにひたした種子、f3はアセトンにひたした種子である。

 ガーウィチュの記述によれば、薬品にひたすと、秩序ある構造が破壊されるので、健康状態よりもバイオフォトンを多く放出するという。

 しかしながら、この三つのケイス全てが、下部の曲線とは、そのパターンが異なっている。何故なら、生きている過程は、熱平衡状態とはかなりかけ離れているからである。したがって、より高いエネルギー(波長が短い方)のいわゆる励起状態というのは、熱平衡状態で見られるものより、ずっと高く表されるのである。



 この論文は、とても長く全ての紹介は不可能である。以下、割愛するが、必要に応じて文献[1]を読まれたい。




文献

[1]Ernest Schapiro:Are Nuclear Processes in Biology Unique? ; 21st Century pp.45-55, Spring-Summer 2012.


続きの文献1-17を見る。









6. 生物学的元素転換―2015(仏)、半減期の短縮





 これは、比較的新しい論文である(2015)[1]。この論文では、放射性崩壊の半減期30年のCs-137が310日間のバクテリア培養処理により、半減期12日のBa-138に変化したことが紹介されている。詳しく知りたい場合は、下記Holleman文献[2]を参照されたい。以下、抜粋・概訳により紹介する。

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Jean-Paul Biberian
Aix-Marseille University, Marseille, 163 Avenue de Luminy, 13288, France


概要:
 過去二世紀に渡って、動物、種子およびバクテリアに関する多くの実験がなされた結果、生物は単に化学的反応過程なのではなく、核反応過程であることが示されている。

 幾つかのミネラルは、他のいくつかのミネラルに転換されることが示されている。低温核反応(低温核融合)の発展により、このトピックは、科学的課題に戻ってきている。この分野を研究している科学者は非常に少ない。しかし、さらに発展させることが非常に重要である。



序文…(略)
   

19世紀における研究…(略)
   

20世紀における研究…(略)
   

現在における研究

 ウラジミール・フィソツキー 8は、ウクライナの科学者である。かれは、1990年代に生物学的元素転換の研究を始めた。彼は、近代的な分析技術を用いることでよく知られていた。特に、Fe-57を検出するのに敏感なメスバウアー分光法を用いた。

 自然の鉄では、Fe-57は2.2%含まれている。鉄の主な同位元素は、Fe-56であり、91.7%である。Fe-57の測定は、他の元素の干渉がないであろうから、質量分析器を用いてもよろしい。フィソツキー と彼のグループ 4が行った実験は、重水の中で培養可能なバクテリアを用いて行われた。彼らは、 Bacillus subtilis, Escherichia coli, Deinococcus radioduransおよびイースト培養液Saccharomyces cerevisiaeを選んだ。

 マンガンは、MnSO4の形で導入されたが、マンガンが鉄に元素転換したことを示す明白なスペクトルが計測された。彼らは、タイムオブフライト質量分析で分析したが、57の質量ピークが質量56のピークに同じくらい大きかった。これは、Fe-57が生産されたことのもう一つの確信を与えている。

 フィソツキーと共同研究者たちは、他に、

Na-23 + P-31 →  Fe-54.


という反応を考察している。

 天然の鉄のなかには、Fe-57は、たった5.8%しか含まれていない。鉄を含まない培養液の中で培養されたバクテリアには、Fe-54がFe-56と同じくらい含まれていた。

 同様に、彼らは、

Cs-133 + H-1 →  Ba-134.


という反応も起こることを観測している。

 放射能を減少させるために、彼らは、人工的微生物培養の実験を行ったが、これは、標準的な微生物培養の場合より20倍以上も効果的であった。半減期12日の放射能を有するBa-140は、安定元素Sm-152に転換された。この反応としては、

Ba-140 + C-12 →  Sm-152.


という反応式の可能性が考えられた。興味深いことは、半減期30年の放射性Cs-137が、310日間に安定元素Ba-138に変わったことである。すなわち、

Cs-137 + H-1 →  Ba-138.


 この研究は確かに生物学的元素転換のベストの証明である。

結論

 生物学的元素転換を説明できる理論は、今はないが、低いエネルギーによる核反応(LENR=low energy nuclear reactions)が、LENRにおけるような結晶のなかであろうとも、生物学のような生命器官であろうとも、固体中のこれら新しいタイプの核反応を理解するのに役立つと思われる。

 この研究に対する帰結としては、科学、農業、健康および医学にとって極めて重要であるということである。生物学的元素転換は深く研究しなくてはならない。なお、歴史的レビューは,下記文献Biberian10で得られる。



文献

[1]Jean-Paul Biberian: Biological transmutations, CURRENT SCIENCE, VOL. 108, NO. 4, 25 FEBRUARY 2015,pp.633-635.
[2]A Review of Research on the Biological Transmutation of Chemical Elements; http://www.holleman.ch/holleman.html

続きの文献1-17を見る。












7. 生物系における安定および放射性同位元素の転換― 先史概略・現象学・実験・原因・理論および展望





 これは、比較的新しい論文(2014)[1]であるが、この論文は、長いので一部抜粋し概訳により紹介することにする。

(簡易版で読む)


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Observations of Biophysical Effects from Cold Fusion and LENR

(生物系における安定および放射性同位元素の転換―
先史概略・現象学・実験・原因・理論および展望)


ウラジミール・I・フィソツキー
(キエフ・国立シェフチェンコ大学、ウクライナ)

アラ・コーニローバ
(モスクワ州立大学)


目次
  1. 先史概略
  2. 微生物培養における同位元素のコントロールされた元素転換実験
  3. 生物学的細胞中における放射性同位元素のコントロールされた汚染除去実験
  4. 生物学的システムにおける同位元素転換の生物物理学的理由
  5. 生育する生物学的システム中における同位元素転換に対し可能性ある物理的メカニズム



 本報告は、生育しつつある微生物の培養中における安定および放射性同位元素が転換されるプロセスに対して共同的吟味を行った結果を示している。

先史概略



 生物系における化学元素とその同位元素の核変換の可能性についての仮説は自然史において一つの最もミステリアスなことであったし、過去何十年ものあいだ頻繁に議論されてきた。

  パリ大学教授のC. Louis Kervran(1901-1983)の一連の研究(下記) は、生物体のなかの化学元素と同位元素の転換についての年代記においては特別な位置を占めている。

Kervran C. L. Transmutations Biologiques, Metabolismes Aberrants de l'Azote, le Potassium et le Magnesium, Librairie Maloine S.A., Paris, 1963;
Kervran C. L. A la Decouverte des Transmutations Biologiques, Librairie Maloine S.A., Paris, 1966;
Kervran C. L. Preuves Relatives a l'Existence de Transmutations Biologiques, Librairie Maloine S.A., Paris, 1968;
Kervran C. L. Biological Transmutations, Happiness Press, USA, Magalia, California,1998;

 実質的に、ルイス・カーブラン(ケルブラン)が核時代後において、生物体の中の化学元素について可能性のある元素転換プロセスをシステマティックに研究した始めての科学者であった。

 ケルブランは、水素を含む生物学的システムのなかで、カリウムがカルシウムに転換する反応、K39 + p1 = Ca40を研究した。このデータは、種子の成長過程においてカリウムとカルシウムの量の変化を表しているが、種子840個と新芽403個から得られたものである。

 
Fig.1 種子と新芽のなかのKとCa量の変化。図の左側と右側部分は
三つのシリーズから得ていてその平均を示している。[1]


 また、ケルブランは、同位元素の転換に関する他の多くの反応も研究したが、それらの中で、必須元素 Ca, K, Mg, Pの生産という重要活動はとくに注目すべきものである。

 Na23 + p1 = Mg24,  Mg25 + Li6 = P31,  Na23 + O16 = K39, Mg24 + O16 = Ca40,  Si28 + C12 = Ca40

 
Fig.2 1.4%のNaClを含む水にひたしたテンチ(コイ科の魚)
の血液中のNa, KおよびCaの量の変化[1]


 Na23 + O16 = K39

という反応が起こる証明として、ケルブランは、実験データを提出した (Jullien, 1959)。デ−タによれば、テンチ魚を1.4%NaClを含有する水に4時間入れておくと、同時間にテンチ魚の血液中のKCl濃度は66%増加する。

 その一方で、ケルブランの観点は、標準的な原子核概念とは、かけ離れたものであった。

 1. 彼は、窒素の一個の原子核から他の原子核への陽子と中性子の変換プロセス(窒素の一つの核が炭素に、もう一つが酸素に変換)として、下図の反応を考察している。彼は、このプロセスは、炭素が不足している状況下では未知の酵素の作用で生物学的システム内で起こることを示唆している。しかし、そのような仮定には理由がない。

 
Fig.3 文献[1]


 2. 彼は、しばしば、エネルギー保存則が破れている限界の元素転換プロセスの考えを用いた。例えば、カリウムからカルシウムへの転換反応という不可能な逆過程の可能性を仮定した。

 K39 + p1 ⇔ Ca40 + (僞=8,326MeV) ⇔ K39 + p1???

 そのような、不注意な仮定はケルブランの研究には、数多く見られる。

例えば、彼が解析した同位元素の直接的核分裂;

 
文献[1]


は、彼の見解によれば、生命システム中で維持される。これは、エネルギーの熱的放出を伴うが、一つの反応に対し5-20MeVに等しい巨大なエネルギーを加える必要がある、としている。

 3. ケルブランは、彼のどの研究においても、初めの状態と終わりの状態における同位元素の比率を分析したのではない。それはケルブランの実験の主な誤りであった。何故なら、 “核物理は同位元素の転換の科学なのであって、元素のそれではないからである。”

 4. ケルブランは、彼の全ての研究において、生物系における元素転換プロセスを特殊な“生物学的元素転換”と呼んだ。

 我々の見解では、生物系における同位元素転換プロセスを“生物学的元素転換”とよぶ理由はなにもないのであって、物理法則に支配される特殊力学的環境における同位元素の転換プロセスとしての転換の一般的物理的プロセスから切り離す理由はないのである。



微生物培養における同位元素のコントロール
された元素転換実験


生育しつつある微生物の培養液中における鉄領域
の安定同位元素の融合の実験的研究


 約20年前、我々は、核反応における“one-line”の生育しつつある微生物の培養における安定同位元素の転換プロセスについて研究し報告した。

 


 異なるバクテリア培養液を用いて研究を行った。培養液は、糖-塩栄養培地を入れたフラスコのなかに入れた。

 


 元素の核変換に関する実験の典型的シリーズは、同時に行った三つの皿の中の微生物培養の生育中にみられた(Fig.1)。

 
Fig.1 実験の図 [1]


 そのような実験シリーズは、異なる培養液、異なる生育時間冲(24, 48, 72時間)および異なる生育モード(静止した皿と液、マグネット・スターラーで攪拌した液)で行った。

 バクテリアとイースト菌は、サーモスタットで適温32℃にして生育させた。

 
The Mossbauer specter for the grown culture
Saccharomyces cerevisiae T-8:
a) in D 2 O with Mn 55 ;
b) in H 2 O with Mn 55 ;
c) in D 2 O without Mn 55 文献[1]
 

同位元素の転換の
メスバウアによる研究



 そのような微生物の培養液における生育の間の元素転換プロセスは起こることが分かったが、その効率は低かった。すなわち、

 (1秒あたりの合成された核Fe57/s および同位元素Mn55一個あたりの値)[1]















レーザーの飛行時間質量分析器による生育しつつある微生物
培養における軽量および中間の同位元素の元素転換の研究







 微生物培養における中間的質量の同位元素(ナトリウム、燐、鉄)元素転換を、Na + P31 = Fe54に関して研究した。


 
上図:鉄の同位元素の領域の質量スペクトルを示しているオシログラフのメモリースクリーンの写真。
上部のグラフは純水の天然の鉄に対する基本(ベンチマーク)実験を示している。
下部のグラフは成育した微生物培養の質量スペクトルを示している。
a)は対照実験(同位元素P31なしの培地で生育)

b)およびc)は異なる元素転換実験(P31およびNa23が存在する培地による生育)


 Na23 + P31 = Fe54の反応の割合λは、







中間的および重い同位元素の転換実験
(Na23 + P31 = Fe54;Cs133 + p1 = Ba134)







"One-line"微生物培養における核転換の効率の低さについて二つの主な理由がある。

  1. これらの反応効率が比較的低いのは、どんな"One-line"型培養においても核活動をサポートするための最適な機能的特性が比較的狭い期間でしかないためである。"One-line"型培養はどれも生育の全段階において最適な代謝条件(温度、水素イオン成分pH、栄養バランスなど)を得るための特殊条件を必要とするからである。そのような条件は実際の実験ではしばしば欠落する。


  2. 我々は、"One-line"型培養の期間中に、代謝生産物による培地の自動中毒の形態を巻き込むプロセスが起こると仮定している。






最適に生育している微生物の仲間における鉄領域の
安定同位元素の核融合の実験的研究



 これらの"One-line"型培養とは対照的に、我々は、異なる培養液のとても多くのタイプを含む微生物の仲間の元素転換作用について研究した。

 用いたMCT (microbial catalyst-transmutator=微生物触媒転換体)複合物の基本は、完全な共生状態にある数千の異なる微生物の種類で微生物シントロフィンの仲間である。

 MCTは、下記のものを含む特殊な顆粒である:

  1. 代謝的に活性な微生物の濃縮したバイオマス(完全な共生状態にある数千の微生物の種類の微生物シントロフィンの仲間)


  2. 炭素およびエネルギー、リン、窒素、などの源。


  3. いかなる外的条件でも長期間に渡り水溶液の中で安定な顆粒の形状に、全ての成分が保たれる粘着状物質

 これらの顆粒は、タッシレフ教授により、アクティブな吸収剤として早期に提案されていた。

MCTを用いた核反応Mn55 + d2 = Fe57の研究




 一連の実験はMCTを用いて、20日間、25℃で行った。各実験後に、得られた物質を捕集し、蒸留水H2Oで洗浄し、乾燥させた。無定形顆粒(泥炭のような)の形態の乾燥物質は、鉄を含まない装置により分離し、粉末にすり砕き、メスバウア・スペクトロメータにかけた。研究したこの乾燥した生物学的物質は、約0.3gであった。

 この実験では、非常に大きなメスバウアの共鳴ピークが現われた。それは、核変換効率のシャープな増加を示す結果であった!

 
D2Oおよび同位元素Mn55が存在する生物学的MCTで生育した
ときのメスバウア・スペクトル。價max/J≒3.4%はメスバウア共鳴
の大きさである。


 
生育培地 Saccharomyces cerevisiaeの
場合の メスバウア共鳴。
a) in D2O with Mn;
b) in H2 O withMn55;
c) in D2O without Mn55
max/J≒0.15%


作られた同位元素Fe-57の合計の質量は、乾燥生物学的物質1gあたり約10μgであり、これは"one-line"培養の場合の20倍以上の大きさである。

 微生物シントロフィンの仲間が20日間生育することを許容したために、効率が特に大きくなった。"one-line"培養では、重水の中でそんなに長くは生きられない。何故なら、代謝生産物による自己毒作用が発生するからである。我々の前の実験では、"one-line"培養液Escherichia coli では72時間であった。

 元素転換のそのような形態の相対効率λは、



である。

 これらの結果を証明するために、TIMS (Thermal Ion Mass Spectroscopy, ≪Finnigan≫ MAT-262)を用いて、同じ乾燥生物学的物質(対照群と転換群)の同位元素比を測定した。その結果は下記の図と表に示した。

乾燥生物学的物質の鉄領域の質量分析スペクトル。
 (a)H2OおよびMn55培地、
 (b)D2Oおよび同量のMn55アイソトープの培地、
ここで、X=Fe54; Mn55; Fe57である。
同位元素 Fe57の密度の上昇(↑)の過程は、同位元素Mn55の密度の低下過程(↓)を伴う。


表2.対照群と元素転換群の質量分析のパラメータ




生物学的細胞内における放射性
同位元素の放射能除染制御実験



現在、世界では20万トン以上の高レベル放射能廃棄物が蓄積している。

その上に、各原子炉には数千トンの高放射能レベルの水が存在する。これは全世界では100万トン以上の高レベル放射能汚染水になる。

さらに、1億トン以上の低レベル放射能汚染廃棄物が存在している。




 これらの廃棄物を利用する方法には、二つの異なる方法がある。
伝統的な方法は、陽子ー中性子変換器で作った中性子ビームの作用により異なる安定な同位元素に変換する方法であるが、これは、コストがかかる。

 そのような問題(USA、日本、ロシア、フランス、英国、韓国)の解決の科学技術の全コストは、2010-2050年間に(3-5)×1010ドルもかかる。

 そのような方法のもう一つ本質的な欠点は、高レベル放射性物質への中性子の作用で、膨大な量の低レベル放射性物質が環境に形成されることである。





生物学的細胞中における原子炉の水の非放射性化



 我々は、初期の実験において、安定なCs133同位元素の転換、Cs133 + p1 = Ba143なる反応を観測していた。放射性同位元素Cs137では、どうなるか?

 キエフ原子核研究所から得た放射能約10-4キュリー/リッター含む水は、高レベルの同位元素(例えば、Na24、K40、Co60、Sr91、I131、Xe135、Ba140、La140、Ce141、Np239)を含んでいた。

キエフ原子核研究所から得た水のガンマ線スペクトル




生物学的細胞中における原子炉の水の非放射性化

微生物細胞中にける原子炉水使用の研究


同じ原子炉の同位元素、Ba140、La140、、Co60の対照群と元素転換群の活動Q(t)の変化。
活動度Qculturesは代謝が活性な微生物が存在する原子炉水。
活動度Qcontrolは微生物が存在しない同じ原子炉水。


 研究した同位元素La-140はは、40.3時間という短寿命であり、放射性同位元素Ba-140の娘核である。その寿命τBa140=12.7日、である。すなわち、

Ba-140 → La-140 + β- + v* → Ce-140 (stable) + β- + v*


 初期のBa-140および La-140の放射能は、原子炉から取り出して10日後において、



であった。

 放射性同位元素Ba-140安定状態になる元素転換の可能性ある式としては、

   Ba140 + C12 = Sm152 + 僞

である。この反応は、エネルギーが得られ、次式のようになる。

   僞 = E(ABa, ZBa) + E(AC, ZC) - E(ASm, ZSm) = 8.5MeV、でこれは正の値となる。

Sm(2+)およびCa(2+)イオンは、化学的に似ていて2価の状態のイオン半径が殆ど同じである(RSm≈ 1.2A, RCa≈ 1.06A)
置換された元素Caは生命的に必要な元素のなかにある。作られたSm(2+)元素は、微生物が生育するあいだCa(2+)イオンの代用をすることが出来る。




生物学的細胞中におけるCs137の非放射性化



 半減期が長寿命のCs137(放射能≈ 2・104bq)を含む同じ蒸留水を用いて実験を行った。我々の実験では、ガラス厚みが非常にうすい8個の同一なガラス製フラスコを用いた。どのフラスコにも同じ放射能汚染水10mlを入れた。7個のガラス製フラスコの中にMCTを入れた(下図)。(訳註:図では5日ごとに測定となっているが、7日ごとの測定の誤記と思われる)

異なる実験条件における同位元素Cs137の研究[1]


 上図に示すように、6個のフラスコのなかに、それぞれ異なる K, Ca, Mg, Na, Fe および Pの純粋塩を放射能汚染水のなかに混合物として加えた。これらの化学元素は、どんな培養にも生物的に必要なものである。残りの2個のフラスコは対照実験のために用いた。

 我々は、塩を添加したMCTを用いた全ての実験で 100日間以上にわたって、同位元素Cs137の崩壊率が増加することを観測した。

 対照実験(MCTなし)では、“通常の”放射性崩壊の法則が成り立っていて、半減期は30年であった。

 最も急速な崩壊は、Ca塩の存在するときで寿命τ* ≒312日であった。これは寿命が1/35になったことになる。培養液中のKが異常に多いときは、セシウムの元素転換は非常に弱くなり、崩壊の寿命は約10年であった。

実験結果[1]




MCT + Cs137汚染水 + CaCO3塩の実験結果[1]


 MCTにどの塩を加えても、Cs137の崩壊速度が早くなった。

 最も早くなったのは、τ*≈ 310days(35倍の加速)であり、Cs137+MCT+CaCO3の場合であった。

 Cs137の元素転換の反応で可能性ある反応式としては、

   Cs137 +p1 =Ba138+僞,

が考えられる。この反応の結果、安定な同位元素Ba138が作られる。この反応はエネルギーの放出が得られる(僞 = 5.58 MeVで正である)。

 Ba(2+)およびK(+)イオンは、化学的に似ていて2価の状態のイオン半径が殆ど同じである(RBa≈ 1.4A, RK≈ 1.33A)。置換された元素Kは生命的に必要な元素のなかにある。作られたBa(2+)元素は、微生物が生育するあいだK(2+)イオンの代用をすることが出来る。

 そのような置換は、セシウムのイオン半径RCs≈ 1.65-1.69Aがカリウムのイオン半径RK≈ 1.33Aより大きいので、カリウムからセシウムへの直接的置換は有効である。

 ところで、そのような置換は、培養液Blаstосladiеllа emersonii において早期に観測されていた[Van Brunt J., Caldwell J. H., Harold F. M. Circulation of potassium across the plasma embrane of Blastocladiella emersonii : K-chanel // J. Bacteriol., 1982, v.150, N 3, pp. 1449-1561].

   彼らの実験では、K(+)イオンがRb(+)およびBa(2+)イオンに対して置換が起こった。これらのイオンは、細胞膜をとおしての細胞へのイオン輸送において互いに置き換わることができるのである。


 ここに示した結果は、自然および工業的応用に対して、生物学的システム使用による安定および放射性同位元素の転換効果の将来的展望を示している。

 (訳註:上記の自然という言葉の意味は、自然界に自然に生息する微生物が人為的でなく自然に行う元素転換作用という意味であろう。その応用を積極的にすべきことを示唆している。そう考えると下記の文が良く分かると思われる。)

 これらの結果は、放射能汚染が、その初期に高レベルであったチェルノブイルの事故領域内の幾つかの隔離された領域の環境放射能レベルが異常に早く減少したという理由とその疑問に答えを与えることができる。

(以下略)

詳細は、下記著作物に記述されている。

文献[1]




文献

[1}Vladimir I. Vysotskii: Observations of Biophysical Effects from Cold Fusion and LENR




(感想)
 本論文には、「Cs137の半減期は30年であるが、Ca塩を添加したMCTを用いた実験で半減期は約312日になった。これは半減期が1/35になったことになる。」と記述されている。もちろん、ここで、Cs137の半減期は変わったのではなく、数多くあるCs137のうちの幾つかが順々に安定な同位元素Ba138に変化したので、放射線量が急速に減少していくという意味である。

 福島の原子炉事故で環境に放出された放射性物質による土壌汚染は、その表面土をかき集めて袋詰めにしてどこか人から隔離した場所に集積しつつある。これをもって除染といっている。半減期は変化しないので真の除染とは違うのではないか。自然界に自然に生息する微生物を汚染土壌に加える方法を試してみるのはどうだろうか。

 なお、彼らの用いたMCT(微生物触媒転換体)の詳細は不明であるが、次節の文献がそのヒントになると思う。











8. 複合微生物体系の複合発酵法を用いた放射性物質分解処理






 これは、2004年に出願された発明[1](審査未請求)であるが、前節のMCT(微生物触媒転換体)についてのヒントになるかもしれないので、概略を紹介することにする。なお、堅苦しく分かりにくい特許文特有のいいまわしの一部は平易な通常の文に変えた。




---------------------------------


この発明は、放射性物質を微生物学的に処理することに関するものである。

従来の技術

 放射性物質を分解することは不可能とされており、放射性廃棄物は高レベルのものは、ガラス固化して金属性の容器に封入し地下深くに埋設する処分が選択される。

 低レベル廃棄物は、かさを減らすために燃やしたり、燃えないものは圧縮したりする。液体は水分を蒸発させ、セメントなどと混ぜてドラム缶に密封し、鉄筋コンクリートのピットにドラム缶を収納し、ドラム缶とピットの間にセメント系充填材を入れて固め、周囲を水を通しにくいベントナイト混合土で覆い固めて地下水の侵入を防止し埋設している。

 上記のような従来の技術では、高レベルでも低レベルでも、放射性廃棄物が放射線を放出して自己崩壊するのを待つ方法に過ぎない。

課題

 放射能、放射性物質が短期間で消滅した事例として挙げられるのが、わが国の広島、長崎における原子爆弾被爆後の状況である。原子爆弾を製造したアメリカの物理学者の多くは、被爆地は50年〜100年の間不毛の地と化し、植物は一切生息できないと予測していた。

 しかし、広島、長崎では半年後には雑草が生え出し、その数ヶ月後には草花が生えて花が咲き、木の芽が出て、一年後には放射能、放射性物質のレベルが激減し、人々の生活が可能になったのである。この事実は公知のものであるが、核実験が行なわれたネバダ砂漠や核事故が起きたチェルノブイリでは放射能、放射性物質の顕著な減少は見られない。

 但し、最近、チェルノブイリの南に位置するキエフ周辺の放射能、放射性物質が微生物の働きによって非放射性核種に転換された事実を確認したとの実験例が公表されている(キエフ・シェフチェンコ大学、V・I・ヴィソツキー教授他3名)。

内容([BOOK]データベースより): 本書
は生命、常温核融合、原子転換などの、
従来不可解とされてきた現象にたいし、
ミクロの液滴が、それらの現象を解決す
るための鍵を握る物質として登場するに
至った、長い変化に富んだ道程を物語る
ものである。


 なぜ広島、長崎においてこのような事実が現出したのかは未だに定説はないが、多くの学者によって、広島、長崎の土壌中の微生物によって放射能、放射性物質の分解消失が起きたのではないかと推測されている(高橋良二著『ミクロ世界の物理学−生命・常温核融合・原子転換』)

そこで期待されているのは、放射線耐性菌、光合成細菌から選抜される放射能、放射性物質分解性微生物であるが、このようなシングルセルモノカルチャーの考え方では、分解してもそれはナノミリグラムの単位のものを数%分解した程度のレベルであって、実用化、工業化には程遠い段階でしかないのが現状である。

 また、この考え方、方法ではフザリウム菌群(酸化性細菌群)の抑制ができず、酸化・変敗・腐敗してしまうか、嫌気性菌群と好気性菌群が拮抗を起し、結局、放射能、放射性物質分解性微生物は死滅・消失してしまうのである。

 現在まで、上記放射線耐性菌、光合成細菌として明らかにされているもの及び以下の複合微生物体系の複合微生物動態系解析における複合発酵法によるプラントにおける放射能、放射性物質の分解消失の実施実証において、同定特定されているもののうちで代表的なものを従来発見されているものとの相関において、以下に記載する。

 これらの放射線耐性菌及び光合成細菌の全部または一部を含む微生物群が複合発酵状態において発現・現生することで、はじめて放射性物質分解性微生物、分解酵素が発現・現生し、放射能、放射性物質を分解消失する。

上表の続き「その1」を見る。
上表の続き「その2」を見る。


上表の続き「その1」を見る。
上表の続き「その2」を見る。
上表の続き「その3」を見る。


 本発明においては、複合微生物体系の複合微生物動態系解析における複合発酵法を用いて、処理槽内の酸化・変敗・腐敗を止め、すべての好気性及び嫌気性フザリウム属菌群(酸化性細菌群)を抑制し、沈殿槽において固形発酵(嫌気発酵)を起こさせることで、複合微生物の循環サイクルを起こさせ、放射能、放射線に対する耐衡性菌、対抗性菌が現生し、さらに分解菌、分解酵素を現生させて、放射能・放射性物質の分解消失処理を実現する。

 (以下略、さらに詳しくは、下記公開特許公報[1]を読まれたい。)



文献

[1]公開特許公報(A);特願2004−163870(P2004−163870):複合微生物体系の複合微生物動態系解析における複合発酵法を用いた放射能・放射性物質分解処理方法












9. 光合成細菌による放射性核種の除去回収





 この文献[1]は、元素転換ではないが、元素転換の前段階の処理としての重要性があると考えられるので、一部を引用して概略を紹介することにする。



---------------------------------


 我々(佐々木健・森川博代・竹野健次[1])は、光合成細菌が菌体表面に生産する高分子物資(extra-cellular polymeric substances,EPS)によりカドミウム(Cd)やクロム(Cr)およびヒ素(As)などを吸着でき, 環境水中から取り除くことができることはすでに報告している 4)

 我々は、光合成細菌の重金属除去機能を利用して,放射性核種の除去の可能性を検討した 6) 。図1に新規に開発した回収型多孔質セラミックと,このセラミックに光合成細菌を固定化して,放射性核種重金属を吸着した後,電磁石で水系や土壌,ヘドロなどから回収する状況を示す。低濃度の放射性核種や重金属汚染に対応できる。光合成細菌の固定化には,減圧下でアルギン酸ナトリウムで固定化する減圧固定化法を用いた 6)

 この多孔質セラミックに,排水処理や水質浄化に実用化されているRhodobacter sphaeroides S(S株),R. sphaeroides IFO12203(IFO株),Rhodopseudomonas palustris(P株),S株の自然変異株であるR. sphaeroides SSI(SSI株)などを固定化して,1.5 L 円筒型容器内の1 L の人工下水に固定化セラミック4個を入れ,30qCで通気(1 vvm)を行いつつ,放射性核種のUとSrおよび関連のCoの吸着実験を行った。

文献[1]より。


 図2に示すように,SSI株がいずれの金属もよく吸着できることが明らかとなった.SSI株はS株が自己変異し自己凝集性を持つようになった株で,表面に多糖類やタンパク質,RNAを主体とするEPSを生産し,そのマイナスチャージにより金属を吸着していると推定される 4,6)

文献[1]より。


 次にSSI株を固定化した固定化セラミックを用いた,Uの吸着と人工下水のCODおよびリン酸イオンの除去を示す.図3に示すように,セラミック4個および8個/l人工下水を加えた時,SSI株を固定化した固定化セラミックを1-8個で,20 mg/lものUが効率よく吸着できるとともに,CODやリン酸イオンの同時除去も可能で,放射性核種の除去ばかりでなく水質浄化も可能であることが明らかとなった。

文献[1]より。


 また図には示していないが、SrやCoの場合もほぼ同じような除去が可能なことが明らかとなった。ただ、Coはやや光合成細菌に毒性が見られるようで、Coの吸着やCOD、リン酸イオンの除去はUやSrの場合と比較してやや緩やかであった 6)

 次にSSI株による他の重金属の除去について検討した。図4に示すように,SSI株はCuを始め,有害重金属 であるHg,CrおよびAsも,固定化セラミック4個/lで効率よく吸着することができた。

文献[1]より。


 このように,凝集性を有し菌体表面に高分子物質,EPSを生産しうるSSI株で,放射性核種ばかりでなく, その他の重金属も吸着できることが明らかとなった。UやSrのSSI菌体あたりの吸着量は7.8-11.1 mg U/g cellsと推定され,カビ,バクテリア,放線菌などに比べると1/3以下とそれほど高くないが 5) ,CODやリン酸イオン除去なども同時に可能なシステムなので,実用性は高いと思われる。

 環境中のこれら放射性核種やCoの除去回収は報告がなく,現在実用化を進めている。金属が吸着された固定化セラミックは電磁石により回収でき,薄い塩酸溶液中で超音波処理を行えば,容易に溶液中に溶出でき,ふたたびSSI株を固定化して再利用可能である。放射性核種や重金属は濃縮された溶液状態で回収できるので、再利用などしかるべき処置が可能となる。

 特筆すべきは,低い濃度で汚染された環境中(水系,土壌,ヘドロ)の放射性核種や重金属を濃縮して回収できることである.放射能や重金属の汚染により不毛の地となった土地は世界中に多く存在するので、このような技術は有用と思われる。

文献

[1] 佐々木 健・森川 博代・竹野 健次:光合成細菌成分による放射性核種の除去と海水の浄化;生物工学、vol.89,pp.110-112.(2011)

1) 北村 博ら:光合成細菌(北村 博ら編),p.113, 学会出版センター (1982).
2) 佐々木 健ら:生物工学, 80, 234 (2002).
3) Sasaki, K. et al.: Appl. Microb. Biotechnol., 58, 23 (2002).
4) 佐々木 健ら:生物工学, 87, 478 (2009).
5) 大村直也ら:電力中央研究所報告, p.1 (1996).
6) Sasaki, K. et al.: Japanese J. Water Treat. Biol., 46, 119 (2010).
7) 田中 亨ら:生物工学, 88, 455 (2010).





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