(朝鮮日報日本語版2017.8) 韓国の脱原発、世界の核安全保障にも影響  韓国政府の脱原発政策をめぐり、国内のみならず、米国、英国など核保有国からも懸念 の声が上がっている。  米国のアーネスト・モニーズ元エネルギー長官は「原発産業が縮小すれば、米国の国家 安全保障が危うくなる」と指摘。環境運動家のマイケル・シェレンバーガー氏は「韓国が 原発輸出から後退すれば、結局はロシアと中国が市場を掌握することになり、核安全保障 の脅威になりかねない」と指摘している。  米国の原発産業は1979年のスリーマイル島原発事故以降、急速に弱体化した。2012年 まで33年間、事実上新規の原発は建設されておらず、産業競争力も大きく低下した。原発 大国だったフランスや日本の原発企業も資金難などで事業が縮小している状態だ。  その間にロシアと中国が急浮上し、各国に原発を輸出しながら、競争力を高めている。 西側各国にとっては、自国の原発産業が低迷し、既存原発の部品交換、修理、運用などで 他国の支援を必要とするが、中国やロシアに依存するのは不安だ。事実上西側の原発産業 で代表格に躍り出た韓国が必要とされる構造と言える。新規に原発13基の建設を進めてい る英国も韓国に事業参入を求めている。   原発は核安全保障という側面でも重要だ。核兵器の製造に使われる核物質が原発関連施設 から流出する可能性があるからだ。 西側各国はロシア、中国が原発輸出に際し、相手国に核不拡散義務を厳格に求めていない 点に注目している。友好国の韓国が原発産業の競争力を維持し、ロシアと中国に歯止めを かけることに期待している。  米ブルックヘブン国立研究所のニック・ガルーチ研究員は「ロシアが原発を自国の影響 力拡大の手段として活用している」と警告した。金泰宇(キム・テウ)元統一研究院長は 「脱原発政策は産業的な側面だけでなく、軍事的、外交的な潜在能力を自ら捨てる行為だ。 世界で安全保障が最も危うい国で原子力の進んだ技術と人材を死滅させることはできな い」と強調した。